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Kの向くままにおススメ映画『テオレマ』ネタバレあらすじ感想日記

こんにちは。プロレタリアのKです。今回は『テオレマ』。一言で表すと「神展開な変態映画」です。



こんな人におススメ  

変態映画が好きな人
社会体制を考察する経済学者、思想家、革命家の人


要注意点まとめ  

▲アクション性はありません
▲難解です。が、神とか社会体制とかに興味がない人はただの変態映画として観れば良いですよ!


こんな映画です  

本当の意味で《神》展開!
ある青年が突然ブルジョワ一家を訪れて、何故か共同生活が始まります。深夜アニメのような設定ですね。

一家は彼の魅力により人間の本質的な幸せに目覚めますが、程なくして彼は去ってしまいます。この青年は役名がなく誰なのか不明ですが、《神》と解釈するのが一般的なようです。

青年により一家全員 物欲や名誉などから解放されますが、彼が去った後、一家は生きる意味を見失い、家庭は崩壊します。


もう少し詳しく  

青年が去った後、何故、家庭が崩壊するのか?
何故なら彼らはブルジョワジー(資産家階級)ですから、富や名誉から解放されると何も残らないのです。
一方、家にはプロレタリア(労働者=ブルジョワの対義語)のメイドが居ました。彼女も同様に俗世から解放されますが、ブルジョワ一家とは違って家を出て聖女となります。彼らのように抜け殻にはならないのです。
何が言いたいのかというと、プロレタリアート(労働者階級)はブルジョワジー(資産家階級)と比べると物欲などに毒されておらず真理(テオレマ)に近い、という事でしょうか??

青年は、人間を幸せの本質に目覚めさせることによって浄化してるんですよ、多分。人間を真理(テオレマ)に近づける。青年(神)がそういう活動をするお話、と解釈しました。幸せの本質とは物質や保有資産の多寡などではないのです!


観た後はこんな気分になりました  

Kも物質にはあまり興味がなく、精神的な事や芸術に意識が向いているのでこのお話の顛末には納得できました。逆に、物質や資本を重要視する人には胡散臭く感じるかもしれません。が、勿論どちらが良いとか悪いとか言う訳ではなくて、保有資産の多寡が幸せの基準だという考え方もKは否定しません。ただし、この映画はそれを否定しています。

初観はブルジョワ批判の映画かな、と思いましたが、深読みすると、資本主義や共産主義、プロレタリアートまで批判しているように感じました。革命によってプロレタリアートが勝ち得る物こそ労働からの解放と富であり、そうなるともう彼らはプロレタリアートではありませんからね。革命の矛盾は共産主義の矛盾でもあります。
そして、何も所有せず執着もしない謎の青年は資本主義の対極です。となると、監督は何を賛美してどういった社会体制を望んでいたのか、、神ならまだしも人間は生活していかなければなりませんから…。

…そんな風に社会の在り方を考えるきっかけにしても良いし、ただの変態映画として観るのも良いと思います。
ところで、散々《変態》というワードを使ってますが、これは《エロ》要素ではなく「人間の常識が通用しない異常な映画」という意味合いです。


心に残ったセリフ  

パオロ :「秩序や所有の観念は全て破壊された。それはブルジョワの死だ。」

ルチア :「ブルジョワの妻としての価値なんて偽り。こんなに虚しい人生を送ってきたなんて。人の来ない庭のように渇き切ってる。」

オデッタ :「もう生きていく気もしない!」

ピエトロ :「僕はこれからどうすればいいの?」

家庭崩壊…。一見、不条理サスペンスなのだが、、よくよく観ると皮肉や風刺などネタ満載。流石、巨匠だ。


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