見出し画像

Chef Ropiaさんにお目にかかってきました。想像以上の経験が待ち受けていました。

宇宙一外食産業が好きな須田です。

行って来ました、リストランテ フローリア。

想像以上の非常に濃密な時間を過ごすことが出来ました。

そして、貴重な体験と学びを得ることも出来ました。


お店には、ランチタイム真っ最中の12時30分に到着しました。

タクシーで向かう道すがら、ドライバーの方に長野の情報を頂きながら、お店へと向かいました。

リストランテ フローリアに到着し、まず、お店の周りをグルっと一周して、店構えを確認しました。

入り口のステップに表示している販促物の内容と、お店への導入部のディスプレイなども確認して、お迎え感の演出なども確認させていただきました。

扉を開いて、手を消毒していよいよ入店です。

入店して私の名前を告げる前に、出迎えて頂けたスタッフの方はもう私のことをご存じの様子で、

「お待ちしていました 今日はありがとうございます」と、温かく迎えて頂けました。

このことからフローリアさんは、情報も教育も行き届いている印象を最初に感じ、良いチームワークが出来ていると感じ入りました。


お店の一番奥の席を用意していただいており、そこへ案内されました。


テーブルの上には手書きのウェルカムカードまであり、大切にお迎えして頂けたことへの感謝が溢れてきます。


お店の、スタッフの心遣いが伝わります。

画像1


先ほど席へ案内してくれたスタッフさんからランチの説明を伺い、カルボナーラのランチを注文しました。

ランチは、前菜、サラダかスープを選べて、メインはカルボナーラ、そしてドリンクという構成でした。

寒かったせいもあり、私はスープをお願いしましたが、メニューの裏表紙に書いてある手書きのコメントを読んでいるうちに、どうしてもここの野菜を食べてみたくなりました。

程なくして、Chef Ropiaさんこと小林シェフがお越しくださり、ご挨拶の機会を頂戴できました。


改めて、RopiaさんのYouTubeで取り上げて頂けたことへのお礼と、本日のこの訪問を快くお引き受けて頂けたこと、セミナーを開催させて頂けることのお礼をお伝えさせて頂きました。

その際に、メニューのコメントを読んで、どうしてもサラダも食べてみたくなってしまい、Ropiaさんにサラダも追加でお願いしてしまいました。

この選択は、大正解でした。
詳細は後程紹介します。


オーダー後すぐに、前菜とスープが到着しましたが、可愛い前菜はフィンガーフードと見間違えるほどに、軽やかな印象でその後のメインの前振りとしては十分な役割を果たしていました。

添えられていた野菜のマリネも、食感も食味も申し分なく、技術力の高さを感じさせる一品でした。

画像2


スープはミネストローネでしたが、トマトの旨味と酸味を上手く活かした軽い感じで、他店で多く見受けられる濃度の高いタイプではなく、前段のポジションとして重くならないように計算されていることが理解出来ました。


画像3


このスープに入っていた芽キャベツが秀逸で、スープとは別建てで火入れされていることが理解でき、食感を残しながらも旨味と風味を引き出していて、その風味がスープに奥行きと軽やかさをいきわたらせていて更に、魅力を強調していました。

これだけで、安心してしまい、納得できて、お店側の意図とコンセプトを感じました。


タイミングよくサラダが登場しましたが、無理を言ってサラダお願いしたことは大正解でした。

このサラダが、完全に逸品料理として完成されていました。


画像4


ランチセットにありがちな、添え物のようなサラダでなく、彩りも盛り付けもお皿とのバランスも、料理としての完成度が高く、それだけで感動を感じさせる秀逸なサラダでした。

野菜一つ一つの下処理が丁寧で、包丁でカットしているものと、手でちぎっているものと調理法を分けて、食感の違いと香りの引き出し方を変化させています。


配色のバランスも計算しており、あと振りのチーズが結着材となり濃度と旨味を増幅させる働きもしておりました。


勿論、お皿はキンキンに冷えていて、最後の一口まで鮮度の高さを感じさせる補佐役を果たしておりました。

一口、サラダを含んだ瞬間に出てきた感想は

「野菜の美味しい大人のイタリアン」


咄嗟に浮かんだキャッチコピーです。

リストランテ フローリアは、間違いなく野菜の美味しいイタリアンです。


これは、ブランディングになりうる強烈なUSPだと思います。


世にイタリアン業態は数々ありますが、野菜をここまで丁寧に扱い、仕入れも地元の農家さんから直接仕入れており、丁寧な仕事をしているリストランテはそうは多くないと思います。

そもそもイタリアンは、マンマの味をベースにした料理です。

庭に生えている野菜やハーブを使って調理していたことが、発祥のようなところがあります。


そのようなことを彷彿とさせるサラダでした。


そして、浮かんだキャッチコピーが、

「野菜の美味しい大人のイタリアン」

です。

シンプルでわかりやすい言葉と思います。

サラダを堪能している間に、スタッフのライさんと沢山お話しをさせて頂きました。

スープの芽キャベツの火入れのことも、サラダの野菜ごとのカットの違いも確認させていただきました。

新しいランチメニューの意図も、確認させていただきました。

素晴らしいことは、何を質問してもキチンと答えがあることです。
”何となく”とか、”わかりません”ということはなく、”こう考えてやってみました”と、仮説を元に検証作業を行っており、繁盛化への最初のステップを踏み出していることを理解できました。


