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【先輩インタビューVol.1】首都高技術株式会社 揚原 聖輝さん(2022年卒)

今回から、埼玉大学を卒業し社会で活躍する先輩にインタビューする企画「先輩インタビュー」シリーズを公開していきます。
第1弾は、2022年に埼玉大学工学部を卒業された揚原 聖輝さんにYouth Buddyの大平と山内がインタビューしました。


プロフィール

揚原 聖輝さん Seiki Agehara | プロフィール
首都高技術株式会社 東京東管理課

東京都出身。都立小松川高校を卒業後、埼玉大学工学部環境社会デザイン学科に入学。学業では建設材料工学研究室に所属し、プレストレストコンクリートの補修法の効果について検討した研究で卒業研究優秀者に選出された。また、大学2年生の時に3カ国に短期留学をし、日本を客観的に考える重要性を実感する。課外活動では、SU Career Buddyの立上げメンバーとして就職支援に注力した。趣味はスポーツで、休日は友人と野球やジム通いを楽しむ。二郎系のコールの十八番は、ヤサイマシマシアブラベツザラ。

日本の当たり前は世界の当たり前でないと知った学生時代

― 自己紹介をお願いします。
揚原と申します。工学部 環境社会デザイン学科を2022年に卒業し、現在首都高技術株式会社東京東管理課で首都高速道路の詳細点検に携わっています。

― 環境社会デザイン学科に所属していた学生時代は主にどのようなことをしていましたか?
元々交通に興味がありました。2年生の時、グローバルコミュニケーションという授業でタイとベトナムに行きました。そこで、世の中には様々な構造物があり、これらは様々な材料から成り立っているので、材料を研究し開発することで、コスト面や安全性、環境負荷の面でより高性能な構造物をつくることができるようになるという話を聞きました。その際「材料って面白いな」と感じたことがきっかけとなり、学生時代は建設材料工学研究室で構造物を構成する材料の一つである、コンクリートの研究をしていました。


タイのタマサート大学での集合写真

― グローバルコミュニケーションの授業を通して国際的な面で何か感じたことはありましたか?
世界では、日本の当たり前は通用しないということです。2019年に中国に行った経験があるのですが、そこでマンションが急速に建てられていく様子を目にしました。これは日本では見たことがない光景でした。また、日本では街中にごみが落ちているということはほとんどないですが、ベトナムでは平気でごみが落ちており、社会問題化していました。このように、日本の当たり前は世界では当たり前ではないということを知ったのはとても良い経験でした。外国のことも含めて幅広く物事を知らないと日本でしか生きられない人間になってしまいます。多くを知れたのは貴重な経験でした。


ベトナムでは、街中にごみが平気で落ちていた

― 部活動や他の活動は何かしていましたか?
部活動は高校から継続してハンドボール部に入っていました。バイトは塾の講師をしていました。そして、4年生になってからはSU Career Buddyとして活動し、複数回イベントを行いました。勉強だけではつまらないので、いろいろなことをやってきました。

インタビューに応じてくださる揚原聖輝さん

土木に限らず様々な業界を見ながら行った就職活動

― 大学院に行かずに就職をするという決断をしたのはなぜですか?
大学院に行くのも学部卒で就職するのも、どちらにも良い点はあります。しかし、私は早く社会に出て仕事を覚えたいという考えがあったので、就職を選びました。また、学部卒の方が比較的幅広い業界に手を出しやすいと感じます。大学院に行くのであれば、大学院で深めた学を棒に振ることがないようにそれなりの覚悟が必要だと思います。
 
― 就職を決めたタイミングはいつ頃でしたか?
基本的には入学時から学部卒で就職活動をするつもりでいました。ただ、妥協して就職するなら大学院でさらに学を深めてから再挑戦をしようと思っていたので、うまくいかなかった時に備えて大学院進学のための勉強もしていました。就職するか大学院に行くかどちらになっても困らないように1年生から勉強をしっかりと準備していました。
 
― 本格的に就職活動やインターンを始めたのはいつ頃ですか?
3年春の段階からガクチカや自己PRを作って、キャリアセンターのアドバイザーの方からアドバイスをいただきながら準備をしていました。ガクチカや自己PRが選考に通らなかったらまた作り直す必要があるので、早めの行動を意識していました。また、コロナにより通学時間がなくなったので、こうしたことを考える時間を確保しやすかったです。

― どのようなインターンシップに参加されましたか?
遠いところだと鹿児島までプレキャストコンクリートのメーカーのインターンシップに行き、地域特有の製品の製造現場を見学するなど東京では見られない多くのことを感じられて良かったです。夏は長期型のインターンシップが多いので、冬の短期型を自らの志望を固めるためにより意識していました。2年の夏に何度か応募したのですが、すべて通りませんでした。多くのインターンシップでは3年生が優先されている傾向があるように感じました。私が3年生の時は2020年でちょうどオリンピックと重なっていたため、当時興味を持っていた地方自治体でインターンシップの募集がなく、インターンシップに参加できませんでした。


山内:学科の先輩から直接話を聞くことができ、自分の就職活動に活かしたいと考える。

― 就職を考えるにあたって、最初から業界を絞って就職活動していましたか?
特定の業界に絞るのではなく、いろいろな業界を見ていました。特定の業界だけを見て、そこで感じた部分を当たり前だと思ってしまうのはもったいないです。様々な業界を見ることでその業界の良い点・良くない点が客観的に見えてくると思っています。こうして、大学で専門にしていた土木に限らず様々な業界を見ながら徐々に絞っていった結果、現在の会社にたどり着きました。
 
