頭がいい人は余計なものを持たない
机の上にものが多い人は仕事にも無駄が多いと言われています。
「整理力」は様々なことに通じ、かつ応用力に長けたスキルです。机の上一つみると、その人が日ごろから何を整理しているのか、できるのか、その程度や処理速度まである程度想像ができます。というか、そういったことに無頓着かどうかがわかります。
実は、こういったことは統計データからもすでに判明していたりもします。
製造業の生産現場において工場改善の基本となる考え方である5S活動などが、優秀な業績を上げ続ける企業においては工場と関係のない現場においても重宝され、継続的に実施されていることには意味があるのです。
案外、こうした背景を知らないままなんとなく「古い体質」と軽視している人は、別の能力において秀でることはあってもこうした情報やタスクなどの整理・整頓がおろそかになりがちでその分非効率的な運用になっていることも多いのではないでしょうか。
ゆえに
頭がいい人は、余計なものを持たない
と言う差が目に見えてわかります。
これは断捨離とはまた別の次元の話です。本当に必要なものであれば捨てていいわけがありません。机の上がすっきりしていればいいのではなく、
「必要なものが必要な分だけ存在している」
…つまり過不足が発生せず、どこに何があるかがハッキリとしていて可溶性が高い状態となっていることがいいのです。まず「ゴミ(冗長的なタスクや成果物)を出さず」に仕事をすること、次に不要なものはその都度捨てることを心がけましょう。
仕事を無駄なく行うことは仕事の効率に大きく影響します。
無駄は「労働力の減少」「労働時間の消費」「効率性の低下」など基本的に悪いものしか生み出しません。人生においてはムダとも思える回り道をすることで精神的な安寧を得ることもあるかもしれませんが、仕事においてムダがそういった作用を生み出すこともありませんし、業績に影響すれば自身の人生すら台無しにしてしまいかねません。
そうした問題を引き起こさないためには、いらない作業だけではなく、いらないモノをそぎ落としていくことも大事です。
いつ使うかわからない書類
いざというときにあると便利だけどほとんど使っていない文房具
読みかけの新聞や雑誌
意味もなく並べられた食玩 ……etc.
現在使用している机は、進行中の仕事に関係ないもので埋め尽くされ、作業がしづらい環境になっていないでしょうか。
置いた直後は楽しいかもしれませんが、徐々に飽きてきて仕事の邪魔と感じるようになるでしょう。もちろん楽しいと感じていたころも、そう感じるほどに集中力が削がれていたわけですから間違いなく業務効率は落としていたはずです。
また、パソコンも確認してみてください。
パソコンの動きを悪くする使いもしない常駐ソフトウェア
同じくパソコンの動きを悪くするファイルだらけのデスクトップ
なかに何が入っているかわからない整理されていないフォルダ
開封パスワードがわからなくなった二度と開けないファイル ……etc.
必要なものがどこにあるかわからず手間取っていませんか?
これらはすべて仕事の効率化を阻害するものです。
こうしたものたちは一つひとつがもたらす効率阻害の度合いは大したことがないものかもしれません。ですがおそらく1年という長いスパンで見てみると数時間、数十時間、場合によっては数百時間の無駄になっていることでしょう。
個人でそのくらい影響があるのです。
では、企業全体で見てみたら?
