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My Favorite Best Album~近田春夫『近田春夫ベスト~世界で一番いけない男』編。

 昨日、このアルバムを取り上げようと準備していたのですが、TwitterでPANTAさんの誕生日だったと知ったので、急遽PANTAさんについての記事に変更したというわけです。

 近田春夫さんにはベスト盤が結構存在しているのですが、このアルバムを通して聴いていたら、とにかく面白いし、興味深い内容と思ったからなんですね。
じゃ、行ってみよー。

・近田春夫『近田春夫ベスト~世界で一番いけない男』(VICL-65138/ビクター)

 ちなみに私が初めて買った近田さんのアルバムはベスト盤の『Time,Place & Occasion』だったんですよね。
ジャケットと選曲(「エレクトリック・ラブ・ストーリー」と「ああ、レディハリケーン」が入っていたり)でかなりあっさりと決まった記憶があります。
この時点で『ハルヲフォンレコード』は既に廃盤でした。

 CDがメディアの中心になってから、近田さん関係のベスト盤は色々と出ていますね。
まずはキング・レコード時代のベスト盤(Present BPMで活動していた時期に発売されたものと、もう少し後に発売されたものが存在します)。
『Time,Place & Occasion』と『メモリアル』というアナログ時代からのベスト盤に関しては、『メモリアル』のみ単独でCD化されたことを付け加えておきます。

 コロムビア時代は『星くず兄弟の伝説』からの楽曲が収録されたものはありませんが、近田春夫&ビブラトーンズ~ビブラトーンズの完全版はベスト盤に入れてもいいと思います(1987年に初CD化として発売された盤には未発表曲「ほうれん草サラダ」やシングル「金曜日の天使」が収録されてます)。
ちなみにアナログの『星くず兄弟の伝説』もかなり早い段階(1982年夏くらい?)で廃盤になってしまっていました。

 Present BPMというかシックスティ時代のアルバム『HEAVY』も実質的ベストですね。

 えーと、近田春夫&ビブラストーンのポニーキャニオン時代にはベスト盤が出てますね。
「HEAVY」のライヴ・ヴァージョンが収録されたCDと選曲違いの形でLPも発売されています。

 そして、近田春夫さんのハルヲフォン~Present BPM時代までをレコード会社の壁を乗り越えたベスト盤『考えるヒット』が2004年に発売されました。
このアルバムで三野明洋さん(近田さんのコロムビア時代のディレクターであり、シックスティの創始者)が所有していたシックスティ時代の権利がユニバーサル・ミュージックに移行されていたことを知った私です。
長らく廃盤だったPresent BPM時代の作品が収録されたことと、オールタイム・ベストが発売された意味の大きさはかなり重要ですね。

 とメチャクチャ長い前振りでした。すみません。
このベスト盤の意味についてはこれから触れますよ。

 このアルバムが出るまでの経緯はCD付属の近田春夫さん自身による解説を読んでもらいたいですね。
まー、とにかくビクター移籍からのディレクター、川口法博さんのエピソードが強力過ぎます。
このアルバムの選曲はその川口さんによるもので、近田さんの楽曲を「歌モノ」として捉えたものでした。
これはつまり、Present BPM時代とビブラストーン時代の作品は収録されないということを意味するわけですよ。
しかも近田さんがもし選曲するとしたら、まず入らないだろう曲も収録されているのが面白いですね。
これを認めてしまうのが近田さんだなとも思うわけです。

・近田春夫『近田春夫ベスト~世界で一番いけない男』の曲順。

 ベスト盤には選曲ともうひとつ重要なことがありますよね。
曲順なんですが、こういったベスト盤は最近、発表年順に並べられることが多いのですが、そういった曲順にはなっていないんです。
発表年順に並べた場合、マスターテープの保存状態や演奏の編成など、続けて聴いてストレスが小さいことが長所になるわけです。
が、近年の作品(2018年)である「ラニーニャ 情熱のエルニーニョ」の前に収録されているのは近田春夫&ビブラトーンズ時代の「金曜日の天使」で、後に収録されている曲はハルヲフォンのファースト・アルバム(1976年)からの「シンデレラ」という41年の隔たりがあるものですよ。
この記事を書く前に何度かアルバムを通して聴いてみたんですが、ここを含めて違和感を感じなかった私です。
私の感覚の鈍さもあるかもしれませんが。

 個人的にはマスタリングを担当した内田孝弘さんによるものが大きいと想像しております。
内田さんはMr.Childrenやウルフルズ、星野源さんなど多岐に渡る作品の担当をしていますから、このアルバムを担当するのに適した人材だったのは間違いないはずです。

 (音楽作品に限らず)近田さんが評価されたら、また状況は変わってくるはずですから、Present BPMやビブラストーンを好きな人はこのアルバムや近田さんの本も必ずチェックすべきだと思うのですよ。
結構長くなってしまったので、この辺にします。

 ではまたー。

 



 

 



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