2023年ピティナ・ピアノコンペティション特級に関するnote記事です。公式レポーター6名の方の記事も合わせてご紹介しています。演奏、文章で特級を丸ごとお楽しみください。
柚子と蜜柑
「柚子と蜜柑」がお茶会に参加した記録をまとめたものです。
2024年の閏日からの2泊3日の旅の記録です
家のオーディオ環境を改善しよう!と一念発起して、オーディオを探す日々を書いた日記です
2022年ピティナ・ピアノコンペティション特級に関するnote記事です。公式レポーター6名の方の記事も合わせてご紹介しています。演奏、文章で特級を丸ごとお楽しみください。
あるお茶席で、「書道を習ってみたいんですよね」と呟いたら、「それならいいところがあるわよ」と同席の女性に教えていただいて始めたかな書のお稽古。神楽坂の教室に出向いて何よりも感動したのは、根本知先生がお手本を書いてくださる、その筆先の美しさでした。 たゆたうようにゆったりと、時に素早く、優雅な生き物のように動く筆先から、みるみる線が生まれ、それが文字となり歌となってひとつの紙に収まるまでの数秒のうつくしさ。その一連の動作は、私にとってはこれまでに体験したことのない、音楽でした
ショパンの最後のソナタ、ロ短調3番の輝かしい最終楽章を聴く度、「ショパンはいったい何に勝利したと言うんだろう」と思う。ポーランドがロシアの支配から独立する、未来の勝利を祈ったという解釈が妥当だろう。 57歳まで生きたベートーヴェンには、苦悩を経て歓喜に至るために必要な人生の長さがあったと推測する。長生きだったリストも、晩年の曲を聴くと、人生を味わい尽くせた感がある。一方39歳で死んだショパンには、そうした境地に至るための時間は与えられなかったと思う。人生は長さではないので、
いい音楽ホールには、神さまがいるんじゃないかなぁと思うことがある。神さまと言うか、アーティストと聴衆が時間をかけて築いてきたエネルギーの蓄積のようなもの。いいお店がそうであるのと同じように。 昨日、友人に連れられて、深谷まで行った。養鶏場主催のEggFarm祭りだ。古い養鶏場の建物の中のミニチュア蒸気機関車、太鼓のワークショップ、はちみつやクッキーや深谷ネギを売る出店などとともに、ピアノを演奏させてもらえるのだ。ドラマ「カルテット」みたいな風情がある。 Hall Egg
私の推しはレバノン人ピアニスト(67歳)のため、2年かけて彼のラジオを聴いているうちに、どこにあるのかも知らなかったレバノンと、そこで暮らす人の生活を少し知った。建国は1943年と新しく、たくさんの宗教と人種が集まり、文化的に美しい都市だが、内戦や大爆発など、定期的にひどい目に合う(が、信じられない早さで復興する)という印象だ。 パレスチナの抗争の複雑さがあまり理解できないが、エルバシャさんを入り口として触れた美しいレバノンの町が壊され、たくさんの人々が暮らしを追われている
「ひとうたの茶席」を始めてもう4年。撮影はだいたいうちの家で行っている。もう30回近く撮影した計算になるはずだ。 華道家は撮影に使った花を置いて行くので、しばらくの間わが家には花が溢れ、時には中から這い出してくる虫たちにぎょっとしつつも、水を換えたり茎を切ったりしてお世話することになる。 花いけには全く成長がないが、なんとなく、花を長持ちさせるのが上手くなったような気がする。4年近く華道家の手さばきを見ていた影響もあるかも知れない。触り方や茎の切り方や葉の落とし方。撮影が
アマチュア音楽家の選曲ってどうあるべきなんだろう。凄腕アマチュアピアニストの中には、膨大な今世の弾きたい曲リストを順番に潰して行く人もいる。譜読みも、完成させるまでの時間も早い人はそれでいい。譜読みが遅く、技術もほどほどだが、時間をかけて少しずつ音楽性を高めて行きたい、というアマチュアはどうやって行くのが効果的なのか。 今思うと、小学生の頃に習った松山の先生は素晴らしかった。当時5人いた同学年の生徒に、それぞれピッタリな個性の曲を選び、実力以上の物を引き出すことが出来た。生
岩手への旅行から帰り、久しぶりに夫の顔を見ると、新種のナッツに顔が付いてるみたいだな、と思った。夫は小柄な坊主で、夏テニスで日焼けした様を、うずらの煮卵に似ているなと思っていたが、この一週間の間に日焼けが落ち着いたのだろう。外国から入って来てまだよく知られていない名のナッツ、という感じがした。スーパーフードとしてキヌアやコンブチャが入って来た頃のことをイメージして欲しい。 「なんか知らんナッツに顔が付いた感じになったね」と告げると、私の白くぷよぷよした二の腕を見て、「なんか
