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はじめてのGrødは何色か。


デンマーク人の友人との約束の12時に10分早く着いた。コペンハーゲン中央駅周辺の自分の宿泊場所から、歩いて20分ほどの場所にあるChristianshavn駅で待ち合わせ、コペンハーゲンを案内してもらった。

ランチに食べたいものの選択肢を色々出してくれて私が気になったデンマーク料理のGrødというリゾット(おかゆ?)のような料理を食べに行った。

ヘルシーな印象の可愛らしいカフェについた。メニューを渡してくれると彼が色々説明してくれる。一番デンマークらしいものを尋ねると、真っピンクのやつだという。「ビーツね。」というとそうだという。日本人の私には日常的にはあまり馴染みのない食材、ビーツ。これはいいぞ、と思った。

いざ料理が来てみると、本当にピンク。この世で一番ピンクなものを持ってきなさい、などともし神様に言われたときにはこの料理を差し出そうと思うほどにピンク。あるいは美大生が真のピンクとは何か、探し彷徨っていたらドヤ顔でビーツを差し出す。自分で書いていてまったく意味がわからないけれどとにかく眩しいほどにピンク色の料理。自然ってすごいな、うつくしい。

周りには、ピクルスと化したこれまたビーツの根っこ?実の部分がスライスされて並び、ローストしたローズマリーが散りばめられて風味にアクセントを加えている。ピクルスのビーツは黄色く、きちんとした酸味がある。お米はリゾットよりもやわらかくおかゆに近い感じがする。ピンクのお粥の味付けにもわずかに酸味があるけれど、まろやかなコクを感じるのでしつこくなかった。中央におかれたリコッタチーズを少しずつ崩しながら食べると、味が完成する。リコッタチーズが、酸味を中和して、さらに美味しい。ありそうでない、新しい味わいだった。

注文する前には、スモールとラージどっちの大きさにするかと尋ねられ、一瞬迷ったものの、友達が「僕はラージだよ。デンマーク人だしね。」というので、それならば私もとラージを頼んでみた。ただし私は普通の日本人なので、ラージを頼む根拠はただ、彼の選択に流されただけのことだった。
実際頼んでみると、ラージで正解だった。見た目の奇抜さと裏腹にたべるほどに美味しかった。

いろいろな話をしながら、Grødをたべ、コーヒーを飲み、Christianshavn周辺を散歩すると体が底冷えし、大きな図書館であるDet Kgl. Bibliotekのなかのカフェで温かい飲み物を飲んで暖をとった。ホットチョコを頼むとストローがついていて、まるでコールドドリンクのように飲めそうな見た目でやってきた。調子に乗ると一気に喉の奥まで火傷を負う、という想像がめぐる間に、すぐ冷えた。要らぬ心配。

彼が日本料理が好きだと言うので何が一番好きかと尋ねると鍋だと言う。なぜかと聞くと、味はもちろん「みんなで同じものを食べ、話し、とてもヒュッゲぽい。」と言った。
そして、日本でヒュッゲという言葉をよく見かけて驚いたと言う。「ヒュッゲをしていないのに、たくさんヒュッゲをみかけた。」というので、
「みんな忙しいからヒュッゲに憧れているんだよ。」というと「そうだね」と言って笑った。

まだ交通手段の準備の間に合ってない私に、彼は一番安く楽に行ける交通手段を調べてくれて、デンマーク語だけのサイトからバスのチケットの申し込みまでしてくれた。デンマーク語はわからないので本当に助かった。

自分のデバイスからだとどうにもうまくいかず、結局支払いまでを彼が請け負ってくれ、現金を作るから、Exchangeまで付き合って、というと
「このコーヒーとあとまたどこかで会ってランチを奢ってくれたらバス代は今すぐじゃなくていいよ。」と言ってくれ、それで迷惑でないかと何度か聞くと「また会う機会にもなるから」とやさしく笑った。これはきっとまた会おうと言ってくれているんだと、お言葉に甘えることにした。

ありがたさとデンマークの冬の厳しさに震え、明日のバス停の場所までを一緒に確認してくれたあと、駅で彼を見送った。

ホステルにつくと、ブラジル人のシルビアが私のすぐ後に帰ってきた。新しく入ったセルビアからの女の子に二人で挨拶をしたあと、シルビアが一緒に飲みに行こうと誘ってくれた。

とても行きたかったけれど、冷え切った体と明日のバスの時間や荷造りの間に合ってなさを思うと、少し気が引けて、結局行かないことにした。もったいない気もするけれど、今回の目的は次の学校での生活なので、明日はとくに万全で臨みたい。
明日もしかしたら会えるか分からないからインスタグラム教えて、と言われて軽く連絡先を交換することになった。


日本に来たら教えてね、というと、ブラジルにも来てね!と言ってくれた。

孤独なコペンハーゲン滞在を想像していたので、思いがけずいろんな人と関わるとても楽しい滞在だった。

いよいよ大荷物を持っての学校への移動。これが1番大変かもしれない。

さて、そろそろ備えよう。

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