ムンク展に行ってきました
絵画に詳しくない方でも、ムンクという画家のことはご存知の方が多いのではないでしょうか。
特に有名なのは「叫び」という作品です。中学校の美術の教科書にも載っているようなものなので、一度は目にしたことがあると思います。
そんな画家ムンクの特別展が、1/20まで東京都美術館で行われいるということだったので、ぜひお目にかかりたいと思って観に行きました。
私はまったく美術に詳しくありませんが、綺麗なものやかわいいものを観るのが大好きです。なので、素敵な絵や写真、景色を観るのは大好物なのです。
SNS映えと言われるようになってからは、なぜか都会っぽい綺麗な写真を投稿するのに照れを覚えてしまい、SNSにあげづらくなってしまいました。
なので、綺麗なものはカメラロールにたくさん納めています。1人で見てにやにやすることも多いです。犬とか、ハリネズミとか、乃木坂46とか、かわいいものを楽しむのもこれまた幸せな気持ちになります。かわいいは正義だと思います。
すみません。
私の嗜好の話にそれてしまったので、ムンクさんに戻します。
ムンク展は、なんだか胸をえぐられるようなものがありました。
以前「フェルメール展に行ってきました」というnoteを書いたのですが、フェルメール展のときは、ただただその美しさや画家の感性にうっとりして、妄想をふくらませて楽しんでいました。
けれど、ムンク展は少し違いました。
次々と愛する家族を失うその痛烈な人生、周囲からの非難を浴びた先にできあがった筆跡の残る表現に、こわいと思ってしまい目を背けた作品さえありました。
ここからは、ただの個人的な感想になります。
書いていたらとっても長くなってしまったので、初めて小見出しを設けてみました。
接吻
ムンクの「叫び」はもちろん楽しみにしていたのですが、一番見たかったのはこの「接吻」という作品です。
「接吻」と聞いて何を思うでしょうか。せっぷん、と読みます。そうです。2人の男女がチューしている作品です。知っている方もいるかもしれません。
大人なんだから恥じらいを持ってキスと言いなさい!と怒られてしまうかもしれませんが、なぜか照れを覚えてしまうのでチューと呼ばせていただきます。
誰しも、恋のお話を見聞きしたことがあると思います。24歳ともなると周りの恋のお悩みも多種多様になってきて、私はそれを大変心配したり怒ったり笑ったりしながら聞いています。
そして、ときどきそれは「愛とはなにか」という究極のテーマにたどり着きます。多くの20代女性がこのテーマに悩み、哲学者のようにそれぞれの持論を探し始めます。
そうなのです。女子会というものは単なるお喋りの場ではなく、そのようなフィロソフィーの発表の場ともなる、非常に意義に満ち溢れた場なのです。脳みそをフル活用させなければいけないので、パンケーキなどの甘いものが必要不可欠なになります。
ムンクは愛を「個の喪失」と定義しています。私はさまざまな愛の定義を見聞きしていましたが、これほどまでにその意味を完璧に補って、かつ無駄のない愛の定義は他にないと思っています。「接吻」と名付けられたその作品では、チューしている男女の顔が溶けるように混じり合い、まるで1人の人間のようになっています。1人と1人の境目がなくなっているのです。
個の喪失。
自分以外の誰かを、自分のことのように、もしくは自分以上に大切な存在として思えたら、それは愛と言うことができるのだ!という解釈をしました。
もちろん人の捉え方はそれぞれなので、そうではないかもしれません。次に女子会の機会があれば是非発表し、皆さんのフィードバックをもらいたいと思います。生で見られて嬉しかった。
叫び
とっても怖かったです。同じような作品が並んでいて、うっわこの頃ムンクめっちゃ病んでるやん…と思わざるを得ない作品でした。
音声ガイダンスで「夕暮れに道を歩いていた」から始まる作品におけるムンクの言葉が、その描写をより一層引き立たせて鳥肌が立ちました。恥ずかしながら私はこの文章を知らなかったのですが、どうやら有名らしいです。
まさに画家その人の言葉で、遠い時代に描かれたその作品をその人生を味わえるなんて、とても贅沢だなあと思いました。来日してくれてありがとう。
太陽
今回いちばん好きになった作品でした。サイズ的に大きい絵ということもあるのですが、他の作品を観た後、ふと右を向いた時に目に飛び込んできて、その美しさに息を呑みました。
空は晴れていて色は多くて明るく、陽の光が線となって描かれています。同じ人が描いたとは思えないくらい、「叫び」で描かれた空とは180°違いました。ムンクめっちゃ元気になっとるやんと思いました。
長い年月をかけて描かれた作品らしく、でこぼことしたリアルに感じられる筆跡に「あぁ、本当にムンクが描いたんだなあ」という、なんとも当たり前な感想を持ちました。当たり前体操で歌われる日も近いです。希望とか勇気とか、そこらへんのものが湧いてきそうな作品でした。
星月夜
秋田の風景によく似ているなと思いました。夜の民家の明るい光たちが遠くに集まっている様子が見えて、おそらくムンクがいるであろう場所は高い丘のあたり。暗い場所です。
とても静かだけれど、ここでも空が描かれていて、輝く星たちがとても綺麗。ムンクはこの頃はもう精神状態がきっと安定しています。心が穏やかな状態になって初めて、人は見るものを綺麗に捉えられるのかもしれん、とやや上から目線で思いました。
「叫び」を描いた頃、もしかしたらムンクは見るもの全てに憎しみを感じていたのかもしれません。夕焼けなんで赤いんだよこの野郎!みたいな理不尽もきっと言っていたのではないでしょうか。私はすぐに怒る人がすこし苦手なので、そのときムンクに出会ってたら距離を置いていたことでしょう。こわいよう。
でも「星月夜」を描いたころのムンクなら、ぜひお友達になりたいなと思いました。あの星何に見えるー?なんていうメルヘンな話をしたいです。綺麗なものを綺麗だと感じられることは、すごく嬉しくて大切なことなんだなと思いました。
はあ、すごく楽しかったです。他にも哲学者として有名なニーチェの肖像画とか、ムンクの自撮りとか、とっても面白かったです。
知識があったらもっと楽しいんだろうな。人生に楽しいと思えることを増やしていきたいです。
おわり
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