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【経理】事実関係を、徹底調査するには?

こんにちは、きくちきよみと申します。
税理士です。

経理の仕事の中で、何かミスやトラブルがあった際にその原因や事実関係を詳細に調査することは、企業にとって非常に重要です。

今日は「事実関係を徹底調査するには、何に注意したら良いか」ということについて書きます。


口頭ヒアリングは、非常に重要。

事実関係の調査において「詳細を口頭でヒアリングする」ということは非常に重要です。

よく「文書だけで回答を求め、回答してもらう」というケースがありますが、口頭ヒアリングなしに結論を出そうとすることは、非常に危険でしょう。

多くの場合において、文章を書く時は「細かい点はそぎ落として記載」します。途中経過や言い訳をせず結論だけ書くことにより、責任の所在を明らかにしたり問題点を明確にしようとします。その方が、読み手に伝わりやすいからです。

ところが、文章で回答されたものを読んでも、問題の本質にたどり着かないことがあります。

例えば、次のような場合です。
・「マニュアルを見ずに作業したことによるミス」と回答していても、そもそもそのマニュアル自体が形骸化している場合
・「上長の承認なく支払をしてしまった」と回答していても、実際は上長が承認スケジュールを組んでいなかった場合

このような場合、「実はマニュアルが形骸化している」「上長がスケジュールをうまく組んでいなかった」とは書きにくく、対面ヒアリングをして初めてそのことがわかることがあります。

なお、対面ヒアリングで得られる情報量は、文章の比にならないほど多いです。相手の視線や話し方、話す間、質問に対するレスポンスの速さなど、いろいろな情報を引き出すことができます。ここで感じる「印象」は、その問題の本質に関わることもあり、見逃せない情報の一つです。

また、対面よりは効果は薄れてしまいますが、遠隔地で勤務している方もいらっしゃると思いますので、電話やビデオ会議などでも良いと思います。

①どこからヒアリングすべきか?

ミスやトラブルがあった取引のヒアリングをするに際し、「最初から」ヒアリングすることは非常に重要です。

自戒を込めて書きますが、この「最初から」は人によって違います。

自分が「最初」と思うことの前に他の人の「最初」があることは、よくあります。この「最初」ですが、言い換えれば「前提」です。

自分だけで考えると、「この取引は~という前提に基づいているはず」という思い込みが入ってしまうことがあります。慣れるまでは、同僚や上司に「最初から聞こうと思いますが、~からで良いでしょうか?」と相談してみると良いと思います。

②自分の言葉を選ぶこと。

ヒアリングするときに、「相手に伝わる言葉を選ぶ」ことも大事です。

当り前じゃないかと言われるかもしれませんが、本気で取り組もうとすると意外と難しいと思います。相手と自分の人生は全く違うからです。

これが正解かはどうかわかりませんが、自分は「できるだけ義務教育で習うレベルの言葉だけで話す」ようにしています。そうすると、できるだけ話がシンプルになり、伝わりやすくなるように思います。そして、無駄に難しい言葉は避けられます。

「伝わるように話す方法」は人によって違うと思いますが、伝わるように努力することは、決して無駄ではないと感じています。

③相手の言葉を確認すること。

自分が言葉を選ぶことと同様、相手の言葉の意味を確認することも重要です。

これは実際によくあることですが、その事実関係を確認する作業の終盤になって、例えば「"承認" という言葉の定義が、自分が思う "承認" とは違った」ということが起こります

経験が浅いうちはなかなか簡単にはいきませんが、そのミスやトラブルの中で頻繁に出てくる言葉の定義は、随時相手に確認をしておくことが必要でしょう。

資料があるからと言って、それが事実とは限らない。

上記で「ヒアリング」することによる調査の留意点を書いてきましたが、その他、「資料」による調査もあるでしょう。

資料はヒアリングよりも客観性が高く、事実確認をする上では重要な証拠となります。

ただし、この「資料」が必ずしも100%の事実を証明するわけではありません。例えば、「その請求書は訂正前の古い請求書」かもしれませんし、「その承認印は後付けで押したもの」かもしれません。

調査上で提出された資料を妄信的に信じるのではなく、ヒアリングも含め、総合的に調査していくことが必要だと思います。


徹底的に調査する。

事実関係を調査する中で、自分が抱きやすい思い込みや、伝わりにくい自分の言葉遣いに気づくこともあります。

是非、チームで協力して「徹底的に」調査してみてはいかがでしょうか。

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ここまでお読み頂きまして、ありがとうございました。