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時間と余白と余裕の関係

「もういい加減、起きたら?」
朝、主人が私に言った。この言葉、30年前にも何度も聞いたことがある。
妹だ。妹は、学校に出る時間の2時間前には起きていた。私は、というと1時間前、45分前、そして最終的には30分前に起きていた。一回では起きない、私は筋金入りの二度寝常習犯なのだ。それは、お母さんとなった今もなお、続いていた。

夜寝る前にまず、スマホのアラーム機能を起きる時間にセット。起きる時間の15分前にセット。そして30分前にセット。ピピピとなったスマホを手に取り時間を確認し、「あ、あと15分も寝られる…」脳の片隅しか起きていない、そのふわふわした、まどろんだ時間が、私は大好きだった。

ある朝の出来事。
週末、主人が仕事だったので、土日暇を持て余す小学生二人を連れて雨の中、近所の激込みイオンモールへ二日連続繰り出した。ただでさえ、小学生二人を連れて出かけるだけで骨が折れるのに、愛知県三河エリアの人が全員買い物に来ているのではないか、と思うくらいに混んでいるイオンモールに二日も行った。計画ミスだと後悔してもすでに時遅し。二日目ともなると、イオンモールが私の身体と心のエネルギーを全部吸い取っていった。

朝になっても疲れが取れない。それなのに二度寝をしたら、やってしまった。寝坊した。
大急ぎで朝の支度をし、子に食事を食べさせた。さて、いってらっしゃい! というその時に、長男が言った。

「ママ、写真代、30円ちょうだい」

登校ギリギリ、玄関前の申請が、私の琴線に触れた。朝っぱらから長男は私に怒鳴り飛ばされ、お姉ちゃんに慰められながら、30円を握りしめ、半泣きで学校へ行った。イライラは収まらず、その火の粉は旦那さんに飛び火する。旦那さんは弁当なしを言い渡された。
「えー、ないのぉ」
そう言われても、「バタバタの小学生組の支度を手伝わず寝室でゴロゴロ携帯ゲームをしている人にはお弁当なんか作れるわけ、ないでしょ!」主人も怒鳴られる。とんだとばっちり、我が家は軽く修羅場と化した。

今日はプラゴミの日なので、両手にごみ袋をもって、ごみステーションに向かった。歩きながら、今朝の惨状を振り返った。なぜ、私はあんなにイライラしてしまったのか。
答えは簡単。


わたしが寝坊さえしなければ、あんな修羅場は起きない。
そう答えが出たところで、公園のごみステーションについた。プラゴミをゴミ山の一番上にポーンと上手に置いて、少し機嫌がよくなった私は、長男が学校から帰ってきたら、開口一番に「ごめんね」と言おうと決めた。

今、瞑想会というのに参加しており、朝の5時に、パソコンの前に座り、オンラインで15分ほど、全国にいる皆さんと瞑想をしている。

早起きがいいことは、知っていた。だから「朝5時に起きる」と手帳に書いたことがあった。まず朝4時45分にアラームが鳴る。けたたましく鳴るスマホを手に取って思うことは、まだ眠たい。眠たいという感情に負けて、自分で決めた約束を簡単に破り、二度寝、三度寝をスタートしていた、のがいつものパターンで、早く起きることはなかった。

自分の約束は破れても「相手」がいる約束だと、そう簡単に破ることはできない。
いい機会だ。しかも夏だ。朝方も明るい。そうだ、仕事だと思おう! 主催をしている方は、大事なお取引先様だ。お取引様との約束は破れない! ぜったいに起きなきゃ。という訳の分からない暗示を自分にかけ、今現在、朝5時起きが10日間続いている。

朝5時半には瞑想も終わり、犬と戯れていると、小学生が二人起きてくる。「まだ早いから、もう少し寝ていていいよ」というが、二人とも起きてくる。ということが数回続いている。
早く起きた小学生二人は、早めの時間に朝ご飯を食べ、早めの時間に支度が完了し、登校する時間まで、朝の情報番組を見たり漫画や本を読んだりと、余裕に満ちた時間の過ごし方をしている。見たことのない光景だ。
子が早起きすると、登校時間より30分早めの時間に準備万端になるので、子供自身にも余裕が生まれ、仮に何かあってもリカバリができる。いいこと尽くしだ。

朝5時に起きることで、自分の変化に気付いたことがある。早く起きることで時間に余白ができる。そうすると、気持ち的にも時間的にも余裕が生まれる。イライラする率が下がるのだ。
いつもなら、ちょっとお茶をテーブルにこぼそうものなら「どこみてるの! 自分で拭きなさい」という鬼の形相をしたお母さんから雷が落ちていた、だろう。
それがだ。早起きした朝、お茶をこぼしてもイライラしないのだ。「大丈夫? 濡れなかった?」という、優しい顔のお母さんになれるのである。お母さんが機嫌よく優しいと、子も素直になれる。朝の雰囲気がすこぶるいいのだ。

毎朝5時に起きること。早起きをすることで生まれた余白のある時間を体感し、心穏やかな余裕のある自分に出会った。早起きすることの良さを自分なりに解釈し、腑に落ちたその時、「時間」と「余白」と「余裕」が私の中で共鳴した。

私が早起きすることで、家族みんなが朝から笑顔になる。
早起きをしたことで、改めて、そう答えが見えた。
家庭円満のために、大好きな二度寝は我慢して、これからも早起きをしようと思う。

《おわり》

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