― 具体的にはどのような業界を見ましたか?
自分から多くの業界に手を出すのは大変なので、就活サイトのスカウトを利用しました。電力会社をはじめ、多くの会社からスカウトで声をかけてくださり、気になるところはすべて話を聞くということをしました。また、塾講師をしていたことをプロフィールに書いていたため、塾やスイミングスクールの会社からもスカウトがありました。

― 様々な業界に挑戦するにあたって、軸としていたのはどんなことでしたか?
私は将来のビジョンとして、結婚して家庭を持ちたいと考えています。やりたい仕事ならば何でもよいということはなく、休日をしっかり休める、転勤がない、収入の変動があまりないというように、将来の家庭を大切にできることを意識していました。働くだけではなく、将来どういう生活を送りたいか、どういう大人になりたいかを考えたうえで、逆算して就職先を決めました。

自身のライフプランと照らし合わせて入社を決断

― 入社のきっかけはどのようなものがありましたか?
入社のきっかけは3つあります。1つ目は、私の将来描いているライフプランに合致している点です。安定的で、首都高という誰でも知っているものに関わる社会的信頼性、他の高速道路に比べて特殊な構造物が多いということから技術者としても勉強できると考えて選びました。2つ目は、私の父親も首都高に関わる会社で働いていて幼い頃から首都高になじみがあったという点です。3つ目は、離職率が低いという点です。この3つ目の理由が特に大きいです。離職率が低いということは内部の環境が良く、働きやすいからだと感じます。
 
― 実際に入社して、入社前とのギャップはありましたか?
ほとんどは想像通りでした。入社してから感じたのは、当社は首都高の管理を専門に行っていますが、基本的な業務は協力会社との点検業務の調整によるデスクワークの割合が想像より多いことです。そのため、チャンスがあれば積極的に現場に出向き、構造物に実際に触れることで自らの知見を深めていくようにしています。また、入社以前はきっちりとした服装で働くと思っていたのですが、私の働いている事務所は作業着で業務をしている社員もいるので、ギャップを感じました。これは事務所によって異なると思います。
 
― ライフプランや働く環境の面でも想像通りでしたか?
一般的に見ても恵まれている方だと思います。福利厚生も充実していて、休日出勤も少なく、働きやすい職場です。


大平:就職に対する考え方やライフプランなどがとても参考になり、
改めて自分の将来をどうしていきたいか見つめ直す大きな機会となった。

入社してから感じたこと

― 仕事のモチベーションはどこにありますか?
使命感です。私たちの会社は売り上げや利益を上げるためだけに仕事をしているわけではありません。首都高の主治医として仕事に真剣に取り組み、首都高の安全を守ることは自分の身の安全を守ることにもつながります。その使命感で働いています。
 
― 仕事で今後目指していきたいことは何ですか?
土木の分野では、最近ようやくデジタル化が進んできています。首都高グループでは、「i-DREAMs🄬(アイドリームス)」というスマートインフラマネジメントシステムを開発・運用し、インフラの効率的な維持管理を支援・実現する仕組みを整えています。そして、当社ではアイドリームスのコア機能である「Infra Doctor🄬(インフラドクター)」の開発を行ってきました。インフラドクターは特にGIS(地理情報システム)と3次元点群データを活用したインフラの維持管理を支援するシステムです。
とは言え、まだまだ紙ベースが多いのが実態です。また、点検も実際に現場に行って自分で確かめなければならないことが多く、人の力に頼っている部分も多いです。今後、私の同期など若い社員と一緒に、効率的に進められる様、改善していきたいと思っています。

※参考
スマートインフラマネジメントシステム i-DREAMs®|首都高の取り組み|首都高速道路株式会社 (shutoko.co.jp)
InfraDoctor/インフラドクター|道路構造物等の維持管理業務を支援する次世代システム|技術紹介|首都高技術株式会社 (shutoko-eng.jp)

これから就職活動をする学生に向けて

― これから就職活動をする学生に向けて、メッセージをお願いします。
大学ではどちらかというと学問的でアカデミックなことを扱いますが、社会に出ると実際の現場に合わせて仕事をしていくので、大学の勉強が必ずしも社会ですぐに役立つとは限りません。大学にいるうちに実務経験がなくてもとれる資格、例えば土木系なら2級土木施工管理技術士の一次試験のような学生でも受けられるものや、ITパスポートなどの資格をチャレンジしておくと社会に出てから役立つと思います。これは、私がこのようなことをやっておけばよかったと後悔していることでもあります。
 
― 学生のうちにやっておくべきことは他にもありますか?
業界構造を知ることです。同じ業務内容でも会社の業界における立ち位置によって仕事の性質が変わってくるので、その業界はどのような構図で動いているのか、その会社の仕事は業界ではどのような立ち位置なのかを知っておくと入社した時に後悔せず、自分のやりたいことに近づくと思います。

― 大学在学中にやっておいてよかったことはありますか?
大学の勉強を一生懸命やるのは当たり前として、そのほかの活動ができたことです。社会人になってもプライベートが充実するからこそ仕事に集中できると思います。私の場合、大学で部活動をやっていたので、つながりができましたし、趣味もできました。また、海外に行ったことで、日本の良さや問題点に気づくことができました。勉強ももちろん大切ですが、それ以外のことにも多方面に手を伸ばしていたことが結果として良い方向で自分に返ってきました。一見関係がなさそうなことでも、興味があるなら手を伸ばしてやってみると良いと思います。どんな経験でも無駄にはならないはずです。大学生は社会人と違って時間は多くあるので、時間がある時に興味があることをやっておくといつか役立つ時が来ます。
 
― ありがとうございました!


首都高技術株式会社本社にてインタビューさせていただきました

インタビュー日:2022年7月14日

執筆:教育学部 2年 大平 弦
   工学部  2年 山内 翼
編集:キャリアセンター




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