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 エジプトの食材は日本と比較して非常に安い。日本の場合だと、生鮮食品の値段が高く、加工食品・冷凍食品とあまり変わらないが、エジプトの場合、むしろ生鮮食品の方が安く、自炊を続ければ(特に野菜をうまく活用できれば)節約ができるであろう。
 一方、外食もファーストフード店であればどこでも見つけることができ、自炊に比べればやや割高にはなるが、日本より安価に済ませることができる。また、もっとお金を出せば、中華料理・韓国料理といった懐かしい味も食べることができる。また、日本ではあまり食べることが出来ない中東各地の料理もおすすめだ。
 以下、自炊・ファーストフード・中級レストランを中心に食事情を紹介していきたいと思う。


① 食事の予算


自炊
米:銘柄によってキロ8-15ポンド。一番美味しいのは「ドハー」ブランド
野菜:キロ5-10ポンドくらい
鶏肉・牛肉:部位によるが、キロ100ポンドが目安
→夕食は2人分の料理であれば、一食40-50ポンド(一人20-25ポンド)くらいか。

 筆者は日本では実家暮らしであったので、ほとんど料理をしてこなかった。そのため、エジプトでは筆者や同居人の方が食べたい料理、現地の食材で作れる料理を中心に自炊にチャレンジしていた。

 自炊する上で大きなネックになったのが、日本の調味料・食材が無いことであった。ネットで作りたい料理を見るたびに、「これ、エジプトには無いな…」と肩を落とした。幸いなことに、同居人の方が多くの調味料を日本から持ってきていらっしゃったので、それらを使うことである程度の再現ができた。特に、顆粒だしは入れるだけで味にまろやかさが足され、親子丼を作る際などに大変重宝した。
 調味料ばかり持ってくることも難しいと思うので、自分の作りたいもの・好きなものが作るために必要なものを中心に、エジプトに持ってきておいた方が良いであろう。

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ハンバーグ!

外食(複数人で行ったときの一人分)
庶民的な店:10-30ポンド
中級な店:100-200ポンド
高級店:200ポンド以上

 カフェ
路上のカフェ(カフワ・エジプト方言だとアフワ:一杯5-15ポンド)
おしゃれなカフェ;25-40ポンド
スターバックス:50-60ポンド

② 代表的なファーストフード


・コシャリ
 米・パスタ・豆の上に、ガーリクチップをトッピングして、トマトソース・特製のお酢(ダッア)・ラー油のような激辛ソース(シャッダ)をかけて食べるファーストフード。日本のラーメン屋のような感覚。
一杯、テイクアウト小8ポンドから、店内だと14ポンドくらいから
 また、コシャリ屋は甘味屋を兼ねているところが多く、ロッズ・ビ・ラバンやウンム・アリーのようなデザートも食べることができる。
 筆者の行きつけはドッキ駅近くのザムザム。安い・早い・(そこそこ)上手い・店員の対応が良いという理由から、よく通っていた。他にも、トマトソースの美味しさに定評があるトウム・アンド・バサルや、ショブラー・ハイマの駅近くにある有名店、ヘディーウィーを推薦したい。

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ザムザムのコシャリ

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ヘディーウィーのコシャリ

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ウンム・アリー

・ シャワルマ
 日本でいうところのケバブ・サンドウィチ。ちなみにシャワルマはトルコ語で「回る」などの意味があるçevirmeという単語が語源(ただトルコだとドネルdönerという単語を使う)。もともとエジプトのシャワルマは厚切りが主流だったようだが、シリア難民の流入によって、シリア風の薄切りが主流になったようである。実際、シリア人の経営するシャワルマ屋は多い。肉は鳥・牛の二種類、パンは、ホットドッグのようなパンかトルティーヤのような生地(シャーミー、もしくはスーリーと言うそう)がある。一つ20ポンドから。

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ドッキ地区だと「シリアナー」「ターザ」が人気店

・サンドウィッチ
 パン(エジプトで主に食される、全粒粉を使ったエイシュ・バラディーの場合と、シリアで主流の小麦粉のみを使ったエイシュ・シャーミーの場合、さらには普通のロールパンの場合もある)に、様々な具材を挟み込んだもの。代表的な具材は、タアメーヤ(ファラーフェルとも。ソラマメのコロッケ)、ババガンヌーブ(ナスのペースト)、バターティス(ポテトチップス、フライドポテト)など。一つ3ポンドから。
 シャワルマ・サンドウィッチで、どの店に行くか迷ったらGADがおすすめ。エジプト国内でチェーン展開しているファーストフード店で、店舗内で食事をすることも可能。

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③ おすすめのレストラン


これらは全て、カイロ在住者の先達の方々より紹介いただいたレストランである。どのレストランにもぜひ一度行ってみていただきたい。(そして今度筆者がエジプトに行くまで残しておいていただきたい‥)これらは、すべてカイロ市内の中級レストランで、予算は大体1人100-250ポンドほど。

エジプト料理


ケブダ・プリンス(肉料理、予算:100-150ポンド)
 カイロでおそらく最も人気のある肉料理屋。特に木・金などの祝前日、祝日は大混雑するので、整理券が発行されるほど。位置しているインバーバは、ナポレオンがマムルーク軍と戦った場所として有名。ドッキからだと、ウーバーで40ポンドほど(筆者は使ったことはないが、インバーバ行きのコルニーシュ通りのマイクロバスでも近くまで行けると思われる。ただ、あまり治安が良い地域ではないのでウーバー推奨)。
 おすすめはもちろん、店名でもあるケブタ(レバー)のミックス。筆者はあまりレバーが好きではなかったが、ここのケブタは大好きになった。ケブダが苦手な人でも、モロヘイヤ・バーミヤ(オクラのトマト煮込み)などのサイドメニューが充実しているので大丈夫。カワーリウ(牛の足の煮込み)も、コラーゲン100パーセントという感じでおすすめ。
 また、ナイル川を挟んだ対岸に位置する、スブヒー・カービルもカイロの人の間では有名な肉料理店らしい。

