「たすけて」と言えたら扉が開く
最近こんな本を読んだ。
『生き心地の良い町 この自殺率の低さには理由(わけ)がある』
徳島県南部の町、海部町(かいふちょう)(現海陽町)は、全国でも極めて自殺率の低い「自殺“最”希少地域」だという。
四年間にわたる現地調査、データ解析、精神医学から、何が自殺率の低さにつながっているのという謎について迫った本だ。
著者いわく、海部町には
「病は市に出せ」
という言葉があるそうだ。
ここでいう病とは、病気に限らず、個人が困っていることを指す。
市は市場というより公の場という意味だ。
つまり、「病は市に出せ」とは、困りごとは外に出せといった意味になる。
私は、経済的困窮からうつになった。
生活保護の制度があるのはもちろん知っていたが、
どうしようもなくなるまで頼ってはいけないと思っていた。
本当はどうしようもなくなっていたのに、
まだ耐えなきゃいけないと思い込んでいた。
お金がなくって歯医者にも行けなかった。
ある日、奥歯が、ガリッと音を立てて削れた。
さすがにまずい、とようやく思って役所を頼った。
担当者は「もっと早く来てくれたらよかったのに」と言って、申請をすぐに通してくれた。
現在は、歯や、メンタルの治療を受けられて
体も心も、健康をかなり取り戻せている。
私が「たすけて」と言ったから、助けられた。
でも、私がもっと我慢をしていたら、どんどん状況は悪くなる一方だっただろう。
助けが必要な人は、自分の困った状況について自覚を持ちにくい。
だからこそ、「病は市に出す」。
ちょっとでも困ったことは、思い切って人に話してみる。
そうすれば、思わぬ扉が開いて問題が解決することもあるし、
自分を袋小路に追い込まなくて済むから。
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