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「Moon Over Manifest」by Clare Vanderpool / レビュー

「Moon Over Manifest」by Clare Vanderpool

Moon Over Manifest

by Clare Vanderpool

【作品情報】

ジャンル:Middle Grade(8~12歳)以上
#ヒストリカルフィクション #ミステリー
#友情物語 #成長物語 #愛情物語
出版:2010年(Delacorte Books)
受賞:ニューベリー賞、他
ISBN:978-0375858291

キーワード:大恐慌時代、第一次世界大戦、アメリカ中部、小さな田舎町、移民の町、戦争、手紙、友情、愛情、父と娘

【あらすじ】

父親の面影を探して田舎町を奔走する少女の物語。12歳のAbileneは鉄道作りの仕事をする父と放浪して生活していたが、1936年に父親の故郷であるカンザス州のマニフェストという小さな田舎町に預けられる。Abileneはそこで1918年に書かれた手紙を発見し、町に残る父親の面影を追って、町の過去を探り始める。

【感想】

小さな町の謎・真相を追う少女と一緒に奔走していく冒険やミステリー系の物語のようでありながら、男の友情物語と親子の愛情物語でもある心温まる奥深い作品でした。

物語は現代(1936年)と過去(1918年)の2つの時間軸で、町の新聞記事や戦地から届く手紙を織り交ぜながら物語が進んでいきます。最初は何が起きているのか話がどこに進むのか見えてこないのでスローに感じましたが、中盤に町がざわつき、ハラハラドキドキしてくるあたりからスピード感が増していきます。最後は畳みかけるように驚かされながら、胸が張り裂けそうなくらい膨れて心臓が押しつぶされ、それを温かいベールで包まれたような気持ちになりました。特に最後の1章が… 追い打ちをかけられるように胸をえぐられます。父親ものに弱い母親である私にとっては涙、涙のラスト…。児童書ながら大人にとっても読みごたえがかあり、さすが高評価の作品という印象です。

ちなみに、探しても見当たらなかったので翻訳版はないのだと思いますが、未訳なのがもったいない。子どもが読めたら楽しそうなのにと思いました。

【訳書情報】

日本語版なし(2023年現在)

#洋書
#児童書

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