飯島帆風

Iijima Honoka / 東京藝大 楽理科→同大学院 音楽学 修士1年 / ピア…

飯島帆風

Iijima Honoka / 東京藝大 楽理科→同大学院 音楽学 修士1年 / ピアノ / 書道 / ピティナ特級2022公式レポーター

マガジン

  • 2022ピティナ特級

    • 157本

    2022年ピティナ・ピアノコンペティション特級に関するnote記事です。公式レポーター6名の方の記事も合わせてご紹介しています。演奏、文章で特級を丸ごとお楽しみください。

最近の記事

音楽と、無限の創造力~ピティナ特級を追って見えてきたこと

ピティナ特級の公式レポーターに挑戦したきっかけは「音楽を学んでいる身として、音楽を自分の言葉で伝えてみたい」という、ただそれだけの気持ちからでした。 時には感じたままに、時にはこっそり知識を仕込んだり。 二次予選からファイナルまでを聴いて言葉にしていく中で、音楽は創造性に満ち溢れていると強く感じるようになりました。 すでに音楽を作ること自体が「創造」であるといえるかもしれません。しかし、それだけではない。演奏することや聴くことも「創造」なのではないか。そのようなことを、最後に

    • 【特級ファイナル 特別編】飯森マエストロへのインタビュー~これからの音楽界を担う若いピアニストへの激励

      こんにちは。 特級公式レポーターの飯島帆風です。 ピティナ特級ファイナルが終了。ファイナリストの4人がピアノコンチェルトで、東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団と共演しました。それぞれのコンテスタントが音楽にひたむきに向かいあう熱量に圧倒されました。 今回は、指揮者を務められた飯森範親(いいもり・のりちか)マエストロにお話を伺うことができました。 ピアニストがピアノ以外の楽器も知る必要性 ――今回、初めてピティナ特級で若いコンテスタントたちと共演していただきました。4

      • 【特級ファイナル】ピアノとオーケストラの響きに包まれて

        こんにちは。 特級公式レポーターの飯島帆風です。 昨日の特級ファイナルの会場は、サントリーホール。ファイナリストの4人がピアノコンチェルトで、東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団と共演しました。指揮者は、飯森範親(いいもり・のりちか)先生です(飯森先生へのインタビューは後日公開予定)。 1.森永 冬香さん トップバッターの森永さんは、チャイコフスキー《ピアノ協奏曲 第1番》変ロ短調 Op.23を演奏。冒頭のピアノによる重厚な和音が特徴的で、そこにオーケストラが絡みあいま

        • 【特級セミファイナル(3)】新曲作曲家の森 円花先生にインタビューをしました

          こんにちは。 ピティナ特級公式レポーターの飯島帆風です。 8月14日(日)の特級セミファイナルでは、7人それぞれの個性溢れる演奏を楽しめました。 なかでも、特に興味深かったのが新曲課題の「前奏曲~未知なる世界へ~」。一つの曲が、さまざまな色に染まっていきました。 今回は、セミファイナル終了後に新曲作曲家の森 円花(もり・まどか)先生にお話を伺うことができました。 7人の演奏を一日で聴くということ ――セミファイナリスト7人によって新曲が演奏されました。作曲者として、演奏

        音楽と、無限の創造力~ピティナ特級を追って見えてきたこと

        • 【特級ファイナル 特別編】飯森マエストロへのインタビュー~これからの音楽界を担う若いピアニストへの激励

        • 【特級ファイナル】ピアノとオーケストラの響きに包まれて

        • 【特級セミファイナル(3)】新曲作曲家の森 円花先生にインタビューをしました

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          【特級セミファイナル(2)】曲の演奏順とプログラムのストーリー

          こんにちは。 ピティナ特級公式レポーターの飯島帆風です。 【特級セミファイナル(1)】ラヴェル《夜のガスパール》×バラキレフの東洋風幻想曲「イスラメイ」に続き、午後の4人の演奏をお伝えしてまいります。 セミファイナルは45~55分のソロリサイタル形式。それぞれの曲目以外にも、持ち時間の中で演奏者がどのような音楽のストーリーを描くのか、というところに注目してみます。 4.北村 明日人さん 北村さんの演奏は、新曲課題である森円花「前奏曲 ~未知なる世界へ~」から始まりました。

