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ベンチマーク店の視察方法で、あなたのお店が繁盛するか否かが左右されます。実証済みの効果のある視察方法をお伝えします。

宇宙一外食産業が好きな須田です。


久々の長文です。

それほど大事なことをお伝えします。


今月は、マーケティングについての、大切なポイントをお伝えしております。
前回はターゲットとなる立地が決まった際に行う、調査手法についてお伝えしました。

先ず、出店する業態のイメージを持つことの大切さ、月間の考え方、週間の考え方、曜日の考え方、ランチ帯・ディナー帯の考え方、天候と気温に関する考え方と、細かくお伝えしました。

立地調査は、時間をかけて何度も何度もテーマを持って視察に行くことをお伝えしました。

今回は、実際にどのお店に行くべきかと、お店に行った際に、どこをどのように調査するのかをお伝えします。


通常、ターゲットとなる立地は、必ず人気店や人気業態が存在しています。

その街のそれぞれのエリアで、あらゆる業態で、繁盛店・人気店が、人気業態が存在しています。

ネットで検索すると、いくつも高得点のお店が出てきます。

ランキング形式のサイトも有るので、ある業態をフォーカスするだけで、どのお店が人気店かが瞬時にわかります。

この情報から、ベンチマークとなるお店をピックアップしていきます。

ベンチマーク店とは、出店する業態の参考となる要素を持ったお店のことを指します。

このベンチマーク店を調査することで、その立地の人気要素の傾向が理解できます。
多くは、この様なネット情報を基にベンチマークするお店を決めます。

勿論、私も同様にベンチマーク店を決めます。

このベンチマーク店を視察する際の、明確なルールがあります。

それは、店舗、商品、人を見ることです。

一つずつ解説していきます。

先ず、店舗ですが、店舗の見るポイントは、大きく分けて二つ、外装と内装に別れます。

外装の重要ポイントは、視認性の確認です。

どれくらい遠くからお店を見つけることが出来るのか、ファサードに必要な情報が掲載されているのか、デザインのポイントは何かを見ます。

視認性は、言うまでもなく非常に大事になります。

遠くからも看板が目立つ、キチンと店名が読める、業態が明確な文字情報として掲載されている、キャッチーなうたい文句があるなど、街を歩いているお客様にお店の存在と、業態がハッキリと理解出来て、その業態の特性が伝わり、柱商品・集客商品が一瞬で伝わる施策がされているのかを確認します。

当然、街には多くのお店があります。

その中から、お店を目指しているお客様に的確に見つけて頂く、もしくはどこに行こうかと考えながら街を歩いている見込み客の方に、ここでいい、ここがいいと感じて頂く必要があります。

その為には、目立つことが必要で、見つかる必要、伝える必要があります。

多くの繁盛店を創ってきた私の基準ですが、ファサードはいい意味で少しダサくて、下世話な感じで、あえて意図的に少しデザイン的に残念な部分を表現する方が、実は大きな集客力を発揮します。


どうしても、かっこよくファサードを決めたくなりますが、いい意味でデザイン的にちょっとファサードを崩すことで、お客様は心理的に格段に入りやすくなります。
かっこをつけすぎると、お客様に対して拒否感のようなものが出てしまいます。

デザイナーにデザインされたお店で、緊張感バリバリで、キーンと張り詰めた感じがするファサードのお店は、ほぼ間違いなく集客力が爆下がりしています。

緊張感があり過ぎて、入って良いのか、入ってもし間違ってしまったらと感じてしまう、そんな印象を与えてしまうと、どうしても集客力はダダ下がりしてしまいます。

会員制で高級業態ならば、一般客をターゲットとしていないので、緊張感があるシャープなデザインは最適ですが、大衆をターゲットとした業態では、緊張感があるファサードはマイナスでしかありません。

