見出し画像

「SEVENTEEN : HIT THE ROAD」 - K-POPの強さを垣間見

★★★★★

ドラマからは少々逸れますが、YouTubeで公開されているSEVENTEENのワールドツアー「ODE TO YOU」を追ったドキュメンタリー動画を観ました。メンバーひとりずつに順々にスポットをあてていく合計2時間半程度の映像。とても面白かった。

近年は日本のアーティストでもちょくちょくドキュメンタリー作品が発表されていますが、やはりそれぞれに独特の物語が存在しますし、規模の大きなツアーを回るときは必然的にドラマが生まれるのだろうと思います。SEVENTEENの場合はメンバーが13人の大所帯ということもあり、中でもアメリカも含むワールドツアーの様子を追っている本作はエピソードに事欠かず興味深く一気に観れてしまいました。

次々とメンバーたちが体調不良に陥ってしまったり、ツアーの終盤(2020年2月ごろ)はコロナの波に襲われてヨーロッパでの公演を断念することになり、いろいろな意味でリアリティ溢れる展開となるのですが、そんな逆境にあってもひたすら真摯にプライドを持ってアイドルとしての在り方を突き詰めていく13人の姿に、昨今これだけK-POPが世界を席巻している理由が分かる気がしました。

最近のK-POPアイドルは比較的デフォルトで多国籍になっているのかと思いますが、SEVENTEENも中国出身やアメリカ出身のメンバーがいて、かつ楽曲制作や振付をするメンバーがいたり、アート方面の才気を発揮するメンバーもいるなど、13人の世界の中に実に深い多様性が存在しています。グループ自体が当たり前にたくさんの要素を内包していることが、広く世界に出て行っても自然と受け容れられていくためのひとつ大きなキーなのだと感じさせられました(BTSやBIGBANG、遡れば少女時代などが成功して道を切り拓いてきた前段はもちろんあるのでしょうが)。プレッシャーや気負いは当然あるとしても、舞台を世界に移していくことに妙な壁も感じなさそうです。多国籍であることを踏まえた上で韓国語で歌っているのもあってか、言語はハードルではなく個性なんだなぁという不思議な実感も(それが世界中の聴き手にナチュラルに浸透している)。

そしてそういった多様さをグループとしての色合いにきちんと納め、かつ違和感や抵抗なくまとまっていること、それを成立させている価値観がすごくいいなと、そんな風に考えながら観ていました。13人て多いな!と最初こそ思いましたが、13人いることを最大限に活かせているチーム。組織として強いです。

いずれにしろ、普通には想像がつかないような苦労を重ねてここまでやってきたのだろうというのが、パフォーマンスの完成度や個々人の思考の深さ、メンバー間の戦友ないし家族にも似た絆から伝わってくるような映像で、それぞれの魅力や人柄の良さをじっくり知ることができました。

こういったクオリティの作品がYouTubeで気軽に観られるってとても素敵な時代です。SEVENTEENのチャンネルは独自の番組もやたら充実していて、こういうコンテンツの在り方が今後の主流だとすると、YouTubeの意味合いもまた変わりそうだな〜と、そんな風にもしみじみ。


この記事が参加している募集

#コンテンツ会議

30,729件

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?