もし1000人規模の企業で100人がそのような整理ができていない人たちだと仮定して、その人たちが年間100時間(12.5人日 ≒ 0.6人月)無駄にしているとしたら、延べ
60人月
が全く非生産的な活動に費やされ、しかも報酬を支払っているということになります。仮に1人当たりの平均月単価を100万としたら、年間6000万もの経費をドブに捨てていることになります。
本来なら無いに越したことはないのですが、整理が苦手な人は『捨てる』ことに対して抵抗があるようです。いわゆる貧乏性です。
「いつか使うかも」
「ないと不安」
「捨ててよいのか判断できない」
「捨てるのがめんどくさい」
こうなると身の回りはモノであふれてしまい、仕事の効率はどんどん落ちていき、仕事の処理能力の低い人と言われることになってしまいます。
その点、頭がいい人は、持ち物に無駄がありません。
「必要のないもの」「なくても困らないもの」「使い終わったもの」などは次々に捨てていきますし、必要な人がいる場合はそちらに渡します。また必要性が生じたら都度調達すればいいと考えています。ですからいつも非常に整理整頓された環境で仕事をします。
整理整頓された環境で仕事をするということは、物を探したり、物を選んだりする非生産的な時間がなくなるということです。その労力をほかのことに費やせるということです。
たとえば最近ではリモートワークが常態化した業界や企業も増えてきました。
そうすることで「通勤時間」という非生産的な時間から解放され、プライベートな時間が大幅に確保できるようになったことで仕事にも集中しやすくなった…という人も多いのではないでしょうか。
無駄なものを増やさないなためにはいろいろな工夫が必要です。
まず、いずれ捨てることになるのですから、最初から無駄なものをつくらないよう心がけることです。書類や資料は、紙で保管する必要があるものや承認印がいるもの以外は印刷をせず、パソコンの画面のなかで処理をします。
試し印刷をしたり、未完成のものを仮印刷したりすると、気がつけば机の上に山積みになりいずれゴミになります。それに、紙にすると確かに俯瞰して確認しやすくなりますが、すべての情報に対して「目で追う」という選択肢しかなくなるため、場合によっては非効率的となってしまうことがあります。電子データの状態にしていれば検索機能などが即座に使えるのに、わざわざその選択肢を捨ててムダを採るということになっているわけです。
すでにゴミになってしまったものは、しかたないのですぐに捨ててしまいましょう。
こうした書類の裏をメモ用紙として取っておく人がいますが、程度問題です。「もったいない」という理由で大量に取っておくのは、結局使わないだけでなく散らかって他の仕事に差し障りが出るだけなのでやめましょう。
それに、似たような書類があると、
「どちらが最新版なのか」
「どちらがいらないのか」
わかりづらくなります。これはファイルで管理していてもそうですが、版の異なる情報群を何個も複製して管理するのは、20年前であればまだしも現在ではナンセンスです。企業でも組織でも、チームでも、なんなら個人でもバージョン管理ツールは活用できます。常に最新のみを管理しつつ、過去の版は必要に応じて確認できるような手段を講じ、整理された情報管理というものを心がけましょう。
また、あとで捨てるとなると必要な書類とそうでない書類を再度いちいち確認しないといけなくなります。不要なものは最後にまとめて捨てるのではなく、その都度捨てるのが鉄則です。
ただし、公式な書類や伝票などは、法律や社内のルールで保管期限が定められているものもありますので、きちんと把握しておく必要があります。
メールも同じで、不要なものはその都度捨てるとスッキリします。
特にメールは受信トレイに何千件と溜まってくると、あとから見直そうとしたときに検索機能を使ったとしても見たいメールにたどり着くには時間がかかります。
効率がいい人や効率を上げることで仕事のできろよくしようと考えられる人は、不要なメールは削除し、必要なメールはフォルダ管理をして効率化しています。ちなみに私の場合は、プロジェクトにまつわる情報だと償却期間となりそうな5~10年、社内業務だと一般的に「中期」と呼ばれる3年は残しますが、半期ごとに棚卸をしていますので、超過すれば必ず削除します。
生産性の高い人は、
仕事が速いこと
仕事に直接関係ない時間をつくらない工夫
の両方に優れており、そうして作ることのできた余剰時間を
質を高める
ことに費やすことで、「速さ」と「出来」…すなわちスケジュールマネジメントと品質マネジメントの両立を図っているわけです。
アイデアを駆使して新しい価値を生み出すような一部の天才を除き、企業に貢献する優れた人材の大半はこの点をおろそかにすることはないといっていいでしょう。
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