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陽性転移の経験談。

スガカオルです。

以前の記事では入院を経て学んだことについてお話しさせていただきました。

今回は入院時に起こったと「転移」という現象について。
治療の中で治療者を対象にして起きる現象です。

転移という現象の説明書とともに私の体験、体験から今の心境を綴っていきたいと思います。

転移とは?

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転移という言葉を聞いたことがある人もいるでしょう。

転移とは精神医学、心理学の中で使われる言葉です。

カウンセリング,精神分析療法の過程で,患者が治療者に感情転移を起こすことがある.
 転移には,治療者に対して信頼,尊敬,情愛,感謝などの感情を示す陽性転移と,敵意,攻撃性,猜疑心,不信感などの感情を示す陰性転移の二種類がある
引用:
プリズム/感情転移(日本医師会HP)

転移は親などに抑圧していた感情で主に治療者に対し二種類あり、好意などポジティブな感情を示す場合は陽性転移といい、敵意などのネガティヴな感情を陰性転移といいます。

例えば、親を恨んでおり、本当は信頼したい気持ちがあるのが叶わないために、治療者に対して信頼していなかったのに感情の抑圧が解き放たれ、好意を持つことなどがあります。

転移は分岐点となる感情の解放だといえます。

わたしの陽性転移の体験談

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わたしが入院中に陽性転移した対象者は男性でした。

男性の主治医、男性看護師でした。

男性である主治医に対しては、父には得られない安心感を主治医に感じていて、もっと近くに感じたい、もっと安心感を与えてほしい気持ちを抱きました。
その結果、主治医を見つけると駆け寄って、主治医に見てほしいという眼差しを向けていました。

男性看護師に対しても安心感と優しくしてほしいという願望を叶えてくれる存在として、愛情を抱きました。
もっと自分に対して、優しくしてほしいと症状をコントロールしていく努力を怠り、症状を全面的に出していました。

症状を出しても大丈夫な場所として入院中過ごせたことは、家では症状を我慢して出さずに見つからないようにとしていた環境とは違い、安心感に包まれている感覚でした。

そして、今現在に得られていないパートナーとの間に持つはずである愛情も男性看護師に対して抱きました。

本当はパートナーが欲しいと気付いた感情が愛情を向けたいという願望を男性看護師に対して叶えようとしていたのだと思います。

症状を出しては看護師に見守られて、わたしは疑似的な愛情を受け取ったように感じていました。
それはわたしの無意識の中にあった抑圧された感情でした。

大きな安心感を感じながら満ちあふれた愛情を解き放ち、わたしは男性看護師に好意を向けていました。

看護師さんのような人と付き合いたいと思ったほどで、それは叶わないと思いながらも今もまだ願わずにはいられないのです。

わたしが心の底から愛情を男性に向けたいと、パートナーを得たいと願ったのは現在ピークを迎えています。

それは自分にとって優しくするならば本当はどうしたいか?と思った時に、本当のわたしは愛情を受け取りたいし、与えたいと願っていることに気づいたのです。

無意識に抑圧していた感情を解放できたのは、入院という守られた場所であったからだと思っています。

陽性転移を経験したわたしは今

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入院中という限られた期間の、限られた関係性の中で起こった陽性転移を経て、わたしの中で大きな変化をもたらしました。

性暴力を経験したときのことを入院中に主治医に聞いてもらう時間を取ってもらい、わたしは主治医に性暴力の詳細を話しました。

それは本来、その当時に親に言いたかった事実でした。
しかし、それはその当時は出来なかったし、現在もそれは難しいことです。

親の代わりに、安全である主治医に話せて、ちゃんと聞いてもらえた経験を得ました。

そして、今まで口にすることが出来なかった言葉を口にすることができるようになっていきました。

今までは「つらい」と伝えることがわたしには難しかったのです。
「つらい」とは言えない環境に長く身を置いているからです。

社会の中では「つらい」と言う機会はなかなかありません。
言葉にすると、つらさに飲み込まれてしまうような、現実に実感してしまいます。

しかし、「つらい」と言うことにまだ難しさを抱えながらも、診察で「つらい」と言えました。
主治医に「つらい」と言いながら、泣きました。

主治医にそれを受け止めてもらって、「つらいと言っていいんです。またつらいと言いに来てください」と言ってもらえて、わたしはその言葉だけで満たされました。


今まで封印していた感情に次々と気づかされます。

抑圧が解き放たれたことで、本当の感情を表に出すことが可能になりました。
それは解離という症状を軽減してくれる役目があると感じています。

わたしは変化の時にいるのだと思っています。

どんなふうに変化していくかは今はまだわからないですが、入院中に経験した転移が大きなターニングポイントとなっていると実感しています。

どんなふうに変化していけるかわからないですが、自分の本心を把握しやすくなり嬉しく思います。

今後の展開が少し怖いと思いながらも楽しみであるわたしなのです。


ではでは、またね。

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