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山のススメ

5月、友人と山に登った。
都内はかなり気温が高い時期でもう夏に近いくらいだったろうか。

出発したのは朝の5時。
少しひんやりとした空気のまだ眠っている町を歩き、ぼんやりしている頭で電車に揺られ、人がまばらな都内の駅で友人と待ち合わせをしておにぎりやポカリスエットを買い込み、道具などを借りてバスに揺られて数時間、山の麓に到着した。山の周りは畑や田んぼだらけの場所だ。

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まず登山口に着くまでに、人ひとりが通れる細い板2本を橋渡しにした道のようなものをひたすらに歩いた。両側は森、ときおり湖、穴が開いている場所もあり足元に神経を集中させて歩いた。すれ違う時はお互い道を譲りあってた。高さのある場所やすこしひらけた場所には鹿などの動物をみたという人などもいたようだ。

登山口にはちいさな宿やご飯どころがありそこでくつろいでいる人もちらほらといた。自分たちは正面からまず登り、帰りはキャンプ場を通り過ぎるようにして下山した。

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登山口に入ると、一面が苔と森と土や木の香り、雨の後の香りの中。足場の少し悪い場所をトレッキングシューズの靴底に岩などを感じながら歩いて行った。本格的に山がはじまると、岩が多くなり、次に足をどこに置くかどこを掴むのか、どのタイミングで足を上げるのか、重心はどこがいいのかなど常に自問自答しながら歩くこととなった。
しかしそれがとても面白く、うまい具合に一歩踏み出せたときや、大きな難所を超えた時、達成感としっかりと自分の足で登っているという充実感を感じていた。

岩や大きな丸太のあいだをのぼり、苔むした森を眺め、時折会話や水分補給をしながら進んでいく。上に行くにつれ、自分が昇っているすぐ右側が崖のようになっていたり、1メートル弱ほどある岩がゴロゴロと転がっているような道をのぼっていくことなる。だけれどそれがとても楽しく感じた。

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ところで山を登っていて印象深かったことがある。
それはすれ違う人や、先を行く人に道を譲るとき、かならず挨拶をすることだ。「こんにちは」でもいいし「どうも」でもいいし「ありがとうございます」でもいい、短く声掛けをしていくのだが、これがなんとも言えない良さがあると感じた。同じ山を登っている人たちへの敬意というか、山の礼儀というか、なんだかそんなことを感じた。

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途中休憩をしておにぎりを食べたり、鹿の生え変わった角を見せてもらったり、植物の種類を教えてもらったりしながら山を登った。水分補給はかなり大切なのでしっかりと用意しておくのが良いと学んだ。(チョコや飴などのエネルギー補給もうれしいものだった)

頂上に着いた時の景色はどこか嘘のようで、小さな赤い花が咲いていたり、すこし霧がかかっていたり、都内とは打って変わってひんやりとした空気がそこにはあった。そんななか友人とおにぎりを食べたけれど二人とも疲れすぎてただただ景色を眺めながらおにぎりを頬張っていた。
おいしかったなぁ頂上で食べる鮭おにぎり。

体力を使ったという点においては下山のほうが神経も使ったような気がする。登るのはまだ体力もあり余裕もあるが、下山は体力を消耗したのち下っていくので注意が必要だ。何度か滑り落ちそうな中ひたすらに歩いて下山をした。岩場が終わった時のほっといた気持ちは危うく遭難した人間のような心境でもあった。(今回の登山はガイドさんがついていたので安心だった)

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鳥の鳴き声、森のかおり、足取りは重くなりつつも前を一歩一歩踏みしめるあの時間は登山でしか味わえない醍醐味だと思う。今回は一応初心者コースだったが、翌日はしっかりと筋肉痛となった。

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帰りはバスで二人でぐっすり寝ながらも、パーキングエリアで大きな肉まんを食べたりしながら帰ったけれど、すごく楽しかった。
友人と行くときのバスの中で、ずっとごはんの話をしていたけれど、一生話せそうな気がした。ふたりともごはんが好き同士だ。

今度はもう少し簡単などこか山に登りに行こうかな。

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