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女はソレを我慢できない

※この小説は2016年に連載を開始したものであり、当時の世相を反映し、絶妙にダサく古臭いと思われるものも散見されます。
それに輪をかけて、百鳥ユウカは痛い女ですので、精読に耐えないものがあるかもしれません。

しかしながら、編集部および著者の見解として、当時の貴重な文化遺産的な
側面を評価し、連載当時のまま掲載いたします。


外はしとしと、小雨が降り続いていた。マンションの8階にあるユウカの部屋からは、霧に煙る街並がよく見える。部屋の中には、2人しかいなかったが、昔から知っている人間同士の遠慮ない空気があった。
ほんの5分前にしたユウカの提案は、わかりやすくしおりを不機嫌にしていた。得意満面のユウカの意に反して、しおりは呆れたような顔をユウカに向けている。


「モモちゃん、あなた酔いすぎだよ、やめなよ」
頭からに否定された分、引っ込みがつかないユウカは、逆に強くこのゲームをやる意義をアピールした。


「ナイスアイデアじゃない? ワインも買って来てもらえるし。1人に決めろって言ったの、しおりじゃん」
「馬鹿じゃないの?」
「なんで? ワイン買ってきてもらうだけだよ。だって今から女の子が外にワイン買いにいくなんて危ないじゃん? 外は雨だし。私のこと好きならむしろ買って来たいんじゃない?
しおりは、大きく「はぁ」とため息をつくと、それ以上は何も言わなかった。
(しおりは男心をわからないから……)


ユウカは、リビングのしおりから離れて自分の寝室に行った。
電話で話そうと思ったけど、狭いマンションの部屋だと流石にバレる。しおりに見つからないように、こっそりハゲ(桜井)と大輔(ジブリ好き男)にまったく同じ内容のLINEを送った。

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2,399字
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