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50人待ちの様子。ただ、回転率は良いので意外と早く順番は来る。

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シェフ・サーベル(魚料理)
 カイロ市内の魚料理屋の中で、最もおしゃれでリーズナブルなお店。料理の盛り付けにセンスがあり、アイデア系の料理(エビ入りモロヘイヤなど)があって嬉しい。そしてサービスが非常に良い。

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東アジア料理


マアーディーの中華レストラン(予算:1人200-250ポンド)
 サダトからメトロで20分ほど南のマアディー。ここは日中韓の駐在員・移民が多く住み、彼らを相手にするレストランが多数ある。その中でも、駅から約1km東にある。通りに向かい合うように位置する、二つのレストラン、Duck house思源餃子館は、それぞれカイロ名物(?)北京ダックと火鍋を食べることができる。カイロ長期滞在の舌の疲れを癒すこと間違いなし!北京ダックは、日本で食べるよりも非常に安価(一匹400ポンド)で、とても美味しい。

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 またこの二つのレストランの近くにあるクナーファ屋さんは、とてもおしゃれで、美味しいクナーファを食べることができる。食後の一服に最適だ。

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 またマアーディーには、この2店のほかにも中華・韓国料理レストランが多くある。また、メトロ3号線のアブドゥ・パシャ駅近辺もウイグル・回族の経営する中華料理が多数ある。

・ Kyoto Sushi(寿司)
エジプト人による日本風の寿司屋。カリフォルニアロール系のなんちゃって寿司もあるが、普通の寿司も割とまとも。醤油もキッコーマンのものを使っている。店舗の内装もおしゃれ。

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・ハナ(Hana・韓国料理、予算:150-200ポンド)
 北ザマーレクの韓国料理。ザマーレクというカイロの高級住宅地に位置していながら、価格はリーズナブル。日本語のメニューもあり、日本の料理(うどんなど)も少しある。前菜に出てくる、漬物・キムチは尊い。韓国料理の上に神の平安があらんことを。


アラブ料理


・アブー・ユースフ(シリア料理)
 モハンディスィーンにある、カイロでも有名なシリア料理店。ファーストフード的なシリアの肉料理が中心。ただ、他の店ではあまり見かけないクッベ・マシュウィーが食せる。二階建てで、一階にはシリアのスイーツがたくさん置いてある。お土産にもおすすめ。食後の別腹、アイスクリームもある。

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・ バイト・ワルド(レバノン料理)
 モハンディスィーンにあるカフェ利用もできるおしゃれなレバノン料理屋。他の中級シリア・レバノン料理店とは違う点として、クッベ・ナイエ、ハラブ・ナイエを食せることがある。クッベ・ナイエは、新鮮な子羊のユッケに薬味を付け足して食す、レバノン料理で有名な前菜。肉の生食体験は、なかなか出来ないのでおすすめ。実際に美味であった。また、その他の料理も概して標準以上の味で、サービスもいい。

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 なお上記二店舗から徒歩10分ほどのところにスターバックスがある。いつも混雑しているが、食後のお茶に最適。

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・ ドッキのイエメン料理屋
 現在ドッキ地区には、イエメンの内戦を逃れてきたイエメン人が多数居住しており、特にタハリール通りの北側は、彼らの経営するイエメン料理屋が多数存在する。南側にも前述の語学学校ヌーンの近くにあるレストランは結構流行っている。マンディー(イエメン風ピラフ)、サラタ、ブルマなどなど日本では食べられない味をご賞味あれ。

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・ スーダーン料理
 エジプトには多くのスーダーン人が学業や出稼ぎのために住んでいる。アタバ地区にも多くの店があるようだが、ドッキ地区にも一店舗存在する。裏路地なので非常に見つけづらいが、地元の人に聞くと場所を教えてもらえる。花があるというわけではないが、素朴で美味しい料理を食べることができる。食後には、スーダーン流に生姜入りのコーヒーはいかが?

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 このサイトには、上記以外のカイロの中東料理店が紹介されているので、こちらも参照してみて欲しい。

その他


・アフワ
 店名はエジプト方言で「カフェ」の意味と、とてもシンプルな名前。筆者の家の近くにあり、大変重宝した思い出の店。飲み物だけでなく、パスタ・ハンバーガーといった食事も出す。スムージーが美味しい。wifiが使えるので、勉強場所として使っても良いだろう。

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・アブー・アムル
 ドッキ地区で最も大きなジューススタンドの1つ。店内に座席もある。フルーツ盛り合わせやデザートも美味しい。

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番外編・エジプトの家庭料理

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ほぼ全てのエジプトの家庭料理が並ぶ様子。ホームパーティーにて。

 エジプトの家庭料理を食べることができるお店はあまり無い。そもそも外食に行く頻度が高くは無い中で、普段家で作れるものを外で食べるということが少ないのであろう。一応、フィルフィラといった外国人向けのレストランで食べることもできるが、エジプト人の友人を作り、ご馳走になるのが、美味しいエジプト料理への近道であろう。

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エジプトの研究者の方の家に行った際の料理。写真中央部左手の容器は、西部砂漠地域風のバターを使って炊いたお米。

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