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ヘンタイの国のアリス・イン・コスプレランド

たとえば、4歳から15歳くらいまでの少女の写真を裸体も含めて何千枚も撮り、時にはコスプレ衣装も着させ、撮影した写真の状況などを細かくノートに書き付けている30歳くらいの独身男がいたとしよう。今日なら間違いなくジェフリー・エプスタインの友人としてリトル・セント・ジェームズ島で楽しんでいたに違いない。「不思議の国のアリス」や「鏡の国のアリス」で知られるルイス・キャロルである。この小児性愛者が生み出した”アリス”というキャラクターとその本が、それまでの教訓だらけの退屈な児童書に革命を起こしたのだから、世の中わからない。キャロルには小児性犯罪者としての記録が一切残っていないものの、アウトな行為に及んでいただろうと僕は思っている。
ハロウィンにアリスのコスプレをする女がたくさんいるように、今日に至るまでアリスこそがロリータの代名詞である理由は、作者がロリコンの権化だったからというよりも、あのヴィクトリア朝の貴族の娘の格好をする”キャラクター”がアリスの他にいないからだろう。児童書は本来売れるものではないし、映画の登場人物はほぼ大人である。”お嬢さんのカッコがしたい”なら、アリスになるのだ。
さて、アリスのモデルとなった貴族の娘アリス・リデルは1864年、数学者のチャールズ・ドジソンから手書きの本をプレゼントされた。その本の内容が知人たちに大層ウケたので、ドジソンはこれを加筆修正して翌年にルイス・キャロルの筆名で出版した。これが「不思議の国のアリス」である。
教訓めいた話もなければ説教くさくもなく、ただアリスという主人公が三月ウサギやチェシャ猫や帽子屋などの奇妙なキャラクターたちに翻弄されつつ、最後は”夢から醒めました”という、大人向けの本なら怒られそうなストーリー展開だが、これは7歳の少女が主人公である。流行歌をもじってみたり、言葉遊びをたくさんしてみたり、子どもが読めば喜ぶこと間違いないだろう。小児性愛者がアリスを書くことができるという話ではなく、アリスを書くことができた小児性愛者の名がドジソンだったわけだ。
著者が少女を楽しませようと思って書かれた作品なのだから、それぞれの個性あるキャラクターやエピソードに深い意味や解釈を見出すことは簡単である。書かれたものがぼんやりしているほど、読者はそれを脚色しやすい。
映画「アリス・イン・ワンダーランド」は帽子屋というキャラクターに目をつけ、ポスターなどの宣伝写真もジョニー・デップ演じる帽子屋がメインキャラクターであるかのように演出した。ディズニーと監督、脚本家の腕である。アリスがメインキャラクターなら、もっと退屈な映画になっていたことだろう。ロリコンではない大人は、アリスのような無垢よりも、”狂っている”ことの方を好むからだ。

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