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【ピティナ特級公式レポート・その13『Behind the scenes』】

特級公式レポーターの寿すばるです。

8月17日の特級ファイナル、すごかったですよね!グランプリはホールを幸せな音色で満たした北村明日人さん!

そして熱いパッション迸る神宮司悠翔さん、華やかに気品の香る森永冬香さん、初コンチェルトと思えないほど観客を沸かせた鶴原壮一郎さん、どの演奏も素晴らしかったーーー!

感染症の流行が止まらない中、誰一人としてソリストが欠けることなく特級ファイナルを無事に迎えることができ、本当に良かったと思います。

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特級が終わった後もピティナのピアノコンペティションは続き、8月21日にすべての大会が終了。そろそろ私たち公式レポーターも解散、となる時がやってきました。今回がおそらく最終のレポートとなる予定です。

これまでの特級公式レポーターの記事は、ピティナ公式記事とあわせてこちらのマガジンから振り返ることができます。(【並べ替え】で古い順からと新しい順からに切り替え可能)
投稿本数は150本を超え、もはや書籍化できそうな分量!

こちらは私の活動だけをまとめたマガジン。この記事で20本目なんです。7月22日に自己紹介を投稿してから1ヶ月、レポート期間は約2週間でしたから、1日1本以上のペースで投稿していたことになります。継続は力なりと言いますか、なかなか読みごたえあるマガジンになっているんじゃないかなと自分では思います(笑)


さて、最後のレポートは、忙しい中で私たち新米レポーターを温かくサポートしてくださった特級の方々への感謝の気持ちと、今回の経験を経たことで自分の中に生じた、小さな変化について記録して終わりたいと思います。


私たち6名のレポーターは、とりまく境遇、住む場所、年齢も、全く違うメンバーが選ばれ、ピティナの方とはオンライン上で交流が可能なミーティングツールを用いてやり取りをすることから始まりました。

直接の担当をしてくださったのは主に加藤さん特級特番などでもおなじみの特級統括!)と堀内さん
お二方とも、日中は予選や各回のリハーサルに打ち合わせ、そのほか細かで書ききれない幾つもの業務をこなし、その合間や深夜に私たちの文章をチェックするという超ハードなスケジュールでした。
都度きめ細かいアドヴァイスをくださり、会場でも出場者や共演者の皆さまと私たちの間を調整してくださるなど、ぶっちゃけ、レポーターいないほうが絶対ラクでしょ!寝れてないでしょ!と思う場面も多く、なんだか申し訳ない気持ちにも。

クラシック音楽ファシリテーターの飯田有抄さんも、特級公式レポート・ディレクターとして、お忙しい中ミーティングルームにちょくちょく顔を出してくださり、励ましや丁寧なアドヴァイスをくださいました。

全てのアドヴァイスと経験が宝物です。感謝してもしきれません。その分、読んでくださる方、聴いてくださる方がひとりでも増えるようなレポートを書きたい!と、半ば加藤さんたちへのご恩に報いたいというような気持ちも芽生えだしてきました。

それだけではなく。大好きな角野隼斗さん(2018年グランプリ)の話題を振ってくださったり、私が持っていたショパンコンクールのトートバッグを見て、同じの持ってる!と盛りあがったり、慣れない場所で緊張している私たちに対し、とても気さくに温かく接してくださいました。

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一気に距離を縮めてくれた魔法のアイテム、ショパコントートにも感謝

実際にお会いして、ああ、これが未来を担うピアニストを育てる人たちなんだ、とピティナという環境の大きさ、豊かさに胸が熱くなりました。これ本当に言葉にするのが難しいんですが、そこにいる全ての人々の心がファイナリストたちに注がれていて、ここがピアニストたちの子宮なんだという空気で満たされていたように感じました。

演奏はもちろんのこと、角野さんをはじめ(特級に縁のある方も少なくない)ピアニストの皆さんのお人柄や芯の強さから勇気を貰っている私にとって、彼らの音楽が育まれた場所を肌で感じることができたというのは、本当に幸せな体験でした。そして私自身も、ほんの短かい期間ではありますが、ピティナに育てていただいたように感じます。

でもなぜかこの子宮感……すでに知ってるんだよ私……。前にもどこかで同じ感覚を味わっている気がしたんです。答えはすぐにわかりました。

角野さんが最近リリースした曲『胎動-New Birth-』。フレデリック・ショパンと、ショパンのエチュード10-1への深いオマージュが込められている曲です。左手が奏でるメロディはどこかアヴェ・マリアのようでもあり、神聖かつ温かい母性のようなものが絶えず湧き出てくるようです。
この曲に私が感じるのは、彼を支えている周囲の温かさ(すなわち子宮)と、そこに対する彼の感謝と恩返しの気持ち、更には後進にとっての憧れや道標となる覚悟の根が張り、太い幹となり、そして次は自分が支えになるという心積もりの若葉も芽生えている、ような雰囲気。特級のサントリーホールで感じた、ファイナリストたちを支え見守る関係者の熱い想いや、私たちに対する温かさは、まさにこの曲のようでした。