箱根山学校へ 大船渡で茶杓をゲットした後は、陸前高田に戻って、箱根山テラスへ。 私が参加したのは、2014年から毎年開催し、第10回(最終回)を迎える箱根山学校のプレキャンプ。バスツアーで生産者さんや道の駅、新たなエネルギー拠点、嵩上げして作られた中心市街地などを回った。 私が初年度に参加した頃、もう瓦礫は片付けられていたが、捻じ曲がった建物や流された船が残り、至る所でブルドーザーが土を掘り返し、ベルトコンベヤーが山を削った土を運んでいた。 役所の人が地図を持って来て
先週金曜の平井千絵さんのムジカーザでのコンサート。太田垣至さんの製作されたフォルテピアノを使用して、ヘ短調とハ短調、二つの調をテーマとしたプログラム。 最大音量が現代ピアノより小さいものの、それ以下の音量の段階のバリエーション、グラデーションが格段に多いように感じた。もっともそれは、フォルテピアノの特性というよりは千絵さんの技術によるものだろう。 フォルテピアノの紹介などを交えたヘ短調の前半の後、後半は息もつかせぬ怒涛のハ短調プログラムだった。モーツァルトの幻想曲からソナ
月曜から、大船渡の実家に来ている。自分でも夫でもない、友人の、言わば他人の実家だ。震災後何度かお邪魔させてもらった。たまにこうして他人の家で親孝行欲を満たす。 しかし実家というのはなぜこうも、似ているのか。窓から入る太陽光が床に映り、穏やかな無音の中で、その光がゆっくり移動していく。そして親たちはだいたい、ご飯の準備と散歩以外ほとんど何もしていない。ように見える。 碁石海岸に行ったり、最近できたちょっと新しいカフェに行ったり、道の駅やスーパーに行ったりしてのんびり過ごした
9月11日、松村栄子先生の「粗茶一服シリーズ」の新作が発売される。粗茶一服シリーズは「雨にも負けず粗茶一服」をはじめとする3部作で、架空の武家茶道<坂東巴流>の息子、友衛遊馬の物語である。テンポのよい文章で時に笑わせ、時に泣かせて、伝統ある家に生まれたはねっかえりの若の成長と周囲の人々が色鮮やかに描かれる。茶道の本としては森下典子先生の「日日是好日」が有名だが、私は兼ねてよりこの、松村栄子先生の粗茶一服シリーズも素晴らしいと推し、秘かに映画化を待ち望み、勝手に配役なども夢想し
最近のユニクロのCMは困る。夕飯を食べていようと、ソファでぼけーっとしていようと、こちらの意志と関係ないタイミングで差し込まれるサザンの懐メロに、ほわーんわんわんわーんと昔のドラえもんのタイトルコールの脳内イメージとともに、心は一気に「あの頃」に持って行かれる。 私がサザンを良く聞いていたのは、松山で高校生をしていた1990年代。 野球部やラグビー部が立てる砂埃と吹奏楽部の管楽器の音が聞こえる放課後。受かりさえすれば、もう来年はここにいないのだという受験生ならではの決意と寂
「ひとうたの茶席」の書家、根本知さんのHIGHFLYERSでのインタビューを読んだ。 記事中の、NHKの人の「売れるとは重たいものを軽くすること」という言葉に、なるほど、と思った。 それをもとに根本さんは、「成功とは重いものを軽くできて、専門性に社会性が伴うこと」とおっしゃっている。 とすれば成功し続けて行くためには、重いものを軽くしながら、同時に重いものをより重くし、専門性を高めて、その結果またさらに社会性が広がる、というインプットと熟成•アウトプットの独自サイクルが
阿波踊りとゴルフの撮影で夫が出かけて1週間。すでに1キロ痩せた。この分だと帰ってくるまでに3キロは痩せそう。料理ができないわけじゃない。誰しも1人だと食生活がいい加減になるものだ。しかし今からこれだと老後が思いやられる。同じように食べることが下手そうな友人と、「もし老後1人になってしまったら助け合いましょうね」と約束した。 しばらく前からゼリー作りにハマっていた夫は、色んな風味のカルピスやオレンジ、ほうじ茶にとどまらず、くり抜いた小玉スイカにスイカゼリーを詰め込むなど、限り
散歩をしていたら、小学生2年生くらいの男女の帰り道に遭遇した。 男の子はスポーツメーカーの黒いリュックとシャツ、女の子はピンクのリュックにリボンの着いたキャップ。動きやすいのにフェミニンでかわいくしていて、お母さんのセンスが想像できる。 同じ方向に向かっていたので、なんとなく後ろを着いて歩いたら、男の子はそれはそれは振る舞いがかっこいいのだった。多くの大人がそのまま渡ってしまう押しボタン式横断歩道はもちろん正しく待ち、渡る際には女の子の手を自然に取ろうとした。 狭い道に大
しみじみ続くオーディオ探索。機会をいただいて、Denonさんに伺ってネットワークCDレシーバー「RCD-N12」を試させていただきました。飯田有抄さんが楽しい記事にしてくださっています。 うちにはスピーカーとアンプがあるので購入には至りませんでしたが、初めてオーディオを買いたい人や、仕事場や別宅に導入したい、という人には記事の「RCD-N12」、すごくおすすめです。デザインもスッキリと可愛いし、聴きたい媒体間の切り替えがスムーズでストレスがありません。 機械のことはもう良