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問題解決できない人の特徴

問題が起きたとき、すぐに「何をすべきか」と打開策ばかり考えてしまうのは、実は二流の証です。

特に「考える力」が必要になる仕事で結果が出せない人の特徴としては、すぐに「何をすべきか」という打ち手ばかり考えてしまうというものが挙げられます。

物事の本質を見ないで、目先の現実的な部分にばかり目を向けるということです。

 「テスト中に問題が起きた」
 「じゃあ、直しましょう!」

 「何故こんな間違いをしてるんだ!」
 「修正します」

と、こんな感じです。

「いや、こんなこと自分はしないよ」と思うかもしれませんが、ほとんどの人が打開策ばかり考えてしまってドツボにはまっています。

 打開策がすぐに出てくれば、早急に解決できる

そう思ってしまうのは致し方のないことかもしれませんが、それは是正法のごく一部を抜き出した表現であって正確なものではありません。打開策を考えて実行すると何かしら仕事をした気にはなるのですが、根本的に解決すべき問題を解決できているかというと疑問符「?」が付きます。

問題を解決するどころか余計な仕事を増やして、マイナスになってしまうケースもあるのです。

「打開策」ばかり考えてしまう人は、それでうまくいってきた目先の成功体験から抜け出せていないのです。

受験や就職活動で「これをすればうまくいくよ」というノウハウを学んで、それを一生懸命に実践して成果を出した人は特にこの傾向が強いようです。

「これであなたも~」と言われてその通りにやったら
100%全員が上手くいくと思うか?

残念ながら、そう上手くはいきません。

上手くいく可能性は上がるでしょうし、実際上手くいった人の言うことだから信憑性も高いでしょう。しかし、それだけですべてが完璧になるほど世の中は易しくありません。

成功体験は模倣が難しいのです。

何もしないわけにもいかないでしょうし気持ちはわかるのですが、ビジネスパーソンとして一皮むけたいのであれば、盲目的に「答え」だけを求めて目先の打開策を考えてやりまくる、という仕事のスタイルは見直すべきでしょう。

ITは Information Technology、すなわち

 『情報を適切に取り扱う技術』

の総称です。少なくとも私たちIT業界人、IT企業人は、その道のプロでなくてはいけません。そんな私たちが情報を適切に取り扱わず、考えもなしに盲目的に目先の解決法ばかりに振り回されているようでは、いくらプログラミング能力が優れていても二流と呼ばれても仕方のないことです。

まずは「課題」「原因」を特定しよう

すぐに何かしらの結果を出したい気持ちはわかるのですが、その前にまず「課題の特定」を始めるクセをつけましょう。

課題とは、解決するための問題のポイント(要点)です。

受験勉強でいうと「解くべき問題が何か」というところを考えるのです。これがわかっていないのにいきなりたくさんの公式を持ち出しても、答えが出るはずがありません。

まずは「問題文の作成 = 課題の特定」を実施するべきなのです。

そもそも、課題はどう特定していくのでしょうか。

私は、

 「理想と現実の差分を質問の形に落としていくこと」

だと考えています。この考え方は、システム開発時の『要件定義』で実施する思考とまったく同じです。お客さまの現在抱えている状況を確認し、そして変えたい理想像を要求事項として聞き取り、その差分(ギャップ)を開発上の『課題』として取り上げ仕様に落とし込んでいくのが要件定義です。

ここでギャップを正確に測ることができなければ、必ず顧客の要求事項に対する理解や実現するべき仕様に抜け・漏れ誤りが発生して、求められてもいない機能を設計したり、実装したりすることになります。

ですからこの考え方は要件定義そのものであり、上流工程を担うエンジニアであれば誰もが持っているべきスキルなはずです。

たとえば、次のような形で落とし込んでいきます。
年収2,000万円が理想、年収300万円が現実だとしたら、

「年収2,000万円に到達したいのに、現実は300万円しかない。なぜか?」

「就職活動のときに年収のことを真剣に考えておらず、
 取締役にならない限りその年収に到達しない業界を選んだから。」
「では、なぜその後転職できていなかったのか?」

 ↓
「その理由は……」

見ての通り、論理的思考の典型のようななぜなぜ分析形式ですね。

このような形で深めていくと、真に解決すべき課題を特定することができます。理想の姿を描き、現実を直視し、避けてきた質問に向き合い続けることがこのプロセスの全体像になります。

コンサルティングの世界では、この「課題」特定が大変重要視されます。

 「いったいお客様が何に苦しんでいるのか」
 「その課題は本当に解決する価値があるものなのか」
 「他にはないのか」

 「なぜそれがもっとも重要な課題と言えるのか」

……考えはじめると終わりがありません。

最終的に「どう解決するか」はもちろん重要なのですが、この課題特定なしに解決策だけを並べてもほとんど意味があるものは生まれてきません。

理想と現実を並立させ「なぜだろうか?」と質問の形に落とし込み続ける。
そしてその回答が本当に正しいのか、リサーチや他の人とのディスカッションを通じて検証する。

このプロセスを、しつこくしつこく繰り返してください。このプロセスにしつこくなれない人は、本気で解決する気がない人だけです。


仕事=誰かの困りごとを解決すること!

そもそも仕事とは、誰かの困りごとを解決することです。需要とはそういうものです。そして需要が無ければビジネスが成立しません。「誰が」「何に対して」「どのように」困っているのか、それを解決するためにあなたは毎日働いているのです。

建築業界であれば、衣食住の「住」を用いて解決する。
飲食業界であれば、「食」を用いて解決する。

IT業界は、その「困りごと」を主にソフトウェアの力を借りて解決する…というだけのことです。間違っても、プログラムを作成することが仕事だとは思わないでください。プログラムを作成するのは仕事を成立させるためのごく一部の手段でしかありません。

この大前提を理解しているかしていないかで、毎日の過ごし方も成長度合いも変わっていきます。なんとなく言われたことをこなしていたり、ただ考え付いただけのアイデアをポンポン実行することは残念ながら「仕事」とは呼びません。

「これならばあの人の困りごとを解決できるかもしれない」というところまで課題について真剣に考え、実際にそれを解決して初めて「仕事」になるのです。

言われたことをするだけではなく、ユーザーや取引先が何に困っていて、どうすれば助けてあげることができるのか、そういう考えを持った上で仕事をしてみてください。


課題解決能力と言うのはどの分野においても『仕事』における究極の能力です。

よく、採用時のエントリーシートや履歴書などに"社会貢献"をテーマに挙げる学生がいますが、もし本当に社会に対して貢献することを目的として社会人を目指そうと思っているのなら、入社後に

 「プログラミング、たーのしー!」

と言ってばかりではなく、楽しいか楽しくないかと言う低次元にとどまらず、

 「困りごとを解決するためには…」

という観点で仕事に触れるようにしましょう。全ての判断や行動の根拠は、最終的に「困りごとの解決」と言う目的につながっていることが重要なのです。

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