極力、入店障害を下げることを目的に、どのようなデザイン処理がされているかを確認しましょう。

店舗前に掲載する情報にも、鉄則があります。

それは、商品・価格・店内環境、この三つが情報として掲載されているのかを確認してください。

メインとなる商品、集客商品、柱商品が言葉と映像で表現されているのか、その商品の価格はいくらなのか、そして、どのような環境で楽しむことが出来るのか、人数やモチベーションと合致した環境なのか、コーナーや個室があるのかが、入店する前に理解できることで、ハードルが下がります。

今日の、その時に状況と欲求に合致した商品があり、価格帯であり、環境ならばお客様は迷うことなく入店できますが、これらの情報が掲載されていなければお客様は怖くて入店が出来ません。

ベンチマーク店は、その点をどのように工夫して効果的に表現しているのかを確認します。

また、ファサードデザインが、店舗コンセプトを感じることが出来るのか、業態特性を表現しているのかを、確認してください。

一見しただけでは、業態が理解できないようでは、繁盛店にはなりにくいです。

ベンチマーク店がどのようなデザイン処理で、業態特性を表現しているのかを確認してください。
次に、入店して確認するポイントですが、先ず、席数と卓数を確認してください。

総席数と、何名テーブルが何卓有るのかを確認します。

カウンターは何席、2名席は何卓、4名卓は、個室は何部屋あるのかを確認します。

これにより、組人数の設定が理解できます。

多くは4人テーブルを基準に組み込んでいますが、繁盛店になれば成る程2名テーブルを効率的配置しています。

席数と卓数を確認して次は、席効率を確認します。

上記のように、2名客4名客6名客の席バリエーションが組めるのか、6人テーブルばかりで、見せかけの席数が多いのか、この席効率が満席率と回転率を左右していますので、絶対に確認してください。

次にゾーニングです。

そもそもゾーニング理論が導入されているのかいないのか、いるのなら厨房から距離感で、効率的にゾーニングされているのかを確認します。

これが、店舗で確認する主なポイントです。

このほかにも、トイレの位置とブース数、アメニティなど、トイレだけでもチェックポイントは複数あります。

そして言うまでの無く、厨房の位置も重要です。
入店した瞬間に厨房をどう見せるのか、何を訴求させているのかを確認してください。

オープンキッチンで、ライブ感があるのか、オープンキッチンが逆に災いして、汚い厨房が見えているのか、作業導線、作業効率を確認してください。

特に、集客商品となっている商品をどのように調理しているのかを確認してください。

もし、同様の商品を集客商品として考えているようなら、ベンチマーク店の作業工程が非常に参考になります。

同様に行うことも、自店が抱えているある課題点が解消されることも、ある課題点を見つけてより改善することも出来ます。

ですから、作業工程を確認できるようなら、必ず実施してください。

何軒かベンチマーク店を調査すると理解できますが、繁盛店のそのほとんどがオープンキッチンであることに気づかれると思います。

クローズキッチンよりも、オープンキッチンの方が断然に多いことに気づかれると思います

このほかにも店舗の視察ポイントは沢山ありますが、先ずは集客に関係するファサードと、店内の効率性の確認を行ってください。

いよいよ席に案内されて、商品をオーダーする段階へと進みます。

ここで重要なことは、メニューブックを先ずは読み解くことです。

メニューブックで何を表現しているのか、集客商品と利益獲得商品を読み解いてください。
そしてそれがどのように表現されているのか、商品名は、キャッチコピーは、キャプションは、価格設定は、比較商品は、メニューブックのどの位置に掲載されているのか、写真の大きさなどを見てください。

私は、かねてよりメニューブックは、会社で言えば営業マンであると言っています。

営業マンが会社の商品を販売してきてくれます。
優秀な営業マンは沢山商品を売って来てくれ、そうでない営業マンは今一つの営業成績です。

同様に、メニューブックも優秀かそうでないのかを、この段階で確認します。

優秀な営業が出来るメニューブックは、目移りするほど商品名もキャッチコピーもキャプションも素敵です。
写真もシズル感がちゃんと表現されていて、プロのカメラマンが撮影したことが理解できます。

