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2022ピティナ特級

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2022年ピティナ・ピアノコンペティション特級に関するnote記事です。公式レポーター6名の方の記事も合わせてご紹介しています。演奏、文章で特級を丸ごとお楽しみください。
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ファイナルの感想+特級を振り返って

ピティナ特級公式レポーターの森山です。 ファイナルが終了してから1週間以上経過しての記事です。かなり時間が経ってしまっていますが、むしろ時間経過があったからこそ!みたいなものがあるのではないか?と書くことにしました。 今回、公式レポーターという立場で前日のオーケストラとのリハーサル(1時間程度)と、当日のゲネプロ(30分程度)の見学という大変に貴重な体験をさせていただきました。特にゲネプロの時、ガラガラのサントリーホールで協奏曲を聴くってなんてレアすぎる体験なのかと感動し

終わりに。

ピティナ特級公式レポーターとして、約1ヶ月の間、演奏を聴いて感じたことやコンクールを支えている方々、本番前のコンテスタントの様子などを文章を通してお伝えしてまいりました。 募集を見た瞬間に「やってみたい!」という衝動に駆られ、応募したこのプロジェクト。本当にたくさんの気づきがあり、大変充実した1ヶ月だったなぁと振り返っています。 ♪ 音楽は実体を持ちません。目に見えなければ、鳴ったと思ったら一瞬で空気と化し、消えてしまいます。ですから言葉で表現するということはとても難しい

【ピティナ特級公式レポート・その13『Behind the scenes』】

特級公式レポーターの寿すばるです。 8月17日の特級ファイナル、すごかったですよね!グランプリはホールを幸せな音色で満たした北村明日人さん! そして熱いパッション迸る神宮司悠翔さん、華やかに気品の香る森永冬香さん、初コンチェルトと思えないほど観客を沸かせた鶴原壮一郎さん、どの演奏も素晴らしかったーーー! 感染症の流行が止まらない中、誰一人としてソリストが欠けることなく特級ファイナルを無事に迎えることができ、本当に良かったと思います。 アーカイブはこちら! 特級が終わ

終わりに:音楽を創る人たち

ファイナル当日、私たち特級公式レポーターは、サントリーホールの客席からリハーサルを見学させてもらっていました。東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団とファイナリスト達の、最後のリハーサルです。 会場いっぱいに広がるオーケストラの音。前日の別会場でのリハーサルでも十分な迫力を感じましたが、さらに大きなまとまりと華やかさを感じます。 それがサントリーホールの力なのか、本番直前の集中力と高揚感によるものかは分かりませんが、全く別のオーケストラと言われても納得したかも知れません。

ピティナ特級2022の思い出を語る

(トップ画像提供:ピティナ) こんにちは。ピティナ特級公式レポーターのカイネ♪あのんです。 白熱したピティナ特級2022も8月17日ファイナルをもち無事終了いたしました。ということで、私の特級公式レポーターとしての投稿もあとわずかということで、個人的な感想となりますが、ピティナ特級2022を振り返ってみたいと思います。 1.心に残った曲たち どの曲ももちろん感動的だったのですが、それでも無理やりに各ラウンドで特に心に残った曲を1曲ずつ書いてみたいと思います。 ☆2次で

【ピティナ特級公式レポート・番外編『配信とクラシック音楽』】

こんばんは。特級公式レポーターの寿すばるです。今回はピティナのYouTubeチャンネルのことを少し書いてみたいと思います。 ピティナ特級で、ハイクオリティな配信を支えて下さっている林浩史さん。特級ファイナルが幕を閉じた最後の最後、会場を後にした出口のところでお会いすることができて嬉しかった!! なにしろ、林さんがいなければ、家にいながらにして予選を視聴することが出来ず、レポートを書くことも出来なかったわけです。もっと言えば、YouTube配信がなかったら、特級を知ることもな

音楽と、無限の創造力~ピティナ特級を追って見えてきたこと

ピティナ特級の公式レポーターに挑戦したきっかけは「音楽を学んでいる身として、音楽を自分の言葉で伝えてみたい」という、ただそれだけの気持ちからでした。 時には感じたままに、時にはこっそり知識を仕込んだり。 二次予選からファイナルまでを聴いて言葉にしていく中で、音楽は創造性に満ち溢れていると強く感じるようになりました。 すでに音楽を作ること自体が「創造」であるといえるかもしれません。しかし、それだけではない。演奏することや聴くことも「創造」なのではないか。そのようなことを、最後に

