書籍『先送り0』感想|「やりたいことをやる」よりも大事な話って何?
2024年2月に出版されてから反響がものすごい本、『先送り0(ゼロ)―「今日もできなかった」から抜け出す[1日3分!]最強時間術』。
こんなところにも書評が掲載されている。すごい!
著者の出版記念パーティーにも出かけたし早々に読了していたが、記事をまとめるのにかなりの時間がかかってしまった……
でも、時差での投稿もきっと悪くないはず!
気を取り直して、タスクシュート認定トレーナーの立場から
「この本のどこに良さを感じたのか」
を書いてみよう。
本書の概要を要約
まずは、技術評論社による本の公式ページを見てみよう。
概要を簡単に要約してみた。
つまりはこういう本だ。
よくよく読み返すと、確かにめちゃ力強いメッセージ。
それでいて驚きも大きく、確かに売れるワケだ……実際、「本屋に平積みされていた」という情報も多い。
「1日3分からできることで人生が変えられるなら……」
と思うよね。
私自身、もしもタスクシュートを知らなくても買っていたかもしれない。
1番感動した部分はココ!
「タスクシュート認定トレーナーだから、当然メソッドについては理解している」
という前提は、もちろんあるとして……
私が最も感激したのはこの章だ。
"序章 時間に追われ、先送り癖に悩まされている人へ"
その中でも特に響いたのは、著者・jMatsuzaki氏( jさん)のどん底時代の話。
「やりたいことをやって自由に生きる」
を実現するべく脱サラしてフリーランスになり、サービスを開発するなど事業を大きくして法人設立、さらには海外移住も果たしたという彼。
現代における、ある種の成功譚と言っても過言ではないだろう。これらのことを目指して日々頑張っている人は、実際多いはずだ。
それなのに、どうして行き詰まってしまったのだろう?
細かく語るとネタバレになってしまうから避けるが、どうやら過去と現在と未来がキーワードのようだ。
彼の経緯や意識の変化は「ドキュメンタリー」として私の心に強く残った。
やりたいことを実現しても満足しない?
そういえば……
なんで皆、「やりたいこと」をやろうとしたり、お金だけでなく自己実現のために仕事をしたりするんだろう?
*
これって実は、現代ならではの話。
職業が世襲や身分で決まっていた時代は
「将来は何になりたい?」
という問い自体、意味をなさなかっただろう。生まれながらに職業や未来が決まっているのだから。
だが現代において仕事は世襲制ではなく、身分によって可能性が断たれる職業はおそらく存在しない。身長や視力など、身体的特徴によって応募できない職種も時々あるけれど。
大抵は「自分にできそうなこと」をやることになるのだが、
「単に『できる』というだけでなく、なるべく『やりたいこと』であったほうが望ましい」
という暗黙の了解がある。
でも、やりたいことをやり続けてたとしても jさんのように「満足できない」ものなのだろうか?
それなら「やりたいこと」にはあまり意味がないのでは?
*
私は夢を実現させ続けたことはないから厳密には分からないけれど、確かにそうなのだろうなぁ……と想像することはできる。
なぜなら、人間は慣れるからだ。
よく言われることだが、素敵なタワマン(タワーマンション)の夜景にもいつかは飽きる。お金がたくさんあることにも絶対に慣れるし、ごくごく当たり前になるだろう。
新鮮味がなくなれば、ありがたみもなくなる。
「ありがとう」と言いたくなるのは「有り難さ」を実感するからだ。
慣れれば他人への感謝の気持ちも無くなり、傲慢になってしまう。
成功者が一概に幸福とは言えない事実を、私は知っている。不動産屋時代に大手企業のお偉方の接客をした時、身をもって学んだ。
*
未来への期待は時に、欠乏感や焦燥感を生む。
現在や「今ここ」に常に満足しないハングリー精神は成功するためにある程度必要かもしれないが、精神を病んでしまう可能性も高い。
先ばかりを見ていると、心の平穏はいつまで経っても訪れないのだ。
イマココに満足したら成長しない?
「でも、今ここに満足しちゃったら成長は見込めないんじゃない?そしたら資本主義経済では生きていけないのでは?」
という疑問も出てくるだろう。
なるほど、当然そう思うよね。
「吾唯知足(われ ただ たるをしる)」
ではビジネスパーソンとしてやっていけない……と。
でも、本当にそうなのかな?