間違っても、スマフォで撮影された写真は使っていません。
メニューブックに賭けた、情熱と期待とコストが見て取れます。

メニューブックを、戦略的にどのように扱っているのかを確認してください。

次は、商品の消費ストーリーを確認してください。

メニューブックを確認して、それぞれのカテゴリーから気になる商品をオーダーしたとすると、どのような商品の消費の流れが起きるかを確認してください。

その消費の流れが、そのまま組単価として見えてきます。

例えば居酒屋ならば、軽い物から始まり、すぐ出せるもの、サラダなどのシェアするもの、メインとなる、揚げ物・刺身・焼物などが連なっているかどうか、そして〆の飯ものなど、食べたいものがそのまま食べたい順番で表現されている、そのまま素直にオーダーできるかどうかを、確認してください。

そして、いよいよオーダーですが、オーダーしてから商品到着までの時間は当然計測します。

スピード提供が成されているのか、商品は写真通りか、シズル感は、提供温度は、到着後の香りはどうか、消費するタイミングをみて提供してくれているのか、メインまでの提供時間は、など、消費に関することと連動して商品を確認します。

そして、商品そのものを確認します。

私が、商品到着後に必ず行うことがあります。

それは、匂いを見ることです。
臭いは、脳にダイレクトに情報を伝える作用があります。
太古より備わった身を守る本能ですが、これを活用して商品情報を匂いから読み解きます。

動物性の食材のニオイ、使用している調味料のニオイ、その他気になるニオイを見に行きます。

ここからある予想を立てます。

次に私は、よく商品を分解してみます。

何が入っているのか、カットの大きさや形を見ます。
視覚的に確認してから、先ほどのニオイから得た情報の裏を取りに行きます。

それからやっと一口食べます。
何もつけずに、そのままを食べます。
その後、調味料やタレを掛けて食べます。

商品そのものの味を確かめること、タレなどがかかった時の味の変化を見ています。

この様にして、一品ごとに商品の特性を分解して確認していきます。

そして、他のテーブルを確認します。

何が乗っているのか、共通している商品は何か、何皿乗っているのか、どの程度グラスは乗っているのか、何杯飲んでいるのかを見ます。
テーブルを見ると、消費形態が完全に理解できます。
何が何品×金額=組単価 ÷テーブル人数=客単価
一発で明確になります。

この作業を、見える限り全卓行います。
すると、ほぼ間違いなく、客単価も組人数も把握できます。

この情報が後々自店の計画に、重要な要素として反映されます。
アバウトな予想と想像の客単価ではなく、幾らの商品を何品オーダーして、どの酒類を何杯飲むから、この客単価と設定出来ます。

実際の消費形態から、客単価を割り出すことが出来ます。

同時に、平均組人数と満席率と回転率を掛けて日商をだして、営業日数を掛けると月商が算出できます。

テーブルをみることで、ベンチマーク店のコンセプトが理解できます。
仮に、ベンチマーク店が表明しているコンセプトと違っていても、お客様に伝わっているコンセプトが理解できます。

それこそが、求められているコンセプトとなります。


この情報が、経営的にどれぐらい重要と感じてマーケティングを行うのか否かがとてつもなく重要になります。


ベンチマーク店の視察時に、非常に大事なポイントがあります。

商品が提供されて、どんどんお酒も進んできます。

実は、この商品が出て来る当たりから、マーケティングは徐々におかしくなっていきます。

それは、どんどん食べ進んでいき、お酒も入ってくると、ほぼ間違いなくマウントを取ってきます。

思っていたほどでもない、それほどでもない、何故この商品がこんなにもお客様に支持されているのかが解らないとなってきます。

場合によっては、このあたりのお客は味を知らないんだ!と、なる場合も有ります。

そして最後には、これならウチの方がうまい!と、なってマーケティングは台無しになってしまい、飲み会へと堕落してきます。

マーケティングは、そのわからないことを探りに行くこと、集客しているポイントを調査することが目的なのに、いつの間にか解らない、ウチの方がとなって帰ってきてしまいます。