角野さんは、今年からピティナの評議員にもなられたとのこと。もしかしたらこれも『感謝と恩返しの気持ち・後進にとっての憧れや道標となる覚悟・次は自分が支えになるという心積もり』のあらわれなのかもしれません。

特級の関係者の方々や角野さん、そして視野を少し広げて見えた音楽家の方々……彼らから感じるのは、ピアニストやクラシック音楽の火を絶やさぬようにと燃え続けている、熱い想いです。

角野さんを知ってから、クラシック音楽を再び近く感じるようにはなっていながらも、ご時世的にコンサートも直行直帰。なので今回、見て聴いて会話して、をセットですることができ、自分の根幹の部分を刺激する経験ができました。

言い換えると、特級を間近で見て聴いてレポートする中で、クラシック音楽を、ピアノを愛する気持ちで動いている人たちの生の姿に触れ、真の意味で彼らの存在が自分にとって可視化されたということです。

もしこれが推しのコンサートでの出来事であったなら、この感動はもっと限局的なものであった可能性のほうが高く、主語が『クラシック音楽』ではなく『角野隼斗』で終わっていたかもしれません。

更に言うと、サントリーホールには、角野さんのコンサートで来る予定が何回かありました。でもそれは叶うことがなく、今回が初の訪問。角野隼斗によって様々な関連付けがされて憧れの対象となっていたこのホールを、特級で初めて味わい、感動、高揚する。この流れも、私を単なるオタク・スミノスキーの枠から一歩外に踏み出させる、見えないチカラのようなものを感じます(笑)

とはいえ、この感覚を一つ前のnoteでは使命感のようなもの、と書きましたが、そんな偉そうなものじゃなく、角野隼斗のファンがクラシック音楽のファンになった、そういう感じの緩い変化なんだと思います。もともとクラシック音楽は好きですけど、より人の体温を感じるものに変わったという感じ。

これまで、クラシック音楽を遠いものとして捉えがちな世の中にずっと違和感があった身として、角野さんを知り、彼や彼の周囲の音楽家の『クラシックをもっと広めたい』のような想いは、とても共感できるものでした。特級の経験を経た今は、もっと近くに感じます。

ずっと、私にできることはないか、漠然と考えていたような気はするんです。けれど何もできないとも思っていました。それは自分が音楽知識のない素人で、何か言える立場ではないと思っていたからでもあり、公式となれば何か打開できるかもしれない、と無意識に考えていたかもしれません。それが今回の応募にも繋がったとも思います。そして、実際に経験できたことで、より強い想いになったと同時に、こんどは逆に、素人であることの新鮮さや、音楽を聴く側としての等身大さの重要性のようなものが必要とされていることを知りました。

この経験を胸に、いち音楽ファンとして、ジャンルの垣根なくクラシック音楽と音楽家への愛を叫んで、クラシック音楽の火を絶やさぬようにと、小さいながらも燃え続けていきたい所存です!

クラシックであれ何であれ、音楽ファンとして、音楽が好きな者がそれぞれに灯りをつけていけばいいのだと思います。Twitterのつぶやきひとつが灯りとなって音楽家本人にも届く時代ですから。自分の応援が音楽家たちの支えになっているなんておこがましさもありつつ、逆の立場で考えると、小説やnoteなどに反応をいただくと本当に嬉しいんです。ものすごく支えになるんです。だから、する側のときも、支えになっていると思うことにしています(笑)

ピティナという子宮から産まれた若いピアニストたちに、応援という栄養を届けることができるのが、私たち音楽ファンなのかもしれないな、とも思います。特級で行われたクラウドファンディングや投票も音楽ファンの灯りなんですよね。会場で吸音材(肉)になれるのも観客だし(笑)

というわけで。長くなりましたが、今回の公式レポーターとしての活動で、小さな灯りを添えることができていたら幸いです。そしてこれからも、自分なりに様々な音楽を楽しみ、拙くも感想を綴ることで、未来への火を絶やさぬよう、願わくばその火がもっと明るい光となって広がるよう、その一端となれていけたらとても嬉しく思います。

そして!
機会があったら、またピティナのこと、特級のことを書かせていただけるといいなと思います!!

改めて。ピティナ特級チームの皆さま、本当にありがとうございました!それぞれの持場でお忙しい方ばかりなので、直接の関わりはありませんでしたが、お会いできなかった方にもこの場を借りてお礼を伝えたいです!

それから、この貴重な時間を共に過ごした特級公式レポーターの森山智子さんカイネ♪あのんさん、柚子と蜜柑さん、飯島帆風さん、小原遥夏さんとの出会いも、とても嬉しかった!またご一緒できる機会があることを願っています!

それでは、この投稿を持ちまして、特級公式レポーターとしての筆を置かせていただきます。ここまでお付き合いくださいました皆さま、本当に本当にありがとうございました!
公式じゃなくなっても、noteもTwitterも書いていますので、これからもどうぞよろしくお願いいたします!

寿 すばる

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