【創作小説】佐和商店怪異集め「榊家の一幕」
「あら〜いらっしゃい。二人揃ってどうしたの?」
日曜の昼下り。
榊家には、晄一郎と晃次郎の兄弟が揃って立ち寄っていた。母・壱歌が驚きつつものんびり笑って出迎える。
「父の日近いでしょ。プレゼント渡しに来たの」
「アポ無しで悪かったな。親父は?」
「ちょっとお散歩に行ったから、直ぐ帰ると思うけど」
壱歌は、コーヒーを淹れながらご機嫌で言う。
お菓子の準備まで終わったところで、玄関から物音がした。壱歌がゆったりと玄関に向かい、出迎える。
「おかえりなさい、空之さん。あら!」
母の