【短編ホラー小説】短夜怪談「心霊スポットの」
真夏の深夜。
心霊スポットに突撃して来ます!と元気に飛び出して行った後輩が、ものの三十分ほどで帰って来た。何かあったのかと聞けば、
「いやー、さっき話した病院の廃墟行ったんすけど。入る部屋入る部屋全部に、さっき点けたばっかみたいな新しい蚊取り線香が置いてあったんすよ。こりゃやべーと思って直ぐ逃げて来たわけです。他に誰も居なかったと思うんですけどね?居ても、どのみち怖いすけど」
行く前と変わらずへらへら笑う後輩には、ほのかに線香の香りが纏わりついていた。
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