インタビュー:コンサートマスター戸澤 哲夫さん

特級ファイナルの演奏後、4人のファイナリストとともに協奏曲を創り上げた、東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団のコンサートマスター・戸澤哲夫さんにお話を伺うことができました。 ――まずは素晴らしい演奏をありがとうございました。今日はコンクールでしたが、通常のコンサートと比較して、音楽づくりにおいて特に意識するポイントなどはありますか。 戸澤さん 通常のコンサートもコンクールでも、最高の音楽を作っていく、という目指す地点は共通です。でももちろん、コンクールという場の持つ、独特

ピティナ特級公式レポート15〜サントリーホールを彩ったファイナリストたち

二次予選から聴いてきた特級も無事にファイナルを迎え、4名のファイナリストの煌めきに満ちた演奏がサントリーホールを彩りました。 本当に素晴らしい演奏ばかりで、未だに余韻に浸っています。 ファイナリストと共演したのは東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団の皆さま。指揮は飯森範親先生です。前日リハーサル、そして本番前のリハーサルも見学させていただきましたが、飯森先生も、東京シティ・フィルの皆さまも、ソリストが表現したいことをオーケストラ全体で調和できるよう、ソリスト一人一人に寄り

最終コーナーに向かって(4)鶴原壮一郎さん

3次予選、2台ピアノでのラヴェルのピアノ協奏曲では、出だしのグリッサンドだけで私の心を掴み、セミファイナルでの挑戦的なモーツァルト ピアノソナタ第8番とニヒルなプロコフィエフ「風刺(サルカズム)」に度肝を抜かされた鶴原さん。 指揮者との合わせの日、ファイナルの曲であるラヴェル ピアノ協奏曲の3楽章を、イメージ通りの速さで弾くことに迷いがあったようでした。(当日の様子はこちらから)私は「あんな挑戦的なモーツァルトを弾いた人が、そんな心配をするの!?」と内心驚きながらその様子を

最終コーナーに向かって(3)北村明日人さん

今年のファイナリストの中では最年長の北村さん。ドイツ音楽を愛し、留学先のスイスでしっかりとした経験を積んできた北村さんは、一貫して安定の演奏をされてきました。ピアノの前の北村さんはとても大きく、重厚な存在感を発揮されます。しかし指揮者合わせの日、実際にお会いすると、想像していたような大きな体でないことや、演奏時とは全く印象の違う無邪気な笑顔を見せてくれ、ステージ上の印象とのギャップに驚きました。 オーケストラとの合わせの日、北村さんは自分の愛するベートーヴェンを弾けることの

最終コーナーに向かって(2)神宮司悠翔さん

誰にも真似できないような、なめらかで透明感のある音と、細部まで練りこまれた曲作りに、毎度感嘆する神宮司悠翔さんの演奏。セミファイナルでのシューマン「交響的練習曲」やバラキレフ「イスラメイ」は、「今・・私は歴史的な名演を聴いているのかもしれない・・」と呆然としながら聴きました。 実はオーケストラとのリハーサルの日、私の目にはこれまでより少し、神宮司さんの元気がないように見えました。そう思うと、ピアノの音も心なしか、セミファイナルの日より精細を欠いているように感じます。もしそう

最終コーナーに向かって(1)森永冬香さん

特級ファイナルから2日。私の頭の中には今も、サントリーホールでの、夢のような音色が鳴り響いています。 私は配信でしか見られなかった3次予選までの後、セミファイナルからの連続した4日間、指揮者合わせ、オーケストラとの合わせ、当日リハーサル、そして本番とすべて現地でファイナリストを見つめ続けました。私にとっては、4日間が1ヶ月のように感じられるほどの経験と熱量が詰め込まれた時間でした。当事者であるファイナリストたちには、もっと長い期間のように感じられているのではないでしょうか。

【特級ファイナル 特別編】飯森マエストロへのインタビュー~これからの音楽界を担う若いピアニストへの激励

こんにちは。 特級公式レポーターの飯島帆風です。 ピティナ特級ファイナルが終了。ファイナリストの4人がピアノコンチェルトで、東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団と共演しました。それぞれのコンテスタントが音楽にひたむきに向かいあう熱量に圧倒されました。 今回は、指揮者を務められた飯森範親(いいもり・のりちか)マエストロにお話を伺うことができました。 ピアニストがピアノ以外の楽器も知る必要性 ――今回、初めてピティナ特級で若いコンテスタントたちと共演していただきました。4