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佐和商店怪異集め

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短編連作の創作小説「佐和商店怪異集めシリーズ」をまとめています。 夜はお化けがわんさか出るコンビニで働く女子大生・芽吹菫と、呑気な先輩おじさん・榊晃次郎は、どちらも霊感ありの凸…
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#佐和商店怪異集め

【創作小説】佐和商店怪異集め「月は禁止」

佐和商店での仕事中、菫がぽつりと呟いた。 「今日、中秋の名月らしいですね」 榊は直ぐに反応…

宵待昴
8か月前
3

【創作小説】佐和商店怪異集め「防犯カメラ」

二十四時間営業でないコンビニ・佐和商店の話。 いつもの佐和商店。 閉店まであと少しという…

宵待昴
8か月前
8

【創作小説】佐和商店怪異集め「線香花火」

ちりちり、バチバチ、と音がする。 それは倉庫の方からで、私はカウンターから顔だけを倉庫に…

宵待昴
8か月前
14

【創作小説】佐和商店怪異集め「幽霊の日」

※7/26の幽霊の日にちなんで 佐和商店の閉店後。 菫と榊はカウンター内にいた。菫が入口のド…

宵待昴
10か月前
2

【創作小説】佐和商店怪異集め「HappyBirthday Violet」

※菫の誕生日は6月30日です。 「菫ちゃんお誕生日だって!?おめでとう!仕事してて良いの!…

宵待昴
1年前
2

【創作小説】佐和商店怪異集め「瓶詰め」

大学帰り。 陽が落ちて暗い。 私・芽吹菫は一人で帰路についている。いつも通りに歩いていたん…

宵待昴
1年前
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【創作小説】佐和商店怪異集め「榊家の一幕」

「あら〜いらっしゃい。二人揃ってどうしたの?」 日曜の昼下り。 榊家には、晄一郎と晃次郎の兄弟が揃って立ち寄っていた。母・壱歌が驚きつつものんびり笑って出迎える。 「父の日近いでしょ。プレゼント渡しに来たの」 「アポ無しで悪かったな。親父は?」 「ちょっとお散歩に行ったから、直ぐ帰ると思うけど」 壱歌は、コーヒーを淹れながらご機嫌で言う。 お菓子の準備まで終わったところで、玄関から物音がした。壱歌がゆったりと玄関に向かい、出迎える。 「おかえりなさい、空之さん。あら!」 母の

【創作小説】佐和商店怪異集め「琥珀色の記憶」

琥珀色をした明かりのことを、榊晄一郎は今でもよく覚えている。 夏だった。晄一郎とまだ幼い…

宵待昴
1年前
4

【創作小説】佐和商店怪異集め「端午の節句」

二十四時間営業でないコンビニ佐和商店の話。 今日は五月五日。端午の節句。 「じいちゃんへ…

宵待昴
1年前
2

【創作小説】佐和商店怪異集め「いちねんとそのさき」

二十四時間営業でないコンビニ佐和商店の話。 閉店間際。 いつも通り榊さんとのじゃんけんに…

宵待昴
1年前
1

【創作小説】佐和商店怪異集め「嘘にしたい夜」

「僕ね、お化け視えなくなったみたい」 「……こんな時に、直ぐ分かる嘘止めろよ、兄貴」 「だ…

宵待昴
1年前
2

【創作小説】佐和商店怪異集め「守り龍」

仕事終わりの帰り道。 今夜夜勤を組んだ天我とは店の前で別れ、一人で帰路についている。 車も…

宵待昴
1年前
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【創作小説】佐和商店怪異集め「『時計』詰め合わせ」

※『時計』をお題としたワンライに参加した際に書いた四本です。 【時計】 休憩中。 事務所…

宵待昴
1年前
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【創作小説】佐和商店怪異集め「雛祭りの宴」

在庫取りで倉庫のドアを開けた瞬間、私・芽吹菫は結構な声量で叫んでしまい、榊さんが飛んで来た。 「どうした」 「あの、倉庫が桃源郷です」 「はぁ?」 人生でこの先きっと言わないであろうワードを口走ってしまったくらいには、動揺している。ドアの向こうには、晴れやかで明るい場所が広がっていた。桃の木が延々と植えられた野原。満開の桃の花が、空を隠すほどに広がる。心地よい風が吹いていて、酔いそうなほどの花の香りを運んで来る。他にも様々な美しい花が咲き乱れていた。これ、幻覚とかじゃないの?