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二次予選2日目【プレイリスト3】~近現代の曲は面白い!

こんにちは!特級公式レポーターの飯島帆風です。
いよいよ二次予選2日目、最後のプレイリストとなりました。
今回は近現代の曲に注目して、3人の演奏についてまとめていきます。
近現代は聴き方がわからない…そのイメージはおそらく、以下に紹介する演奏者たちによって覆されるのではないでしょうか?

18.神宮司 悠翔さん

神宮司さんのプログラムは、バロックから年代順に、最後のラヴェル《夜のガスパール》に向かっていきました
まずは、J.S.バッハ《パルティータ 第5番》ト長調。あたたかい音色で聴き手を包み込みます。全部で6曲から成りますが、それぞれの特徴を丁寧につかみながら、音の響きで一つにつなげていく。そして、終わりが落ちついていてきれいでした。
ショパン《エチュード》嬰ト短調 Op.25-6。フレーズが膨らんではしぼむ、歌っているように美しいです。ピアノの豊かな響きが活かされていて印象的です。
そして、ラヴェル《夜のガスパール》。最初の右手が光を反射する水面のようにきらめき、その中でメロディが静かに語ります。2曲目、神宮司さんの「シ♭」はとても繊細な響きでした。じわじわと暗黒の闇が押し寄せてくる、そこに美しさをこえたところにある不気味さが感じられました。ついに3曲目で正体のわからない何者かがあわただしくかけ回ります。技巧的な曲であることを聴き手に忘れさせ、超自然的で不思議な世界に引き込まれていきました。
バロック、ショパン、ラヴェルという流れによって、最後にラヴェルの響きの良さがうまく引き立てられていると思いました。

22.今井 梨緒さん

今井さんのプログラムでは、ショスタコーヴィチ《ピアノソナタ第1番》 Op.12が鍵になっていたと思います。
ショパン《「ドン・ジョバンニ」の「お手をどうぞ」による変奏曲》変ロ長調 Op.2。曲名の通り、モーツァルトのオペラ「ドン・ジョヴァンニ」の二重唱「お手をどうぞ」から主題をとった曲です。その元の曲に由来する歌の旋律と、オーケストラによる伴奏の部分を意識して演奏していることが伝わってきました。
ショパン《エチュード》変ト長調 Op.25-9 「蝶々」。同じショパンでも、こちらは軽やかであたたかみがある感じでした。
最後に、ショスタコーヴィチ《ピアノソナタ第1番》Op.12。あちらこちらの音が、鋭く力強く鳴り響きます。その中に、断片としてテーマやモチーフが散りばめられている。その一つひとつが全体にはめ込まれていきました。中間で一度落ちつきながらも、心の奥底にはまだパワーが秘められている、それが徐々に姿を見せていく場面が魅力的でした。
全体のクライマックスがショスタコーヴィチにあるように感じられ、とても聴きごたえのあるプログラムでした。

24.平間 今日志郎さん

本プレイリストの最後は、平間さん。J.S.バッハショパンラヴェルリゲティリスト、この流れはかなり考え抜かれたものなのではないかと思いました。
J.S.バッハ《平均律クラヴィーア曲集第1巻 第3番》嬰ハ長調は、爽やかな朝のような感じ。プログラムの最初にピッタリです。一つひとつの音が、まるでその場で紡ぎ出されたかのようでした。
続く、ショパン《エチュード》イ短調 Op.25-4では、一つとして同じ表情が無く、聴き手を飽きさせない。そして、ラヴェルの「鏡」 より 第4曲「道化師の朝の歌」。時々、スペイン風の旋律が耳に入ってきます。途中で伸びやかに歌われる旋律から曲が揺らぎはじめ、行き先がわからなくなる。でも、そこには確かな方向性があって、さまよう感じを聴き手に楽しませてくれる演奏でした。
4曲目になって、リゲティ《ピアノ練習曲集第1巻 第4番》「ファンファーレ」。音の連続体、パターンの繰り返しがやむことなく流れてきます。楽譜を見ると、1小節が8つの音からできている。では、この8つをリゲティはどのようなカタマリに分けたのか?ちょっと変わったようにも聴こえます。そう、3+2+3のカタマリに分けたのです。そうでありながら小節線を感じさせることなく、リズムが生き生きとしている、その表現が魅力的でした。
これで終わらず、リスト《巡礼の年第2年「イタリア」 S.161 》より 「ダンテを読んで -ソナタ風幻想曲-」。リゲティがあったからこそ、激しさの中に美しさが際立ちます。ふつふつと込み上げてくる感情の中に、壮大な世界観が見えてきました。
近現代の曲を入れることによって、全体の流れにメリハリがついていると思いました。

ここまで、二次予選2日目の演奏をすべてお伝えしてきました。
バロックから近現代まで、その幅広い年代の曲をさまざまなプログラムの位置づけで聴くことができ、「このプログラムの中で聴くと、こうやって聴こえてくるのか…!」と新たな曲の魅力が発見できたような気がします!
出場者の方々、本当にありがとうございました。

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最後までお読みいただき、ありがとうございました。

(写真提供:ピティナ ※本レポートでの画像利用許可済)

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