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失ったものと得たもの

統合失調症になって、うつになって働けなくなり、生活保護を受けることになった。

人に頼ってはいけない。そう思い込んでいた私には考えられないことだった。

たぶん「問題の解決は自分だけでできる」というおごりもあったのだと思う。

生活保護を受けることになったときは、借金も抱えていた。精神的不調も相まってドン詰まり。「あぁ、人生終わったな」と思った。

でも終わらなかった。

役所の担当者は、緊急性が高いと判断してか、数日で申請を通してくれた。通常は1ヵ月ほどかかる手続きである。
保護のおかげで、飢えもせず、雨風をしのげる家がある。昨日も今日も生きている。

社会復帰に向けて、福祉の事業所に通うことになった。
事業所には同じような悩みを持つ人もいる。
指導員が細やかにケアをしてくださる。

今の私は「障がい者」だ。
その立場になったからこそ、知った制度、出会えた人たちがいる。

当たり前だけど、障がい者の数だけ、それぞれに違った困りごとがある。
「障がい者」の一言で片づけていた世界のグラデーションが
果てしなくあることを知った。

失ったものはたくさんある。
でも、病気になったおかげでもらったギフトもあるのだ。


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