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短夜怪談

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ホラー短編小説「短夜怪談シリーズ」をまとめています。一話完結の短い怖い話。
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#短編

【短編ホラー小説】短夜怪談「雨の日の帰り道」

雨の降る深夜。 帰宅中、道を急ぎ足で歩いていると、後ろからびちゃびちゃと足音がする。わざ…

宵待昴
18時間前
5

【短編ホラー小説】短夜怪談「赤い紫陽花」

幼少の頃、私が住んでいた母の実家には、庭に紫陽花があった。青い紫陽花で、私はその紫陽花を…

宵待昴
1日前
15

【短編ホラー小説】短夜怪談「メッセージ」

友人と談笑中。 手元のスマホに、通知が来た。メッセージアプリ。 『深夜二時に行く』 唐突過…

宵待昴
3週間前
12

【短編ホラー小説】短夜怪談「鯉のぼり」

近所に、水が綺麗な小川がある。 散歩でそこに掛かる橋を通った時、川の中に鮮やかな青い鯉の…

宵待昴
1か月前
16

【短編ホラー小説】短夜怪談「公園のベンチ」

会社近くの公園には、木製のベンチがいくつかある。昼時などは、多くの人々が利用するのを見掛…

宵待昴
2か月前
13

【短編ホラー小説】短夜怪談「コピー」

中学生の頃、親戚のおじさんが突然亡くなった。 家族が無く、私たち家族が事務手続きなどに奔…

宵待昴
2か月前
12

【短編ホラー小説】短夜怪談「歩道橋の下に」

駅へ向かう為、歩道橋を歩いていると、柵の向こうを何かが並行してゆっくりこちらへ向かって来る。それは、頭部が異様に大きい背の高い人間だった。柵の下ギリギリに頭が見える。人間と呼べる背丈や頭では無かったが、人の形だった。固まっていると、それが不意に上を、こちらを向く。魚のような、ぎょろりと濁った目。 「……疾く去ねよ。降るぞ」 低い声でそれだけを言うと、ゆっくりと顔を前に戻し、歩き去って行った。後ろ姿を追うと、車道に足をつけて歩いている。着ているものは袈裟に見えた。それからすぐ、

【短編ホラー小説】短夜怪談「教室の花」

ある朝。 Dさんが一番乗りで教室に登校すると、教卓を含めたクラス全員の机に白い花が飾られて…

宵待昴
4か月前
11

【短編ホラー小説】短夜怪談「犬の散歩」

夜の帰り道。 ぴかぴかに点滅する首輪をした犬の散歩に遭遇した。犬はとても楽しそうだ。何気…

宵待昴
4か月前
8

【短編ホラー小説】短夜怪談「ドリンク」

社内に、無料で紙コップドリンクが出る自販機がある。休憩中、ココアのボタンを押し、さて出来…

宵待昴
4か月前
6

【短編ホラー小説】短夜怪談「空調の蓋」

昔、中途で入った会社に勤めていた頃の話。 ある時、一人で残業することになった。この会社は…

宵待昴
4か月前
10

【短編ホラー小説】短夜怪談「靴紐」

「おかしいなあ〜」 運動場で、同級生のAがしきりに首を傾げながら、屈んで靴紐を直している。…

宵待昴
4か月前
12

【短編ホラー小説】短夜怪談「雪の日の足跡」

ある年、大雪が降った。 足首ほどまでの積雪となり、交通機関が遅れに遅れた。職場から自宅の…

宵待昴
4か月前
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【短編ホラー小説】短夜怪談「廃墟の警備員」

あるスーパー跡地に肝試しに行った。 何の云われも無いただの廃墟だから、実のところ肝試しもへったくれもない。時間も、そろそろ夕方に差し掛かるかという昼間の時間だ。明るい。いかにも地域密着型のスーパーだったと思しき建物に物は無く、薄暗いが無数の棚が朽ちているだけ。諸行無常ってこういうことかー、なんて柄にも無いことを考えてぶらぶらしていたら、不意に目の前が明るくなる。顔を上げたら、警備員の制服を来たおじさん。懐中電灯をこちらに向けられていた。眩しかったのは、その光。 「君、どうした