ライさんと話し終わってサラダも完食したタイミングで、カルボナーラが登場しました。


画像5



想定以上でした。

観た時のインパクトもそうですが、一番すごかったのは、香り。

香りを届けられないことが、これほど悔しいとは思いませんでした。

それほど素晴らしい香りで、テーブルに届いた瞬間に、思わず声が出てしまいました。

自家製のパンチェッタの香りと、チーズの香り、この二つの香りが相まって、もう期待を抱かせないわけがないほど、強烈な序章をぶつけてきます。


一口、麺を口に含もうとした瞬間に、その香りが喉の奥までいきわたります。

咀嚼するたびに、口腔から鼻腔へと香りが抜けていき、何とも言われぬ幸せ感が充満します。

塩味もしっかりとしており麺が美味しく、これも茹で論の奥田シェフの教えなのか、高い塩分濃度で茹でた結果、ツル、プリッ、ポン、を実感できた瞬間です。

パンチェッタの香りがパスタ全体に行き渡っており、最後の最後の一口迄、やられしまったカルボナーラでした。


正直な感想は、

決して 「美味しい」 ではないです。

その表現では足りません。


「やられちゃった」  


これが心からの感想で、的確な表現です。


完敗の、やられてしまったカルボナーラ でした。


このカルボナーラは正直なところ、白ワインが欲しくなるカルボナーラでした。

私は、商品には2つの目的があり、そのどちらかが必要だとの持論があります。


その必要な要素は、

それを食べると、ご飯が欲しくなるか、

それを食べると、お酒が欲しくなるか、


これが、飲食店に必要な商品の目的であると言っておりますが、このカルボナーラはまさしく、この目的を果たしていました。


セミナーが無ければ確実に、白ワインをオーダーしていました。


カルボナーラにやられまくって、1人で幸せな惨敗をしていると、ライさんがテーブルにやって来られて、ニコニコしながら、「どうですか?」と、伺ってきました。

素直に、やられたと、美味しいではない、やられたが正直な言葉ですと、お伝えしました。


このカルボナーラのもう一つの凄さですが、完食した時に皿にはほぼソースが残っていないんです。


濃厚系のカルボナーラを、これまでも何度も経験してきました。

自分自身でも濃厚カルボナーラは作って食べてきましたが、食後にソースが皿に残っていないカルボナーラは食べたことのない経験でした。

写真を撮るのを忘れてしまうぐらいに、衝撃を受けたカルボナーラでした。

技術は当然のこととして、玉子のせいなのか、チーズのせいなのか、火入れなのか、それら全てが織りなす完成度と感じました。

奥田シェフのカルボナーラの作り方が、ソースを乳化させて麺にまとわりつくように仕上げていましたが、その手法を取り入れて再現しているように感じました。

良いことは直ぐに取り入れて、スタッフに浸透させる、その行動力とスピードが素晴らしいです。


麺は80gですねと、ライさんに確認したところ、正解でした。
80g以上では、ランチセットのボリュームとしてはオーバーしてしまいます。
ランチ堪能後に、ドルチェに到達できなくなってしまいます。

まして、私はスープもサラダも堪能しましたので、他の方よりも食べています。

ランチ帯のメインの客層は女性です。
麺が100gでは、女性にはオーバーポーションになってしまいます。

胃の容量と満腹感と満足感の、両方を満たすちょうど良いポーションが80gでした。

カルボナーラは、私の想像をはるかに凌駕する内容でした。


その完成度の高さは、このお店1軒で収めておくにはあまりにももったいない商品です。


料理として完成された、売れる商品でした。

声を大にして言いたいです、売れる商品でした。


単なる料理の域を超えた、売れる商品です。
これが、飲食業の目指す「売れる商品」の答えだと、深く認識できた瞬間でした。


今から30年前に、始めてカルミネさんにお会いして、カルミネさんのポモドーロを堪能した時に直感した、「売れる商品」の概念でしたが、それを思い出させる体験でした。


このカルボナーラは、当然Ropiaさんが調理しているのだろうと思っていたところ、ライさんに確認すると、なんと調理していたのは、ジョーさんでした。


ここにも驚いて、このクオリティの商品をスタッフが調理していること、それが仕組化されていることに驚きました。


一般的にオーナーシェフのお店は、全ての料理をオーナーシェフが調理し、スタッフはサポートに入るのが多いパターンですが、リストランテ フローリアさんは、ここまでスタッフに作業を、調理を分担されていることが、それが出来ていることが素晴らしいことです。


