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第3話 慌ただしいリハーサル

一行は楽屋へ荷物を置くと、足早に真野先生のいる大ホールへと向かった。

「おう、全員無事に到着したな。みんなKOBのことを待ってたんだぞ。」

真野先生は手招きしながらこう言った。

「それは申し訳ありませんでした。電車の乗り継ぎで迷ってしまって・・・」

リーダーのケンチャンがメンバーを代表して言った。

「まあ初めてのことだから仕方ないな。ほら、話をしている場合じゃないぞ。 立ち位置を確認するからステージに並べ!」

真野先生は、慌ただしくステージの上を走り回っていた。

主催者は忙しい。

KOBが立ち位置を確認している間、その様子をひろみ先生が舞台袖から眺めていた。

「あそこの赤い×印を越えると、顔がお化けになるんですって。」

不意に後ろから声が聞こえた。

「あら、ヒロミちゃん久しぶり。」

ヒロミちゃんとは芸能エンタープライズ真野に所属する歌手の真野敬望(ヒロミ)さんのことで、今日の出演歌手の一人であった。

「女性なら、キレイな姿で舞台に出たいわよね。」

ヒロミちゃんはステージの照明を見上げながら言った。

「そうね。それにしても素敵なホールね・・・」

ひろみ先生は、KOBの後ろにあるショーセットを見つめていた。

「本当にね。こんな立派なホールで歌えるなんて、今日は楽しみだわ。」

2人が話をしていると、立ち位置の確認を終えたKOBがやって来た。

「ひろみ先生、私たちはこれから楽屋に戻って販売用のCDを準備したいと思います。」

ケンチャンはそう言うと、他のメンバーと共に楽屋へと向かった。

「それじゃ、私も失礼するわ。 お互い頑張りましょう!」

ひろみ先生はKOBの後を追った。

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