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ここでの記憶は、全て忘れてください【理想の仮想空間#4】

こんにちは、Studio Topitaです!
私たちは理想郷を本気で「想像」「創造」するサークルと称し、毎月テーマを決めて語り合い、議事録をアップロードしています。
ぱっと聞いただけでは「?」かもしれませんので、どうぞ是非、自己紹介をご一読いただきたいです。
(常連さんは、いつもありがとうございます!)

Studio Topia 5月
第3、4回「ここ メタバースでの記憶は、全て忘れてください」

みなさんこんにちは、Studio Topiaです。
いよいよ梅雨が本格化する時期ですね。
いかがお過ごしでしょうか。

雨もたまには良いですが、あまり続くと鬱々した気持ちになるもの。別世界に行ってしまいたいなあと思うこともあります。
そんなとき、手軽に別世界に行けるとしたら…?

5月は、仮想空間、メタバースについて考えていました。
今回はみっちり「メタバース」について考えた回をまとめ、「人間の調和する場所」「新たなフロンティア」などといったアイデアを出して、それが実現したらどうなるのか、あれこれ想像してみました。どこかSFチックな香りもしますが、実現するとしたら考えがいがありますし、これまでのテクノロジーの変遷を考えれば、案外実現してしまいそうなところでもあります。そこで求められるルール、法律についても考えながら、まとめていきました。

以下、議事録です。

議事録

メタバースの中で生じる責任
現在、メタバースというとどこか楽しいイメージや、可能性が広がるイメージがあります。しかし、先週までSNSを考察してきてわかったことでもありますが、さまざまなプラットフォームは、初めは希望的に語られていたとしても、徐々にその中で問題が生じたり、ユーザーの責任が追求されてくるところがあります。
それでは、メタバースの中で生じうる責任とはどのようなものなのでしょうか。
今回指摘されたのは、文字通りの「身の振り方」というポイントでした。
仮想空間では、自分で自分のアバターを作れる、というイメージが強くあります。見た目や服装、あるいは行動の一つ一つを、現実世界よりも意志をもって作り込めるため、責任の度合いも強くなるのでは、という意見でした。
また、責任が生じる中で、それを明文化し、従うことを求めるルールや法律も徐々に必要になってくると予想されます。

理想の世界≠面白い世界?
さて、前項でもお伝えしましたが、メタバース、仮想空間は今、さまざまに期待されていると思います。経済やゲームの面もそうですが、例えば、人種にとらわれないことで人の内面を見つめることができるようになる、や、決まった国がないことで世界平和を実現できる、などと言われることもあります。聞いてみると理想的な感じがすることにははするのですが、よくよく考えてみると微妙だったり、わざわざその世界に飛び込む気が起きなかったりするという話になりました。
例えば、「全員平等」ということになると、仮想空間に、真っ白なアバターがずらっと並んで、個体識別番号が振られており、それ以外の事前情報はなし、という風に実現できそうです。話をする分には面白いのですが、いざ自分が体験するとなると、どうも面白くはなさそうです。
では、「面白い」と「面白くない」仮想空間の境界はどこにあるのか。
そんなことも考えながら、会の中で出てきた、こんなメタバースはどうか、という案を、いくつかご紹介します。

「世界市民型」メタバース
現代社会では、SNSや、現実世界でも、「自分の好きな人、合う人と集まる」ことが注目され、また大事にされているように思います。自分で自分の居場所を作れることは非常に好ましいですが、一方で、閉鎖的になってしまうという危険も孕んでいます。そこで、メタバースの世界では、それとは逆行、あるいはその先へ行って、みんなが集まる場所を作ってはどうか、という意見が出ました。果たして何を目的とするのかは謎ですが、「親密になることを目指さないコミュニケーションの場」として、全く新しいフィールドを作るという案です。おそらく世界中の人が集まって「世界平和」を実現するために活用される、という意見も出ましたが、先ほどの話の通り、平和とは「望ましい状態」なだけで、それ自体がそのまま「ゴール」とはなりにくい可能性もあります(平和とは何を指すのか、ということでもあります)。その際、人は世界に何を望むのでしょうか。今回はあまり考えませんでしたが、考えがいのありそうな部分です。
ちなみに、メタバース内で戦争は許されるでしょうか。人が死ぬことはありませんし、ゲームを想像すれば、普通に許せそうです。しかし、現実世界とリンクするとなると、話は別かもしれません。皆さんはどのように考えますか?

