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個人事業主日記 2024年12月1日

当初の予定では11/14がスコピーの仕事納となり、今頃は冒険の旅に出ずっぱりのはずだったのだけれど、そうはならなかった。ありがたいことです。

RPGの主人公って世界中を旅しっぱなしで大変そうだな〜と思う。そうしなければ物語が始まらないし進まないから仕方ないんだけど、早々に疲弊しそうだし、知らない町の宿屋で全回復なんかするわけねえだろ〜って感じ。おれには無理。

その点、ドラクエ3はスタート地点の町(アリアハン)に実家があって、いつでも帰ってくることができて、帰ってくればいつでも母と祖父がいて、無料で泊まれて全回復できる。

安心できるおうちがあれば、思い切りよく冒険に出ることもできよう。それならもしかして、おれも冒険に出られるかもしれない。

おれの場合は故郷オタルの実家というよりは、いま家族と暮らしているこの家のことだ。自宅が仕事場でもあるので、その重要性はさらに高い。根拠地として。ねじろとして。

今年のはじめ、家を片づけることがスコピーの成長戦略と書いた。以来、ちまちまと片づけを続けている。年初に書いておいてまだ終わってないかよって感じだが、片づけに終わりなどないのだ(あるのか?)。

家の片づけが苦手なたちである。それでよく言葉を使った整理とか言ってるなスコピーは。ごめんなさい。

たぶん、ものをなんでもとっておきたい、捨てられない、ということが最大の原因だ。子供の頃からずっとそうだ。それで部屋や物置や本棚がみっちみちになり、余白を失い、動きを失っていたのだった。まさに死蔵。

理屈はこうだとわかっていて、でもやっぱり捨てられなくて…と流されてきたのだけれど、近頃、歳を取ったせいか、収納スペースの限界を悟ったせいか、物の保管への執着が薄くなってきた。

未来へはどうせこの身ひとつしか持っていけないのだ。もうええわ。

二度と手に入らない。忘れて二度と思い出せない。かまへんわ。

たとえば、読んだことすら忘れてしまったような本まで並ぶ本棚を持つことは、おれには分不相応である。それは記憶の扉の向こう側まで自分を拡張することかもしれない。ただ、実現するには、犠牲にする空間と時間が多すぎる。本で人生が豊かにならなければ本末転倒であるし、貴重な紙の本を後世に引き継ぐのはおれの仕事ではない(古書店に売り世の中へ返す)。

どこに何があるのか、ここには何がないのかが明確で(むしろ後者がかなり重要)すべてのものへのアクセスが容易であること。そうでなければ機能的な根拠地とはいえない。それで初めて自分の拡張といえる。

余白が必要だ。動きが生まれる。新しい空気が入ってくる。家族と快適に過ごせて、ひとりでも快適に過ごせて、そして、冒険の旅に出やすくなる。

先月、谷川俊太郎の詩をあちこちで目にする機会が、みなさんあったのではと思う。そのなかで今のおれに刺さったのがこの2行だった。

とまれ私はここから世間に打って出て
毎夜ここの巣穴で幸せに眠る

「ここ・杉並」
『広報すぎなみ』からの孫引き

巣穴から世間に打って出てまた巣穴へ。こうやって長生きしていけたらなあと思っている。

さて、おかげさまで、11月に仕事納まらない程度には勤労させていただいているスコピーであるが、個人事業主もまた、ひとりで仕事をしている限りはキャパシティに限界がある。

スコピーに動きが生まれ、新しい空気が入ってくるためには、余白が必要だ。どうすれば余白をつくり、保っていけるだろうか。そんなことを考えながら、働き暮らしながら、合間にちまちまと日帰り冒険を楽しんでおります。船を手に入れるところまできました。よろしくどうぞ。


【おしごと】

BoYoSTUDIO

北海道登別市の一級建築士事務所、株式会社BoYoSTUDIOさん。狭義の建築に留まらないフィールドで幅広く活動されています。法人化と改称に伴い、スローガン「ローカルに、ピカーン。」とステートメント、ウェブサイトのAbout usテキストをお手伝いしました。カギカッコさんのお仕事です。


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