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見えている穴に落ちる中国人、自ら墓穴を掘る日本人

中国人と日本人では、仕事に対する考え方が大きく違います。

いろいろな切り口で語ることができると思いますが、この記事では「予想される問題に、どう対処するか」という観点でその違いを述べてみたいと思います。

もちろん全ての人に当てはまるわけではなく、あくまで一個人が中国に住んで経験してきた中から見た、大まかな傾向だと理解いただいた上でご覧いただければ幸いです。


予想されるリスクへの考え方の違い

中国の人は、未来に起こりうる問題への対処がとても苦手です。

苦手というより、起きていないことを問題として認識する習慣があまりないように見えます。「まだ起きていない問題は存在しない」と言わんばかりに、たとえ問題が起きる確率が80%、90%とわかっていても、「起きてから対処しよう」と考える人が多いように思います。

「このままだと問題が起きるのはわかっているんだから、今のうちに対処・準備しておこう。そのほうがスムーズで、結果的に効率がいい」というアプローチで日本人が話をしても、たいていの中国人にとってはピンと来ません。「でも、もしその問題が起きなければその準備は無駄でしょう?」といった反応が一般的です。

部下や取引先に「こういう問題が出るかもしれないから、3日後までに対処しておいてね」と言って「わかりました!」と返事をもらったのに、3日後に訊ねてみると何もやっていなかった、というような事も頻繁にあります。

これらの傾向は、事前に問題を潰すことを是とする日本人の目には理解しがたい、奇異なものとして映ってしまうことが多いでしょう。さながら、見えている落とし穴に自らハマりにいくようにも見えます。

なぜそのような違いが生まれるかについては民族性や商習慣など様々な可能性があり、一概に論じるのは難しいです。でも、こういった違いは確実に存在します。おそらくなんらかの形で中国に関わる仕事をしたことがある人は、上記のような経験への心当たりが少なくないのではないでしょうか。

洗濯バサミの不良品をどうする?

さらに具体的に考えるために、ある2つのケースを想定してみます。どちらもある洗濯バサミの工場で不良品が発生したときのことを想定しています。日本人・中国人それぞれがどう行動するか、考えてみましょう。

ケース①
出荷前の洗濯バサミに関して、材料の不備により強度が不足する不良が発覚した。10,000個生産したが、数回使ったら割れてしまうようなものが半分以上ある。作り直しをすると、客先と契約した納期には間に合わない。

このようなケースの場合、日本人なら大慌てで問題への対処に向かうでしょう。こんなものをそのまま出荷してはクレームの嵐、信用がガタ落ちになるのは目に見えているからです。

良品/不良品の選別、不足分の作り直し手配、徹夜で稼働させてでも納期に間に合わせるよう現場に通達、それでも間に合わなかった場合のため客先への根回しと謝罪…これらの作業が流れるように行われることでしょう。

いっぽう、中国人ならどうするでしょうか。

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