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中根すあまの脳みそ

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中根すあまが考えたことや、気づいたことを徒然なるままに記録していきます。毎週金曜日に更新。読んでやってください。
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2024年6月の記事一覧

中根すあまの脳みその250

息を吸うこと。
ただ、それだけで全てが解決するような気がしている。
周りに目を向ければ向けるほど、時間は己のものではなくなり、通り過ぎる他人に奪い去られてしまう。
残ったのは、おどおどと立ち尽くす自分だけ。
息を吸うと、時間が自分のものになる。
自分のために流れる時間になる。
その状態を保つことができる人こそが強いのだと、そんなことを思う。

それを分かっていて、息なんて吸いたくないと思うこともあ

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中根すあまの脳みその249

嫌いな映画を止めなければと思っていた。
前にも観たことのあるそれは、とてつもなく恐ろしく、私の日常を著しく乱すものであると、夢の中の私は知っている。
気ばかりが急くが、なにかもやのようなものを掴むだけで、どうにもうまくいかない。
そうしているうちに、映画は始まった。
やはり、夢の中では自分の意志など無力だ。
力無く項垂れるうちに、映画はその空間を支配し、私はその中にいた。

巨大なカタツムリの化け

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中根すあまの脳みその248

忙しなく動いていた体と頭を少し落ち着けようと、道の途中にある、木の周りを囲う柵のようなところにもたれる。一息つくと、なにか蠢く気配がして、目線を送れば、見たことのない虫。東京にもいるんだ、見たことのない虫。
やたらぎらぎらした、でかいアリのようなその生き物をじっと見つめて、そっとその場から離れる。未知の生物は、怖い。
少し離れて、二息目の一息をつく。
視界に入った下まつ毛が、まるでさっきの虫のよう

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中根すあまの脳みその247

幼い頃、いちごが食べられなかった。
大人になった今でも、好んで食べることはないのだが。
いちごの味が苦手だとわかっていて、怯えながら口に運んだいちご味の飴が、本物のいちごとは違ったものに感じたとき、私は、架空の味、フィクションの味が存在することを知った。ソーダ味のアイスなんかもそうだ。あの味のソーダなんてない。あの味のソーダが飲みたいのに。得体の知れない歯痒さがある。
マスカット味が好きだった。

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