お店が回る仕組みが完成されつつあると、確認出来ました。

カルボナーラの後は紅茶をお願いしましたが、YouTubeでのライさんの言葉が思い出されます。


「僕のせいでセミフレッドばっかり出ちゃうんです」


ここまで来て、セミフレッドを体験しないわけにはいきません。

ちょうど目の前をライさんが通り過ぎていくときでした。
ライさんにセミフレッドをお願いしました。

セミフレッドも店内調理をしていて、Ropiaさんの奥様の325さんはパティシエなので、325さんが仕上げているとのことです、当然期待感が増して来ます。

セミフレッドが到着しました。

なんと、可愛い手書きのメッセージ入りです。


画像6


こういった、ホンの少しの違いが、大きな違いを産むのですが、その違いを感じた瞬間です。

当然のこと皿もキンキンに冷えています、セミフレッドはサクサクふわふわです。
食べきることへの、無くなってしまうことへの、後ろ髪を引かれる思いを感じながらも、その感情とは裏腹にあっという間に食べきってしまいました。


余韻に浸っていると、胃が冷たくなったことを感じます。
追加でコーヒーもお願いしてしまう、そんなおまけもついてしまいました。


ライさんに、セミフレッドをおすすめしたくなる、その気持ちが理解できたことを伝えると、セミフレッドフリークと表現したいほどのライさんは、いたく共感してくださり、二人で大笑いしながら話が盛り上がりました。


食後のデザートは、お客様の一番最後の記憶になります。
最後の記憶であり、最新の記憶が最後に提供されるデザートです。

単なる客単価アップを目的にデザートを提供するお店が沢山ありますが、美味しい料理を提供した後のデザートのクオリティ次第で、お店の最後の印象が決まってしまう、非常に注意が必要な商品がデザートです。


これまでも多く経験したことですが、美味しい焼肉を堪能した後の、焼肉屋さんのガッカリするバニラアイス。

観た瞬間、食べることを躊躇するアイスが出されることもしばしばあります。


最後の記憶について、お店はもっと注意を払うべきです。
どのような記憶を持って、最後にどのような印象を持ってお客様にお帰り頂くのかを、ここにもっと注意を払うべきです。
リピート率に関係する重要なポイントが、最後の、そして最新の記憶です。


デザートは、決して侮れない重要なパーツです。


お店の一番奥の席で1人ランチを堪能していると、窓際の席にいらっしゃった方が私の元にやってきました。

今日のセミナーにご参加してくださる方で、長野市内でイタリアン業態をなさっているとのことでした。

カルボナーラにやられまくっている時には、お隣のテーブルに大柄の男性が案内されました。

ランチのパスタを3品とも全てオーダーして完食し、なおかつ牛肉のほほ肉の煮込み迄完食する大食漢の男性でしたが、その方も突然立ち上がったかと思うとご挨拶をしてくださいました。

なんと、町田のイタリアン業態のオーナーシェフでした。

このために、わざわざ町田からいらしたそうです。

このいらしていただいた方にも、そしてお声がけいただけたRopiaさんにも深く感謝が溢れてきました。ああー


不覚にも、レストランの一番奥の席で感慨に浸ってしまい、感謝が振れて気持ちのコントロールができなくなり、涙ぐんでしまいました。


58にもなって、レストランで泣かされる経験をするとは思いもよらないことでした。



リストランテ フローリアさんは、ランチは予約制でほぼ2回転する繁盛店です。


席数は36席、この時の満席率60%程度客単価は2,200円といったところでしょうか、いわゆるイタリアンファミリーレストランではなく、リストランテとしてポジショニングは、シッカリとしていると理解できました。


客層も若い女性もいらっしゃいましたが、メインの年齢層は30代から50代です、大人がゆったりとランチを楽しむことができる、地方では貴重な存在の業態です。


パスタ専門店とか、気軽なイタリアンカフェ業態も多くのお客様に支持されますが、この大人が時間を気にしないで楽しめるイタリアンリストランテ業態は、今後大きな可能性があると確信ができました。


特にパスタとピッザ中心のイタリアン業態は、炭水化物中心となってしまうためランチ帯の集客力は強いですが、ディナー帯の集客には苦労している現状があります。

しかし、大人のイタリアンリストランテ業態はディナーが楽しい業態となります。

ディナーの強さが業態の強さとなりますが、その強さを発揮出来る業態であることを確信してきました。


今回体験した大人のリストランテは、今後あらゆるエリアで展開出来る可能性が高いと実感して戻ってきました。


コロナ後の消費形態の変化と、生活様式の変化に則することができる業態の一つであると、強く実感でき確認できました。


そのことだけでも、今回長野に伺ったことには大きな意義がありました。


さて、次回はいよいよセミナーの件をご紹介します。

記事を1回にまとめようと思っていましたが、余りにもランチの経験と印象が秀逸だったために、文字数がここまで増えてしまう結果となってしまいました。


YouTubeでご紹介いただけたことに対する感謝の訪問でしたが、思わぬ成果を実感できてなんと有り難いことか、ご恩返しはまだまだ続きます。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?