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「ろう教育」とは、どういうことか?

「ろう教育」

Deaf education 或いは、Education for the deaf
ろうの、子供たちへの教育のことです。
しかし、ここでは、「聴覚障害者」とします。

世の中、思考、考え方、性格などが異なる千差万別の人間がいます。
聴覚障害者も、聞こえのレベルが軽度だったり中度だったり高度だったり、そして二重以上のハンディを持っている人もいます。
聞こえのレベルはもとより、育った環境、家庭や学校での考え方なども加わって「手話」を使う頻度も変わってくるように思います。

また、「ろう教育」については、色々な議論が各地で行われています。

ろう学校における「ろう教育」について、一般の小、中学校の特殊支援クラス(あるいは難聴クラス)でも同じことが言えると思います。

見逃されやすい教師の採用についても、みんなで考えていく必要があります。
各地で、この件について議論がなされていますが、日本全国で統一していく必要があるのでは?と思います。

ろう学校の教員たちが集まって会議などを行っているかどうかはわからないのですが、おそらくあると思います。

さて、ろう学校及び特殊支援クラスの教員について、多くの方が誤解されてるのが、以下のケースの場合です。

教員採用試験について、

都道府県によって差異はありますが、(特別支援学校勤務においては)下の免許は必須ではありません。

◆特別支援学校教諭免許
(聴覚障害者だけではなく視覚肢体障害者などの特別支援教育の分野)
◆旧聾学校教諭免許

特別支援教育諸免許を持つ人を別枠で取らず、小中高の基礎免許を基に一括採用する都道府県がほとんどという現状です。

本来ならばこの特別支援学校教諭免許、旧聾学校教諭免許を所持しておられる教師がろう学校に採用したほうが「ろう教育」としても最適であるわけです。
しかし、この小中高の基礎免許を基に一括採用する制度があるために、どうしても専門的な知識を持っていない先生が採用、転勤で来られるわけです。

ですので、ここが一番のポイントだと思ってください。

「ろう学校」の教員、通っている子供たちは、

みんな手話が出来て手話だけで話している、こういう概念を持っている方も多いかと思います。
しかし、手話を使わない学校も中には、あります。

先生方の中には、「ろう教育」「手話」とは全く無縁のところから来られる方も多いので先生方々も「ろう学校」でどうしたらよいのか、何をしたらよいのかで戸惑い、悩む方も多いだろうと思います。

ここで、本来ならば先生方の「手話」が、コミュニケーションのズレが全くないレベルが理想的ですが、先生方も初心者だったり、大学などである程度は出来るというレベルが多いかと思います。

長らくろう学校に勤務されておられる先生も中にはおられるもようですが、いつかは、先生も定年を迎えられます。
そうすると、後継ぎといったような感じの先生方がなかなか出てこなくなります。

こういったことが、「ろう教育」においては一番大事な土台だと私は思います。

ところで、下にリンクを貼っていますが、そちらを見て頂くと分るのですが、聴覚障害者を指導するための専門的な学部が非常に少ない事もわかります。

文部科学省のHPで特別支援学校教諭の免許資格を取得することのできる大学の一覧

そして、小中高の基礎免許を所持する教員が、教員在職年数と単位修得により特別支援学校教諭免許状を取得する場合もあります。

このように、「ろう教育」における必要な専門知識を持った教員を育成する環境なども重要だと思います。

でも、先生方の中には「ろう教育」を、真剣に考えてどのようにして、子供たちと向き合っていくのか?子供たちに必要なことは何か?を考えておられる方もいっぱいおられます。

私は「口話史上主義」のろう学校にいたのですが、時々「手話史上主義」だったらどうなっていたのだろう?と考える時があります。

ろうの子供たちが「ことば」を取得するためには

「手話」は必要だと思っています。
発音の訓練や、聞き取りなどの訓練、文章力なども、もちろん大事ですが、それにかける時間を使うなら、やはり「手話」で「ことば」を知って、どんどん「語彙力」を増やした方がいいと思うのです。

手話がないと、やはり音の区別が出来ないので、例えば下の似た発音の単語を話した時に、どれを言ったのかわからなくて混乱したりします。
「まだ」「また」「一時」「七時」

こういったことから、授業を手話で行うことは、大事なポイントが一つ一つ伝わり、些細なすれ違いが出なくなると思いますし、「手話」を基本として、「口話」を学ぶというスタンスがあってもいいと思います。

以前、TVでアフリカの貧しいろうの少年を

取り上げていた番組を海外で見たことがあったのですが、「ろう教育」がいかに大事かを、考えさせられる内容でした。
この番組のタイトルを、覚えていないのでソースを載せることができないのですが、覚えていることを紹介します。

少年は、確か13-15歳ぐらいで、家族ともうまくコミュニケーションが取れず、家族もまた身近なところにろう者がいなかったために、彼にどう「ことば」を教えていいのかもわからず、お互いに沈黙した状態でした。
ある日、都会から地方にどれだけ「聴覚障碍者」がいるか?を調査するために、「手話」ができる、ろう学校の先生と、調査員が巡回してきて、そのことを聞いた父親は、彼を連れて行きます。
すると、父親と少年は「手話」と「ろう学校」があることを知ります。
少年は、ろう学校の先生に初めて「ことば」があるということ、こうすれば、家族とコミュニケーションが取れることを学びます。
今まで、あー、うー、としか発しなかった少年が、ろう学校で同級生たちと一緒に手話で色々と学んで、「ろう学校にもっと早く行っていたら、僕、手話で家族と話ができたよね」みたいなことを言っていたのがとても印象に残っています。

「ろう教育」は、いつの世であっても子供たちのために、子供たちのニーズに沿って進化していってほしいと願っています。


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