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ITエンジニアの論理的であるということ

みなさんがイメージする優秀なITエンジニア像とは一体どのようなものでしょうか。

高いIT技術力を持ち、対人コミュニケーションもスマート……。
たとえば、

 明快なロジックを駆使してシンプルなプログラム設計をする。
 システムのトラブル発生時、冷静に原因を究明し、解決策を見出す。
 顧客へのプレゼンテーションは的を射た提案内容で、説得力がある。

このようなイメージでしょうか。

技術は日々進歩し、トレンドも変化します。
ITエンジニアは高度で幅広いITスキルの修得に加え、絶えず学び、挑戦する姿勢がなければより優れた仕事を行うことはできません。枯れたスキルをいつまでも後生大事に抱えてプライドだけ肥大化したようなエンジニアは今のご時世嫌われるだけです。

また、組織内でポジションが高くなればなるほど顧客、取引業者、チームメンバーなど利害関係が異なるさまざまな人たちとの円滑なコミュニケーションを行う能力も必要になってきます。

ITエンジニアは、マシンやハードウェアが相手であれば自分が意識するしないにかかわらず、非常にロジカルにコミュニケーションしています。

コンピューターというものは究極的には0と1しか解さない相手なのでこちらがロジカルにアプローチしない限り、思うように動かすことができないからです。そこに人間の感情をぶつけても動じませんし、何も変わってはくれません。忖度もしてくれませんし、好き嫌いもありません。

コンピューターたちが鉄面鉄扉で応対するため、どんなに感情豊かな人間もコンピューターに合わせて完全にロジックのみで対応することになります。その意味でも、エンジニアを目指す人たちはロジックのみで物事を考えられるスキルがとても重要になります。

ところが、相手が人間だとどうでしょう。

相手の動きが読めず、どうやってアプローチしてよいかわからない…と苦手意識を持つ人も少なくありません。デジタルな世界では規則が明快なので、精密に分析すれば相手の先の動作は予測可能です。

ところが人間の世界ではそうはいきません。人間の行動は表か裏かというような単純なものではなく予測も簡単ではありません。このためこちら側も打ち手が定まりません。しかし、同様に相手もあなたがどのような行動をとるのかわからず、不安に思っているものです。

では、どうすれば、スムーズにコミュニケーションができるのでしょうか。

そのヒントになるのが「論理思考」という考え方です。

自分や相手がどのようなロジック(=論理)でものを考え、どのような行動パターンをとっているかを知れば互いの意志疎通もより円滑に行えるようになり、理解が深まります。

論理的といっても、なにもコンピューターのような考え方をしろと言っているわけではありません。以前もお伝えしてるように数学的な考え方をするだけです。そしてその数学的というのも特に難しいわけではありません。

算数的
 "="の左辺に問題があって右辺に答えがある。
 「一律共通の問題があって、人がそれぞれ答えを考える」時に使う。
 個人活動ではそれでいいかもしれないが、思考力が弱い人はカンニング
 (他人に答えを求める)ことしかできない。
数学的
 "="の左辺に解答があって右辺に解答の証明式がある。
 「まず理想の形を定義し、どうやって実現するかを考える」と気に使う。
 集団活動や商談で同じゴールを共有し、ブレないようにする。
 そしてそのゴールまでに至る実現アプローチは筋道を立てて考える。
 その実現アプローチは人それぞれだけど結果が同じならお客さまも満足するし
 次の仕事を引き継ぐ人もこまらない。

というだけです。

ITエンジニアの仕事では異業種企業向けに開発案件を進めたり、海外の企業とプロジェクトを組むことも珍しくありません。その場合でも、ロジカルに考えて実際に発言や行動で示せば企業文化や常識がまったく異なり、前提が違いすぎる相手とでも円滑にコミュニケーションできるはずです。

人間とコンピュータという極端に考え方のアプローチが異なる相手と、しっかりコミュニケーションを成立させることができてさえいれば、相手がインド人であっても中国人であっても欧米人であっても、大人であっても子供であっても、男であっても女であっても心配はありません。

ITエンジニアという職種でありさえすれば、自国の教育課程で論理思考のスキルを身につけています。グローバルなビジネスを展開する上で、ロジカルであることはデファクトスタンダードです。

では、どうやったら論理的に考え、行動がとれるでしょうか。

ITエンジニアであれば簡単です。プログラム開発やシステム構築の仕事を思い浮かべてみてください。ひらめきや思いつきでコマンドを実行しても、期待する結果は得られませんよね。

論理的に行動するためのステップ

得意不得意にかかわらず、みなさんそうしているはずです。実行に移す前、設計や検証などでかなり緻密に考えるはずです。要求分析や要件定義ではお客さまの「現状(As-Is)」を把握して、理想(To-Be)を洗い出していることでしょう。プロジェクト計画の段階ではそうしたAs-IsとTo-Beのギャップを「いつまでに」「誰が」「どのようにして」埋めていくか筋道を立てて綿密に考えられているはずです。

案外、自覚していないところで論理的な仕事の仕方をしているのです。

同様に、みなさんが仕事で論理的な行動をとるためには、事前の思考フェーズに時間をかけることが不可欠です。ただ漫然と考えていてもいたずらに時間を浪費してしまうだけだからです。

ビジネスはスピードも重要ですよね。
ビジネスは「ビジネス」だからこそ、必ず期限を設定されます。

 「いつまでに」「何をしたら(納めたら)」報酬が支払われるか

がビジネスの本質だから当然です。
ですので、期限内に必ず契約条件を満たす必要があります。どんなに良い方法があったとしても、どんなにやりやすい方法を発見したとしても、期限内に終わらないのであればその方法は採用できません。必ず期限内でなくてはならないのです。

その期限条件を満たすために必要な要素の1つが「スピード(=生産性)」です。

論理思考の方法を身につければ成功の確率が確実に向上します。「論理的に考える」とは一体どういうことなのかを理解し、その習慣を身につけましょう。

論理的に行動するためのステップを具体例に当てはめるとどうなるでしょう。

当然ですが、いきなり正解に辿りつけるわけではありません。ステップ2~4を何度も繰り返して、徐々に思考の精度を高めていきます。

思考の精度を高めるステップをしっかりと、次のステップ5で実行を行ったときに成功の確率がグッと高まっているはずです。

論理思考とは、すなわち以下のように捉えます。

  • 目標を実現するために全体像を的確に捉え、必要な要素を網羅的に洗い出す

  • 要素を分析し、飛躍なく筋道立てて結論に導く

  • 検証を繰り返して、結論の精度を高めていく

一般に「論理」という用語は抽象的で捉えにくいものですが、ビジネスの世界で使う「論理」思考は上記3点でシンプルに言い換えることができます。

すると、プログラミングを中心に行うプログラマーから仕様・設計を確立するエンジニア、お客さまからニーズを聞き出し実現性を検討する上級のエンジニア、またそれらを取りまとめてプロジェクトを成功に導くプロジェクトマネージャーまで、誰もが兼ね備えていなくてはならない力量の1つであることがわかりますよね。

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