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【小説】自然と農

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森の中に暮らす家庭菜園初心者の主人公が、雄大な自然と、時々愉快な仲間たちと送る、ちょっぴりお洒落で心温まる日々の記録。
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#日常

猫と僕の道

猫と僕の道

苦い珈琲。
ここの珈琲はとびきり苦い。

店内はケルト系の愉快な音楽が流れている。

パスタとチキンのハーフランチセット。
甘めのトマトソースとデミグラスソース。
ルッコラと共に盛り付けられ、良い彩である。

穏やかな午後にぶらりと立ち寄った行きつけのカフェ。

数日前には真っ新のアルバムと共に訪れた。
それに載せる予定の想い出は未だ見えないが。

窓の外に覗く濃い緑。
真夏の柳。

赤い窓枠に黄

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騒々しい朝には

騒々しい朝には

ソファの上で目覚めた朝。
出窓の直ぐ傍らに据えられた白いソファは、朝焼けのほの白い陽光で薄く光っている。

大欠伸で伸びをすると、ぼんやりと白い天井を眺めた。

どこもかしこも白。
この寝室は床とクローゼット以外全て白で、その床にも白いラグが敷き詰められているので、何となく常に明るい雰囲気がある。

月夜の無い朔の晩に至って、ようやくその暗闇を身近に感じると言う具合だ。

然も、過去の僕の趣味で大

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