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【サッカー】訳も分からず『ALL OR NOTHING』

いまだに、右も左もわからない。

これだけは最初に申し上げておきたいのだが、私はサッカーファンではない。

出来れば正規の(?)サッカーファン・サッカー経験者の方には以下の文章を読んでいただきたくはない。サッカーの素晴らしさを否定する意図ではなく、ひとえに私がポンコツであるがゆえに。

今回はサッカーコンテンツについてのnoteであり、私はけっこうな時間をかけてサッカー漫画(安田剛士先生の『DAYS』が至高で、あとは『アオアシ』『ブルーロック』など)を読んでいるのだが、いまだにゴールポストにボールが入ったらよい、という以上のルールはわからない。

そんな状態で『ALL OR NOTHING』を観始めたのは、5~6年ほど前だろうか。

異世界・欧州サッカー

そのときは、ただ全く感情移入しないようなものを観たかった。
何がしかの作品・コンテンツに感動するには「心を動かす」というファクターが大きくなり、視聴者に感情移入させるように作られるものが多いと思う。ドラマ、アニメ、漫画、日々のニュースやバラエティ番組でさえも。
例えば私も、登場キャラクターや世界観があまりにもドライで、感情移入させてくれない作品などは、なかなか内容が頭に入ってこない。

けれども、感情移入はけっこうエネルギーの必要な心的作用だ。
当時の私には根本的にエネルギーが足りず、自分と誰かを比較することがおそろしく、そんな自分をどうにかしたいがどうにもならない、というような幼稚で怠惰で傲慢な困った心もちであった。

ニュース番組を観ていると大衆の心理を煽動しようとする大きな力を感じて気分が悪くなったし、導かれる方向へ行列に沿って歩いていくだけの民草である自分を情けなく思った。
かといって、映画・アニメ・ドラマ等の紆余曲折の末、強制的にハッピーエンドにもっていく「幸せへの誘導」圧力にもついていけない。

そんななかプレミアリーグ好きの友人が「Amazon で観られる『オール・オア・ナッシング』けっこう面白いよ。」と教えてくれたのだ。
友人は熱心に語ってくれているというのに、聞けば聞くほど興味をそそられない。一度も行ったことのないヨーロッパという地域。やったことのないサッカーというスポーツ。触れたこともない億単位のお金が動く世界。

これはいい。
全く感情移入できなそうだ。


バケモノたちの棲み処

Amazonスタジオ制作のスポーツドキュメンタリーシリーズ『ALL OR NOTHING』では、各チームへの潜入取材を通して、チームの運営、練習、試合の様子を観ることができる。
NFL、ラグビー、アイスホッケーとジャンルはいくつかあるが、欧州サッカークラブチームものは以下のとおりすべて観ている。
しかも何度も繰り返し。
・マンチェスター・シティの進化(2018年)
・トッテナム・ホットスパーの再興(2020年)
・ユヴェントスの変革(2021年)
・アーセナルの再起(2022年)

各シリーズの合間に同じくサッカードキュメンタリーである映画『KLOOS』『FCバイエルン・ミュンヘン~栄光の舞台裏~』も観た。
選手やスタッフの様子も垣間見られるが、主軸となるのは1年を通しての監督の姿だ。
支配者・権力者のようでいて「チームを勝たせる」ためだけに雇われた孤高の名将たちは、勝てば神だ救世主だともてはやされ、負ければ全責任を追求されて放擲される。

天才の名をほしいままにするペップ・グアルディオラ、一時代を築いたもののキャリアに翳りをみせるジョゼ・モウリーニョ、チーム再生の重責を背負うリーグ最年少監督ミケル・アルテタ。


ポンコツサッカー考

考察しようにもサッカーのルールも、前後関係も、プレミアリーグやセリエA、ブンデスリーガのシステムもよくわからないので、とんちんかんな感想ばかり抱いている。
クラブチームの食堂が高級ホテル並みで凄い、とかモウリーニョ頑固爺ぽいけどヨークシャーテリア飼ってたのか、とかペップは確かに緻密だけど一緒に働く人は嫌じゃないかな、とか。
監督以外についても、レヴァンドフスキ何してもかっこいいな、ソン・フンミンはあんなに人が好さそうなのに攻撃的ミッドフィルダーとかいういかついポジションで合ってるのか、イタリアの人ってみんなこんなに陽気なの、クラブの会長や現地サポーターというものは勝つか負けるかで「俺の手は両A面だぜ」くらいの手のひら返し見せてんな、と全然考えが深まらない。

自分の想像も及ばないような世界の出来事を観ていると、自然とのんきになるし、こびりついていた窮屈さが剥がれ落ちていくということに気づく。

サッカーを知っている人が観たら、もっと色んなことがわかるし深く考察できるのだろう。
でも、私はこのくらいの距離感でいい。
のんきで間抜けな視聴者でいたい。


オフサイドも知らないまま。

上記のようにサッカードキュメンタリーの視聴に相当時間を費やしたので、そろそろワールドカップや五輪の試合も前より楽しめるのでは、と何度か試みてみたのだが、やっぱり何が起きているのか皆目わからない。
オフサイドについても「せっかくゴールが決まったのに、敵方のディフェンスラインのどうのこうので無効になるやつ」ぐらいの認識なのだ。
自分の学習能力の低さに戦慄する。

結局私はルールや戦略・戦術はそっちのけ、人間模様や周辺環境ばかりを楽しんでいたわけだ。
ちなみにお気に入りはジョゼ・モウリーニョ監督時代のわりと不景気なトッテナム・ホットスパー。
選手層も厚いのにどんどん怪我で抜けていくし、コロナショックでリーグ中断するし、と過酷な状況のなか、むっつり顔で過ごすジョゼから目が離せない。


サッカー市場は広大で強大であるからして、そのすみっこに私のようなポンコツファンがいても許されるかも。
どうでしょうか。


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