          【特級セミファイナル(2)】曲の演奏順とプログラムのストーリー

          【特級セミファイナル(1)】ラヴェル《夜のガスパール》×バラキレフの東洋風幻想曲「イスラメイ」

          こんにちは。 ピティナ特級公式レポーターの飯島帆風です。 昨日のセミファイナルでは、7人によるリサイタル形式の演奏が繰り広げられました。会場で聴いてみて、どの演奏も身体に響いてきます! この記事では、午前中の3人の演奏全体をお伝えしつつ、ラヴェルの《夜のガスパール》とバラキエフの東洋風幻想曲「イスラメイ」に着目していきます。 1.吉原 佳奈さん 最初はハイドンの《ピアノソナタ 変ロ長調》Hob.XVI:41。変ロ長調の音階による主題が軽やかに展開されていき、同じく変ロ長調

          【特級セミファイナル(1)】ラヴェル《夜のガスパール》×バラキレフの東洋風幻想曲「イスラメイ」

          【特級セミファイナル・予習編】新曲からプログラムを眺めてみよう

          こんばんは。ピティナ特級公式レポーターの飯島帆風です。いよいよ、特級セミファイナルが今度の日曜日(8月14日)に迫ってきました! 今回は、セミファイナルで演奏される曲のなかでも、新曲に焦点を当ててみたいと思います。 (注:新曲を先行視聴したわけではありません。私も当日に聴くのがとても楽しみです!) 課題曲に新曲が含まれている!? まずは、特級セミファイナルの課題曲を見てみましょう。 ということで、特級セミファイナルのために新しく曲が作られるのですね。 これは、三次予選

          【特級セミファイナル・予習編】新曲からプログラムを眺めてみよう

          【余談】音楽の「余白」~音楽を言葉で伝えること

          ピティナ特級は二次予選・三次予選が終わり、演奏のレポートもひと段落。 今日は、大好きな書道に浸って過ごしていました。今回は、そんなふとした気づきのお話です。 書道をするとき、そこには「余白」を意識する自分がいます。文字を書くというと、白い紙の上に黒い文字を置くことに意識がいってしまいますが、実はたいてい、黒よりも白のほうが広い。作品を作るというのは、黒い文字を置くことで、「白い部分=余白」をいかに美しくみせるかということでもある。 そういえば、楽譜もちょうど白と黒(!)。

          【余談】音楽の「余白」~音楽を言葉で伝えること

          三次予選(3)~2台ピアノによる演奏の奥行き

          皆さま、こんにちは。特級公式レポーターの飯島帆風です。 ピティナ特級の三次予選から一夜明けましたが、いかがお過ごしでしょうか。 2台ピアノによる演奏、壮大なスケールの音楽が凝縮されていました! 今回は、昨日行われた三次予選の最後3人の演奏について、書いていきます。 18.神宮司 悠翔さん 神宮司さんは、チャイコフスキー《ピアノ協奏曲 第1番》変ロ短調 Op.23より第1楽章を演奏されていました。最初から力強く芯がある音。そして、フレーズをたっぷりと歌います。特に印象的だっ

          三次予選(3)~2台ピアノによる演奏の奥行き

          三次予選(2)~同じ曲でも演奏者によって違った演奏が楽しめる!

          こんにちは。特級公式レポーターの飯島帆風です。 いきなりですが、皆さんは同じ曲を聴き比べたことはありますか? 実は、これがかなり楽しいのです! 同じ曲だからといって、侮るなかれ…。 今回の三次予選は、同じ曲が続けて演奏されるときがありました。 では3人が続けて演奏した、ラヴェルの《ピアノ協奏曲》より第1楽章・第3楽章を見ていきましょう! 13.笠井 萌さん 笠井さんのラヴェル《ピアノ協奏曲 第1番》。第1楽章は、和音の響きが透き通っているのが印象的でした。スペイン風のメ

          三次予選(2)~同じ曲でも演奏者によって違った演奏が楽しめる!

          三次予選(1)~2台ピアノによる演奏がアツい!

