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【雑談】経理で、侃侃諤諤(かんかんがくがく)の議論が必要なとき。

こんにちは、きくちきよみと申します。
税理士です。

先日、お客様と打合せをした際、弊社の公認会計士・税理士が「侃侃諤諤かんかんがくがくの議論があった方が結果的に会社のためになることが多い」とお客様に説明していました。

自分も共感したことでしたので、今日は「どんなときに侃侃諤諤かんかんがくがくの議論が必要か」について、自分なりに整理してみたいと思います。

注:タイトルに【雑談】が付されている投稿は、今まであまり整理したことがなかったことで、最近ふと考えたことについての投稿です。考えが浅い部分も多分にあると思いますが、雑談の雰囲気で読んで頂けますと幸いです。


侃侃諤諤かんかんがくがく」とは。

Weblio辞書では、次のように記載されています。

侃々諤々とは、多くの人が集まってうるさく議論するという意味のこと。有益で実りのある会議というよりは、騒がしくまとまりがない話し合いのさまを表すのに用いられる。語源として、「侃々」は会話がやかましい状態をいい、「諤々」は遠慮せずに直言する事をいう。侃々諤々は英語では arguing となり、「主張」を由来とする言葉に訳される。

(太字は筆者による)

これを読むと「そもそも、ビジネスで侃侃諤諤かんかんがくがくの議論は避けるべきこと」というのが一般的な考えになるでしょう。

それでも、侃侃諤諤かんかんがくがくの議論が必要なとき。

企業の経理として内部にいたときは当事者だったので気づかなかったことが多いのですが、会社の外から見ると「経理部でこの議論は本当に必要だったな」と思うような侃侃諤諤かんかんがくがくの議論が多くあります。今まで経験した中で、よく見る例を挙げてみます。

①特定のスタッフが無理をしているとき。

顧問税理士として会社の外から会社に関わっているとは言え、入口は経営者や経理部なので、どうしても経理部の視点から会社を見ることが多いです。

そのように見ると、どうしても「他部署が書類提出や報告の期日を守っていないのに、経理部が無理をして間に合わせている」ことや、「経理部内でも、断るのが苦手なスタッフや優秀なスタッフに仕事が偏ってしまう」ことがよく見えてしまいます。

このようなときに何の議論もなく放置していると、多くの場合において、優秀な経理スタッフが退職してしまいます。

「ご本人が声を上げれば良いのに」とおっしゃる方もいらっしゃるかもしれませんが、それができないような雰囲気があるからこそ、そのような問題が生じているのも事実です。

参考にならないかもしれませんが、ある会社では最も若手の社員が「何で〇〇さんばっかり残業してるんですか?おかしいじゃないですか!」と声を上げて議論を巻き起こしたことがあります。結果的には大きなルール変更はなかったものの、渦中の〇〇さんから「気にしてくれている人がいるなんて、気づかなかった」という気持ちの吐露がありました。気にかけてくれている人がいることを知り、仕事を継続する気持ちに向かったようです。

侃侃諤諤かんかんがくがくの議論の中では、隠していた心の奥底にあるどろっとしたものを抑えきれず、一見稚拙に思えるような意見や感情論(に見える議論)も出てきてしまうことがあります。ただ、だからこそ、人の心に響くこともあると思います。

本当は経理マネージャーがコントロールしないといけないというのは正論ですが、経理マネージャー自身が無理をせざるを得ないときもあります。誰でも良いので、誰かがフォローできる環境になれば良いと思っています。


②「何かがおかしい」と感じたとき。

経理さんはルーティン業務が得意な方が多く、比較作業にも慣れています。そのため、経理さんはちょっとした違和感に気づきやすい方が非常に多いです。

自分が経理部員だった過去に実際に起きたことなので特定できない表現で書きますが、「この店舗は今日営業しているはずで、それほど忙しい時期ではないはずなのに、経理から電話しても電話が一度もつながらない」ということが数日継続したことがありました。その後発覚したのですが、実はその店舗で横領が行われていたのでした。

違和感に気づいた経理さんは、誰もが認める優秀なスタッフでした。だからこそ、経理部ではいろいろな意見が上がりました。ただ最終的には、周囲の経理スタッフ(自分も含む)は「そんなこともあるかもな」「単に店舗が忙しいのかな」と流してしまったのが実際のところです。

トラブルの性質や大小はあると思いますが、経理さんが違和感を感じるときは、必ず何かが起きています。経理部員の違和感は確かに何かを示していますので、決して誤魔化さず、納得できるまで皆で議論し、あらゆる可能性を検討して欲しいと個人的には思います。


③(IPO準備会社などで)監査法人と議論するとき。

IPO準備会社になると、監査法人と話をする機会が多くなります。自分は公認会計士の資格を持たない税理士ですが、現在は業務上でIPO準備会社のサポートとして、監査法人対応をすることが多いです。

監査法人対応をしていてよく思うことは、「監査法人は、対象会社のビジネスを正確に理解していないのではないか?」ということです。

もちろん監査法人を批判しているのではなく、「自分たち(=対象会社側として)は、まだ監査法人に正確に理解頂けるまで説明できていないのかもしれない」ということです。

ご理解頂けていないのであれば、説明を尽くさねばなりません。

監査法人から指摘頂く内容のうち、簡単に対応できる内容は、そのまま受け入れて対応していけば良いと思います。ただ、会社として簡単に譲ってはいけない部分があります。それは、会社のビジネスの根幹に影響する部分です。

毎回ということではありませんが、侃侃諤諤かんかんがくがくの議論の中で、新しい視点や言語化されていなかった事実が掘り起こされ、対象会社・監査法人の両者が納得して方針を定められることもあります。また、どちらかが折れざるを得ないような内容であっても、熱い議論のおかげで、議論がぶり返すことも少ないです。(ただし、議論がぶり返して大炎上することはゼロではありません。)


議論を避けずに、自分の意見を言う。

侃侃諤諤かんかんがくがくの議論」のような、疲れる議論は避け、「冷静に議論しよう」というのが一般論なのかな、と思うことが多いです。自分自身も他者から「面倒な人」と思われたくないという保身もあり、できるだけ熱い議論は避けたいのが本音です。

それでも、そのような議論も、時には必要なのかもしれません。


最後までお読み頂きまして、ありがとうございました。

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