役割分担がもたらす「不良(バグ)」
長くITプロジェクトを見てきた中で、よく起こるトラブルの要因の一つとして「技術的な問題」や「マネジメントの問題」「コミュニケーションの問題」のほかに
「役割分担による問題」
というものがあります。
役割を分割した分だけ、責任意識まで低下するのです。
担当分さえできれば他はどうでもいい…と言わんばかりの個別主義が支障になってしまいます。
チームや担当ごとに役割(テリトリー/スコープ)を決めるのは必要なコトですが、そのなかで最も求められるのは協働、すなわちコラボレーションのはずです。これができないと、チームワークが成立しません。
けれども、それぞれがそれぞれの都合ばかり押し付けあい、わざわざ自らの視野を狭く、視座を低く、視点を見えにくくしてしまうために、認識の齟齬が起き、プロジェクトが悲鳴をあげ、各自が自滅します。
一般的に求められるような、正常なプロジェクトを遂行したいのであれば、互いが互いを意識し、必要な情報の共有を図り、活動を連携して管理しあうしかありません。そうしなければ足を引っ張りあうだけです。
つまり、
・インターフェースをしっかり連携させる
・クリティカルパスに影響を与えない
・全体最適を最優先する
ということです。予算だけ、品質だけ、スケジュールだけが順調でも、何か1つでも破綻していたらプロジェクトとして失敗なのです。そしてそれは、破綻させたグループが悪いのではなく、破綻することがわかっているのに足並みをそろえようとしなかった全体の責任となります。
私が、マネジメントはさながら「ムカデ競争」に似ているというのはそういうことです。
足並みがそろわなければ全員がコケるのです。
そうならないためには、最低でも次のスコープを明確にしなくてはなりません。
(開発チーム:マネージャー)
・製品作成までの正しい成果物を定義し、deliverableを成立させる
・計画通りに進行するために必要な取り組みを随時実施する
・計画通りに進行できないケースを想定し、準備し、対策する
(QAチーム)
・ソフトウェア品質特性にあわせて、観点を絞り込む
・スケジュール内で成立する計画にする
・コストとスケジュールを無視しなくて済む品質のあり方を定義する
(オーナー)
・要求とコストとスケジュールのバランスをこそ最重要と認識する
・妥協点を設定しておく
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