          皆さま、こんばんは。特級公式レポーターの飯島帆風です。 ピティナ特級の三次予選が終わりました! 三次予選では、ファイナルで演奏するピアノ協奏曲から一部分がピアノ伴奏で競演されました。 公式伴奏者は、こちらの3名の先生方。特級を経験された方たちが、公式伴奏者として、コンテスタントたちを全力でサポートしていらっしゃるところも注目ポイントです! それでは、まずは最初の4人の演奏を振り返りましょう! 6.後藤 美優さん 後藤さんが演奏したのは、チャイコフスキー《ピアノ協奏曲 第

          三次予選(1)~2台ピアノによる演奏がアツい!

          二次予選2日目【プレイリスト3】~近現代の曲は面白い!

          こんにちは!特級公式レポーターの飯島帆風です。 いよいよ二次予選2日目、最後のプレイリストとなりました。 今回は近現代の曲に注目して、3人の演奏についてまとめていきます。 近現代は聴き方がわからない…そのイメージはおそらく、以下に紹介する演奏者たちによって覆されるのではないでしょうか? 18.神宮司 悠翔さん 神宮司さんのプログラムは、バロックから年代順に、最後のラヴェル《夜のガスパール》に向かっていきました。 まずは、J.S.バッハ《パルティータ 第5番》ト長調。あたた

          二次予選2日目【プレイリスト3】~近現代の曲は面白い!

          二次予選2日目【プレイリスト2】~特定の国や曲を中心とした選曲と、各曲に多彩さが感じられる選曲

          皆さま、こんにちは!特級公式レポーターの飯島帆風です。 二次予選ではバロックから近現代まで、またさまざまな作曲家の曲を聴くことができ、楽しませていただきました。 出場者の皆さま、ありがとうございました! では、プレイリスト2は、「特定の国や曲を中心とした選曲と、各曲に多彩さが感じられる選曲」と題しまして、2つの選曲のタイプを見ていきましょう。 16.渡邊 さくらさん 渡邊さんは、規定で必ず含めなくてはならないショパンの《エチュード》以外は、フランスの曲を選曲されていまし

          二次予選2日目【プレイリスト2】~特定の国や曲を中心とした選曲と、各曲に多彩さが感じられる選曲

          二次予選2日目【プレイリスト1】~曲の調や雰囲気によるプログラムの一貫性 

          皆さま、こんにちは!特級公式レポーターの飯島帆風です。 二次予選が終わり、一夜明けました。 突然ですが、皆さまは音楽を聴くとき、順番に聴く派ですか?それとも聴きたいところから聴く派でしょうか? きっと人によってさまざまであることと思います。 では、もう一つ考えてみたいと思います。そもそも、作曲者自身は曲を1番から順に書いたのか? 二次予選のところどころで演奏されていた、J.S.バッハの《平均律クラヴィーア曲集》。24の調すべてが順番に出てくる曲集です。ちなみに、バッハがす

          二次予選2日目【プレイリスト1】~曲の調や雰囲気によるプログラムの一貫性 

          二次予選1日目【5、6グループ】~1つのプログラムとしてのまとまり

          こんばんは。早くも本日3つ目の記事です! 二次予選1日目が終わりました。1日目にして、出場者の方々が音楽に真摯に向き合う姿をたくさん見ることができ、とても刺激的でした。 特に、1つのプログラムとして全体の演奏がまとまっていました。 では、最後の5、6グループの演奏を振り返りましょう! 10.草間 紀和 さん まずは、J.S.バッハの《カプリッチョ》変ロ長調 BWV992 「最愛の兄の旅立ちにあたって」から。この曲には、珍しく標題(曲の性格や内容を示す題名)が付いています。

          二次予選1日目【5、6グループ】~1つのプログラムとしてのまとまり

          二次予選1日目【3、4グループ】~演奏者の個性あふれる演奏

          こんにちは!特級公式レポーターの飯島帆風です。 3、4グループの記事も続けてお送りいたします! にしても、1日目にしてこんなにもいろいろな演奏が聴けるなんて… コンクールという以前に、それぞれが奏でるの音楽への充実感に満たされています。 では、3、4グループの演奏を見ていきましょう! 6.後藤 美優 さん まずは、ショパン《エチュード》ハ長調 Op.10-1。広い音域を使った和音のアルペジオが特徴的です。ピアノの左端から右端までの移動があることを感じさせない姿が印象的でし

          二次予選1日目【3、4グループ】~演奏者の個性あふれる演奏