「フロンティア型」メタバース
会の中で、「メタバースって、意味わからないという点で宇宙みたい」という意見が出ました。そこから話が進んで、普段なら決して体験することのできない、「未知」をつくり出してみるのはどうか、という案が出ました。これまで、本会の文脈では仮想空間上の「人」に焦点が当てられ、どのように生きていくか・生きていけるか・生きていくべきかを考えてきましたが、その性質に目を向けたのが面白い案です。
「未知」を作り出す、とは、例えば「AIが支配する世界を作ってしまう」というようなイメージです。ユートピアか、ディストピアか、と意見の分かれるところではありますが、だからこそ、それを思い切って作ってしまったら面白い、という話になりました。尽きることのない人間のフロンティア精神・好奇心が次に向かう場所として、さまざまな「仮想」空間を作り出していくことが可能であり、面白い、ということです。なお、ここでのルールは「郷に行っては郷に従え」ではないかという意見が出ました。とある形で完成された世界を見ると、文句をつけたくなったり、手直しを加えたりしたくなりますが、一つの世界として作り込まれた仮想空間にそれはご法度です。
さらには、仮想世界が増えるにつれ、現実を生きる責任が今よりも重くなるのではないか、という指摘もされました。仮想空間とはいえ、フロンティアはフロンティア、新境地がどんどんと生まれてくるわけです。そうすると、現実の価値が相対的に下がり、意識的にならなければ、現実が蔑ろにされてしまう可能性があります。「仮想空間は面白い・楽しい・有用だが、それでも現実を大事にしよう」と決めておかないと、気づいた時には取り返しのつかない大変なことになっている可能性があります。真剣に向き合うか、かろみを交えながら向き合うか、姿勢に種類はありそうですが、いずれにしても、現実世界を放っておいてはいけません。

「記憶消去型」メタバース
仮想世界の世界観を守る、という点や、現実との境界線をはっきりさせるという点から、「メタバースを去る際に記憶を消される」仕組みが必要だというアイデアが出されました。例えば、現実世界ではダメなこともやってOK、という仮想世界ができてしまったら、その世界と現実の境界をはっきりさせないと、大変なことが起こりそうです。仮想世界内での行為を現実で糾弾されることも嫌ですし、自分の中でその境界が曖昧になり、どちらで起こした行為かがわからなくなるのもかなり恐ろしい状況と想像できます。
さらには自分の人生が、一生分(?)増えるようであり、場合によっては「メタバースの時間は現実の時間の10倍」など、時間の概念を「いじれる」可能性もあります。そうなった時、新たな倫理的問題も生まれてきそうです。人類は時間さえも超え、半永久の命を手にする…のでしょうか。

まとめ:メタバースに求められる「法律」とは
さて、ここまで、いくつか案をあげながら、仮想空間とそのルール、法律について考えてみました。
どの仮想空間でも、おそらく責任を持つことが強く求められるのが理想と言えそうです。自分自身を作り込み、動かす、という感覚が、現実以上に強くなるためですね。
また、他の世界に行っても尚、自分達が「リアルに」暮らしている現実世界を忘れない責任も存在しそうです。さまざまなことが可能になり、現実を超える部分もあるからこそ、仮想世界と現実世界を切り離すことが求められるのですね。
当たり前に聞こえる部分もありますが、「仮想空間のことを、現実世界には持ち込まない」ということが、メタバースと現実世界を繋ぐ、とても重要なルール、法律となるのではないでしょうか。このルールの先に、仮想空間のにおける、突拍子もないルールや法律が多数作られていくでしょう。

編集後記

ここまで読んでいただき、ありがとうございます。

今回考えた、「仮想空間のことは現実世界に持ち込むな」というルール。
当初は「バーチャルシティガイドライン」を発端に「ルール」を考えようとしていたので、そこからは少しずれた「ルール」な気もしますが、どちらかというと仮想空間の前提・本質に立ち返っての答えとなったような気がします。

また、行動の責任や自己決定権、現実世界への影響なども考慮に入れながら、以前よりもリアルに仮想空間を想像できるようになったのも面白かったです。

SFの世界が現実になる、前夜のような時代ですが、どんな結末を描くかは自分たち次第です。
技術がもたらす未来や、そのままやってくる結末を受け入れるだけではつまらないですから、あれこれ想像して、実践して、こちらから答えに飛び込んでいきたいものだと改めて思うきっかけになりました。(奈都)

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Studio Topia 5月テーマ「理想の仮想空間」
第3、4回「ここ メタバースでの記憶は、全て忘れてください」
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