……実は「今ここ」に集中すると、良い気づきを得られるのだ。
「あれ?そうなっているのか」
「うーん、このままいくと間に合わなそう」
「じゃあこうしてみようかな?」
などと思い浮かぶ。
なぜか、自然と分かる。
思考というよりも、ふと思い浮かぶ感じ。これが洞察力と呼ばれるものなんだろう。
*
最近はなんだか皆、1つのメソッド・考え方・誰かの1意見に頼り過ぎている気もするのだ。
「誰々が強く言っていたからこうする」
「あの人があの時こう言っていたから、こういうものなんだよ」
……などなど。
「こうしたらいい」
って聞いたら猪突猛進しちゃうの、純粋すぎてちょっと危険かもしれない。
と、時々思う。
*
私たち人間には、本来チカラが備わっている。
誰かの意見を信じてしまうことは、それを使おうとせず
「誰かの言葉や何かの教えに従い続ける」
ことにも繋がる。
単純で短期的な話ならそれで問題ないかもしれないが、長期的な話や複雑な分野・正解がないことは、それでは難しい。
本当は、別に「どうでも」いいのかも
著者のもう1人・佐々木 正悟さんが時々使う
「本当はね、どうだっていいはずなんですよ」
という言葉が、私は好きだ。
一瞬面食らうけど、全然悪い意味でもないし誰もバカにしていない。
確かに、
「本当にそうしなきゃいけないのかな?」
と問いかけることは超大事だと思うからだ。
実は、人生に決まりってさほど無くて。
犯罪にならなければ大抵のことはOKだし、実際には自分が勝手に
「いや、これじゃダメだ」
と決めつけていることが多いはず。
*
心からの満足がくれるものは、結構大きい。
重要なのは自己効力感(自分ならできると思うこと)ではなく、
「まぁいっか」
と思えるチカラ。つまりは自己肯定感的なものだ。
「自己肯定感が低いから良くない」
なんてことはない。低ければ低いで、別にいいのである。
「私は自己肯定感が低いから良くない」
だと、延々とそのループから抜け出せない。(ある意味、論理的に破綻している気もする)
「まぁいっか、と思う力が私は低いかもだけど、まぁいっか」
くらいに考えていいんだよね。
真面目に、深刻になる必要は、サラサラないのだ。悩みすぎなくていい。
*
なぜ自分がこの世に生まれてきたのか、深い理由を知っている人は多分いないだろう。
「何のために生きているか」
は、思い込むことも酔いしれることも可能だ。だが、本当のところは誰もわからないはず。
でも、今実際にここで、私たちは同じ瞬間を生きている。
それは本当に奇跡だし、面白いことだと思う。
私には現実を変える力がある、という話
今ここから、実は私達はどうにでもできる。
本当は、そうなのだ。
どこかの店に入ってコーヒーを頼む、なんていう軽い行動だけじゃない。
違う職に応募してみることだってできるし、今すぐ家を捨てて1人で世界を放浪することもできるはずだ。本当にそうしたいと思っているならば。
「こうなりそう」
「○○をしたら、家族に反対されてしまう」
なんて、思い込みでしかない。
「自分はこんな性格である」
という診断結果も、実は錯覚かもしれない。
そう、実はどうにでもできる。
どーーーーーしても頑張っても無理なことはあるかもだけど、それならやってみて失敗すればいいじゃないか。
失敗したってほとんどの場合は死ぬわけじゃないなら、チャレンジしてみるのも悪くない。
「今ここからの現実を変えられる力が私にはある!」
と思えるか否かで、変わってくるものも大きいと感じている。
*
他の書評と違って、タスクシュートのプランとかルーチンなどという知識に全く触れてない感想文になってしまったけど……まぁいいか。
個人的には
「自己啓発本は、人生この1冊で充分」
だと思った。(友人や知人が出したら読むかもしれないけど……)
タスク管理・時間管理に興味がある人だけではなく、現状に悩みがある全ての人におすすめしたい本だ。
*
実は、こんなところに大きな「ゼロ」が……!
気になったら、書店かネットで探してみては?
……あなたはこの本から何を得るのだろう? とっても楽しみだ。
▼ sugamariの読書記録
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