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今日の花

はじめまして、すたじおぽっちです。
兵庫県明石市にある生活介護事業所。
様々な障害を抱えるメンバーが通う通所施設です。
主な活動は”表現活動”。

2014年4月に設立、今年で10年目。
当初はスタッフ3名・メンバー15名。
今はスタッフ11名・メンバー40名(1日の定員は15名)。
特にこの5年はコロナにスタッフの入れ替わり…
ちゃぶ台ひっくり返すくらいの勢いで目まぐるしく変化。
10年前を知っているスタッフはとうとう私だけ…。

すったもんだに七転八倒しながら
「すたじおぽっちってどんなところ?」を
スタッフで共有する必要をひしひしと感じ、
コンセプトを整えていきました。

初めての投稿は、コンセプトの軸になった物語をご紹介します。

物語:Iさんの今日の花

Iさんは、おしゃべりが好き・食べることが好き・音楽が好き・運動も絵を描くことも好き…一見すると”普通”の女性。
ぽっちでは小さなお花の絵をコツコツ描いていました。

四つ切サイズのお花の絵。
いつもなら1カ月くらいで完成するところ、
2020年7月から描き始めて、2021年5月に完成しました。
1年近くかかったのです。それはなぜか…

ある日突然、表情がなくなり言葉がなくなり、
ご飯も受けつけなくなっていきました。
原因は何だったのか、色々考えられはしましたが、とにかく絵も描けなくなっていったのです。
それでも、ぽっちには通ってきてくれました。

そんな彼女に私たちができることとは何か?

お花を飾ってみたり、散歩に出かけてみたり、
みんなで野菜を育ててみたり…

反応があったりなかったりしながらも
少しずつ”きざし”が見え始めてきました。

水やりを率先してがんばりました。
自分の手で収穫しました。

にじみ絵にチャレンジしてみました。

ぽっちの空気に包まれて
少しずつ少しずつ自分を取り戻していったIさん。

絵もまた描けるようになって完成したお花の絵。

1年を通して荒波やさざ波のあるIさん。
その影と光がこの1枚の絵に。
咲いているときだけが花じゃない。
きっとまた波は巡ってくるでしょう。
それでも、その日、その日の花を大切に、
寄りそっていきたいと思います。

すたじおぽっちコンセプト『今日の花』

「花」には “変化する” という意味がある。
種、芽、葉と育ち、やがて花ひらく。
実になるものもあれば、枯れて種となるものもある。
変化しつづけ、同じ姿形の日はない。
どれも「花」。咲いているときだけが花じゃない。

人も同じ。
楽しい日もあれば、しんどい日もある。
それでも今日のわたし、今日の花。

笑う人、怒る人、話す人、ただそこに居る人。
絵を描く、字を書く、紙をちぎる、音を出す…。
いろんな今日の花。

ここが、安心して根をはれる場でありたいと思います。
ひとりひとりの花の香りや種が風にのって
あなたにも届くようにと願っています。

ビジョン(めざす未来)
『自由に自分を表現できる社会』

ありのままの自分を表現できるってとても幸せなこと。
でも、"普通"に合わせることを求められたり、周りと違うことに臆病になったり。
誰かの自由は誰かの不自由になることも…
難しいことは多々ありますが、色々なあり方に寄り添い広めていきたいと思います。

使命(ぽっちのお役目)
『 be you (あなたのままで)』安心して表現できる場づくり

この人と一緒に居たい。
ぽっちに行きたい。
まずはそう思ってもらえる関係を大事にしていきます。

『 present (届ける・現す)』
 視点や世界をひろげる

そうして生まれる表現には不思議な力が宿ります。
面白い・楽しい・心地よい・癒される…
作品や商品、表現を使った場を通して
様々な方と共感・共鳴していけたらと思います。

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10年たってまた新たな気持ちで。

どうぞよろしくお願いします。



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