自ら答えを探すことを放棄して、それほどでもない、ウチが勝てると息巻いて帰ってきてしまいます。

そして、残念な結果を招いてしまいます。

ウチの方がうまいのは当然です。

自分が作っている、いつもの味で、食べなれた時ですから、ウチの方がうまいは当然です。

その中から、ベンチマーク店の商品の何がお客様を惹きつけているのかを確認する作業が、マーケティングの目的です。

そこをはき違えないようにすることが、最も大切なポイントです。


そして最後に人を見ます。

観なければならない人は、スタッフとお客様です。

スタッフは、人員体制とコントロールタワーがいるのかいないのか。
いるのならそれは誰なのか、その方の実力はどの程度なのか、その方の手腕でお店の満席率と回転率は影響されます。

繁盛している理由が商品ではなく、このコントロールタワーのスタッフのおかげという場合も非常の多くあります。

ですから、コントロールタワーを、注意深く観察してください。

次にホールスタッフを観察します。

実際にオーダーした時の受け方を確認します。
言葉のやり取り、姿勢・目線・表情・しぐさと、商品知識やおすすめ、確認作業など、そのお店のルールの基準とトレーニング度合いを確認します。

繁盛店の多くは、やはりスタッフの熟練度が高いことが一般的です。
コミュニケーション能力も高く、トレーニングもある程度しっかりとなされています。

そこを、キチンとみておきましょう。

特に自店のトレーニングに反映させるように、トレーニングで何を伝えるべきかを感じながら、ベンチマーク店のスタッフを観察してください。

そして最後が、最も重要なことです。

それは、お客様を観察することです。

マーケティングの本質的な意図は、お客様を観察してお客様のモチベーションを確認することです。

お店も商品もスタッフも、その確認するための情報でしかありません。

一番ベンチマークしなければならないのは、お客様です。

お客様の質、年齢層、見なり、装飾品などの外部情報を拾います。

これにより客層が把握出来ます。
次は、会話・表情・行動パターン・滞在時間などを確認します。

これにより、モチベーションと不平不満、満足ポイントも惹きつけられているポイントが理解できます。

特に、滞在時間は回転率に影響するので、商品の提供時間を連動してお客様の滞在時間を計測することは、非常に重要なポイントです。

このほかにも、ベンチマークをするポイントはまだまだ沢山あります。

このベンチマーク店の視察方法だけで、セミナーを1本組めるぐらいにありますが、実は多くの方がマーケティングの重要性に本質的に気付かれたいないので、置き去りにされています。

その結果、ご自身の想いと感覚だけでお店をオープンしてしまい、想定外の事態と感じる結果を自ら招いてしまいます。

以上がベンチマーク店の視察方法の一部です。


そして最後に、
最も重要なことをお伝えします。


マーケティングはどうしてもベンチマーク店ばかりを行いますが、ベンチマーク店のすぐ近くにある、同業態に似たような業態も必ず確認してください。

人気店の近くにあると言うことは、同じお客様に利用される確率が高いお店です。

それなのに繁盛していない、閑古鳥が鳴いているのなら、必ずそこには原因があるはずです。

微妙に何かが違っていると思います。

その違いを産んでいる違いを確認することが、実は最も大事なんです。

何故かというと、その繁盛していないお店と、同じとことをやってしまう危険を、あなたも持っているからです。

よく考えて頂きたいのですが、繁盛しているお店が繁盛していないお店よりも先に出店しているのなら、当然繁盛していないお店は繁盛しているお店の存在を知っていて、どこかを何かを変えて出店しているはずです。

逆に、繁盛していないお店が先に出店していたのなら、何かを変えたおかげで繁盛したということです。


この違いを産んでいる違いを確認して、冷静に分析をしないと、同じ間違いを起こす可能性が高くなります。

ですから、ベンチマーク店の近くにある繁盛していないお店もベンチマーク店であると認識して、必ず調査することが最も重要です。


ここを怠ると、あなたも繁盛していないお店と同様の思考パターンとなり、望んでいない結果を手にする可能性が高くなります。


それを回避するための作業が、マーケティングの絶対的と強く再認識してください。

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