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世界初の「be年会」をやってみた 〈『beの肩書き』出版記念ワークショップのスライド公開!〉

こんにちは、勉強家の兼松佳宏です。

いよいよ先週から正式発売となった『beの肩書き』。おかげさまで事前予約分をふくめて500人以上の方にお届けすることができました、感謝!


思い出の場所で出版記念イベント

この本は僕にとっての"心のふるさと"・グリーンズからの出版になります。そこでデザインハブ(ミッドタウン)で絶賛開催中の、ウェブマガジン『greenz.jp』のリアル展示版『企(たくらみ)展』(12/24(月)まで!)に合わせて、12/7(金)夜に出版記念イベントを開催しました。

それこそデザインハブは10年ほど前に、アメリカのメディア『GOOD』のファウンダーたちをお招きした「ソーシャルデザイン・フォーラム」が開催されたり、僕自身も「デザイン×サステナビリティ」をテーマとしたイベントを主催したりと、ずっとお世話になってきた(育てていただいた)場所で、今年の9月にも「空海とソーシャルデザイン」でお借りしたばかり。

そんな思い出の場所で、初の単著の出版記念に多くの方にご参加いただき、さらに懐かしいメンバーや新世代のメンバーに囲まれて、お酒も進んで...。いろいろあった2018年の締めくくりとして、感慨ひとしおな2時間でした。(とはいえまだ3週間あるけれど)


「be年会」って? 

冒頭にgreenz.jp編集長・鈴木菜央から新事業としての「グリーンズ出版」に込めた思いを語っていただき、後半からは、今年の漢字ならぬ今年の「beの肩書き」についてワイワイ呑んで語り合う、忘年会ならぬ「be年会」を開催しました。

以前、be年会のやり方について書いてみたときは、まだ自分で試してみる前だったので、僕としても今回が初の試みとなりました。持ち時間は90分、参加者は50名、さらにお酒も入る。そんな条件のなかでどんなふうにワークショップをデザインしたのか、みなさんと共有できたらと思います。


〈be年会@出版記念イベントのレシピ〉

①チェックイン
②レクチャー
③今年の出来事をリストアップ
④ユーダイモニアな出来事BEST3を決める
⑤今年の「beの肩書き」候補を選ぶ
⑥ストーリーテリング+フィードバック


①チェックイン

ワークは基本3人一組なので、会場に到着した時点で3人組をつくってもらうことに。大学の授業では星座順など工夫しますが、今回は一人でお越しの方も多そうなので「袖振り合うも多生の縁」方式にしました(つまり、何もししない)。料理とお酒があるので、立食ではなくテーブルで。

着席時点で自然と会話も始まっていましたが、遅れてきた方もいるので、まずはトリッキーなことはせず、「お名前/どちらから?/どうしてここに?」でチェックインをします。まだdoな話はしない方向で。


②レクチャー

本の内容をかいつまんで最低限の情報共有。とはいえ、既に内容を知っている方も多そうなのと、ワークの時間をしっかり確保したかったので、通常30分のレクチャー部分を10分で終わらせることを目標にしてみる。

beの肩書きとは? → 例えばこんなbeの肩書き → オープンソースで広がっています → 肩書き=自分なのか?問題 → コメディアンとしてのバス運転手 → 肩書きを与えるのは誰か → 「夢を叶える」とはどういうことか → 肩書きは誰のためのものか → ユーダイモニアとヘドニア → リフレーミング → 「ことばで遊ぶ」くらいの軽い気持ちで

という流れで。うん、何となく手応えがあったような気がする。

レクチャー中に、いったんフードの皿を空けてもらって、スタッフに回収してもらい、いよいよワークショップへ。


③今年の出来事をリストアップ

まずは思い出す作業から。日記やカレンダーを見直して、良いも悪いも含めて印象に残っている出来事を、10分で20こくらい書き出してみます。だいたい一月1〜2個など。「あ、あれのこと忘れてた!」とは気にせずに、いま思い出せる範囲でOK。


