【経理】問題が起きたときも、平穏無事なときも。
こんにちは、きくちきよみと申します。
税理士です。
今日は「経理はトラブルが起きたときに重視されやすく、平穏無事なときには軽視されやすいかも」ということについて書きます。
問題が起きようが起きまいが、重視されるべき存在。
最初に自分の思うことを書きますが、「経理は、企業の有事のときにも、企業が平穏無事なときにも重視されるべき」と考えています。
この数か月の間に、お客様企業の経理担当者が退職・休職されることが続きました。自分が何かできたかもという驕りこそ感じませんが、何かできたらよかったのに、という無念は残ります。
経理不正のような大問題が起きたときに初めて「経理って大事だよね」と言われる一方、何も問題が表面化していないときには「経理って無駄だよね」「経理って1円の収益も生み出さない部門のことだよね」「それなのに、ただただ細かい部門だよね」と言われやすい部門でしょう。
ただそれでも、中小企業の経理さんが退職するときには、経営者ご自身が「全くもって無駄ではない」ということに気づき、「経理はとても大事な仕事だ」ということを実感するものと思います。
🍁🍁🍁
経理は「誰にでもできる仕事」?
中小企業の経理さんが退職・休職するときに、必ずおっしゃることがあります。近年は退職・休職される方がほとんどいらっしゃらなかったので聞くことがなかったのですが、この数か月の間に、立て続けに聞くことになってしまいました。
それは、「自分の仕事は『誰にでもできる仕事』なので、自分が退職しても大丈夫」ということです。
確かに、例えば「振込はウェブバンクで簡単にできる」状況です。取引先・仕入先とコミュニケーションをとれれば、毎月問題なく業務を進めることができるでしょう。書類のテキスト内容を正しく読み取り、疑問に思うことがあれば直接口頭でヒアリングし、人の話を丁寧に聞いたりする技術があれば、間違えることがありません。経営者が知りたいことを常に先回りして準備して連絡し、やるべきことが増えたとしても、うまく調整し、業務時間内に仕事を終えることができます。
いやいや、つまり、経理は誰でもできる仕事ではないということです。
それでも、それぞれの経理さんは、「自分の仕事は『誰にでもできる仕事』だ」と信じて疑いません。それは決して、ご自身の仕事を過小評価しているということではなく、卑下しているのでもなく、普通のこととしておっしゃっています。そしてそれは、ご自身には今まで簡単にできていたことで、誰にも評価されることがなかったからだと思います。
🍁🍁🍁
「平穏無事のときの経理」は、評価されにくい。
「平穏無事のときの経理部」は、評価されにくいです。その価値を認識されにくいですし、むしろ、社内の他部署からも経営者からも「経理部の人件費を削減すればいいのに」と思われてしまうことすらあります。
自分は人材系の専門家ではなく、ただの税理士ですが、退職・休職される経理さんのお話を伺うと「本当にそれは本心なのかな?」と疑問に思うことがあります。
中小企業の経理さんが退職・休職されるとき、「給料の金額の話ではない」「他人の評価は関係なく、別の仕事をしたい」とおっしゃる方がほとんどです。
あまりにも多すぎるので、逆に「それは本当は給料の金額の話だったのではないか」「社内で評価され、今の仕事にやりがいを感じられれば、辞める必要はなかったのかも」と訝しく思ってしまうほどです。
退職・休職されるご本人の本心はわかりかねますし、実は、ご本人も本当の本心はわかっていないのかもしれません。ただ、退職・休職を受け入れる経営者の方は、いつも「自分は○○さんの気持ちを理解できていなかった」「もっとちゃんと向き合うべきだった」と後になって本当に後悔・反省されているケースが非常に多いです。
表面的にはすぐに新規採用のための採用活動を始めたりしますが、何年も後になって「実は3年前に退職した○○さんのことで後悔している」というお話を伺うこともあります。顧問税理士としては「こんな事態になる前に、経営者の方の理解を促すべきだったな」と思わざるを得ません。
🍁🍁🍁
経理部に適正な評価を。
もちろん「パフォーマンスが悪くても経理部の評価を上げて欲しい」ということではありませんが、「適切な評価」をする努力は必要だと思います。一方で、「経理部のような管理部人材をどのように評価するか」というのは難しい問題だと思うので、その整理は必要でしょう。
経理部の評価について、もう少し考えてみてはいかがでしょうか。
最後までお読み頂きまして、ありがとうございました。
この投稿に対するご意見・ご感想などありましたら、コメントを頂けますと幸いです。