④ユーダイモニアな出来事BEST3を決める

思い出した出来事のうち、「自分の可能性が発揮されていたなあ」「もっとこんな時間が増えるといいなあ」というエピソードを3つ選んで、BEST3を決めます。とはいえ、20こから3つに厳選することが大事なのであって一位〜三位までの順位付けそのものはあまりワークには関係ありません。ここはあまり時間をかけず、直感で選んでみてください。


⑤今年の「beの肩書き」候補を選ぶ

『新 13歳のハローワーク』をもととした職業リストから選んでいくことになりますが、少し頭をひねることになるかもしれません。とはいえお酒が入ることのメリットとして、ちょっと心がオープンになって、メタファーでの遊びに取り組みやすくなるような感じもしました。

もし「プレゼンでちょいちょい笑ってもらえた」という経験が自分にとってユーダイモニアだった場合は、あなたは「喜劇俳優のような人」なのかもしれない。そんなふうにピンとくる職業を探していきます。

もちろん僕が実際には「喜劇俳優」として活動していないように、あくまでメタファーなので、その道のプロである必要はありません。直接的にというよりはむしろ、その職業が象徴していそうな本質的な価値の方を大切にしてみてください。

BEST3全部選んでみてもいいですが、ひとつでもOKです。ここもあまり時間をかけすぎず、5分から長くて10分くらいで。ここまでで、個人ワークは終了です。


⑥ストーリーテリング+フィードバック

⑤で選んだ「beの肩書き」候補のひとつを語り合います。3人一組のうち、語り手をひとり、残りの二人は聞き手となって、じっくりメンバーの話に耳を傾けていきます。このときはストーリーテリング7分、フィードバック3分としました。

誰から話し始めるのかはじゃんけんでもいいですが、その順番を決めるときもbeを意識する小さなアイスブレイクとなるように、「いちばん厚着のひと」(来ている服を意識するようになる)、「早起きのひと」(その人の習慣がにじみ出たりする)が一番最初で、そこから時計回りなど工夫をするようにしています。

基本的に持ち時間はすべて語り手のための時間なので、自由に話をしてOK です。聞き手は相槌をうつ、言葉を繰り返すなど傾聴していきます。このあとフィードバックする時間があるので、まだ聞き手の興味本位での質問はしないようにします。

7分のストーリーテリングのあとは3分のフィードバックの時間です。感想や質問など、感じたことを自由に伝えあいます。合計10分経ったら次の人の番となり、合計3セット繰り返します。今回は飲み物を追加で買いたい方やお手洗いに行きたい方のために、ひとりめが終わった時点で5分休憩を入れてみることにしました。

10分という時間はきっと長いような、短いような、という感じだと思います。とはいえ15分×3もそこそこ長いですし、自由にすると話す人と聞く人に分かれてしまいそうな気もするので、それぞれ30分はきちっと進めつつ、それを話題提供として、あとは自由に、というメリハリがあった方がいいのかなと個人的には思っています。


⑥チェックアウト

最後は今日の感想や感謝の言葉を伝えて終わりです。おつかれさまでした!


この日はワークの後に少しだけ質疑応答の時間をとったのですが、どんなやりとりだったのかすっかり忘れてしまいました...

ひとつだけ覚えているのは「doやbeはひとつなのでしょうか?」というもので、それには「もちろん複数あって、さらにひとつひとつも変化していきますよ。ちゃぶ台返し推奨です」みたいな話をしたように思います。

それはまるで曼荼羅のように、多にして一、一にして多の世界。ぜひみなさんも今年の振り返りとして、今年の「beの肩書き」で遊んでいただけると嬉しいです◎


はじめまして、勉強家の兼松佳宏です。現在は京都精華大学人文学部で特任講師をしながら、"ワークショップができる哲学者"を目指して、「beの肩書き」や「スタディホール」といった手法を開発しています。今後ともどうぞ、よろしくおねがいいたします◎