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【中小企業の経理】固定資産管理、どうやっていますか?

こんにちは、きくちきよみと申します。
税理士です。

今日は、中小企業での固定資産管理について書きます。固定資産が多い会社では既に管理に取り組んでいると思いますが、特に「うちの会社は、固定資産があまりないから」と、特別なルールを設けていない中小企業で起こりがちな問題があります。


①固定資産管理を甘く見ると、後々面倒なことになる。

毎年1月末は償却資産申告の期限なので、ここ最近は、各社の固定資産台帳を改めて見直しています。

<固定資産台帳の見直し手順>
・1年間の固定資産の取得・廃棄・売却の状況を把握
      ↓
・その状況を固定資産台帳に反映する
      ↓
・償却資産の申告をする

この手順の中で、特に困るのは「廃棄の状況の把握」です。

固定資産の購入・売却はお金が動くので、経理の方に確認すればおおよそ把握できるのですが、廃棄の時は書類が保存されていないことが多く、「いつ、何を廃棄したのかどうかわからない」という事態に陥ります。

廃棄の状況がわからないと固定資産台帳で除却処理をすることができません。除却処理ができないとその影響を試算表に反映できず、会社の本来の業績がわかりません。また、会社の状況によっては、払わなくて良かったはずの法人税や償却資産税を払うことになってしまうこともあります

このようなことを避けるため、「よくわからない固定資産」が固定資産台帳に残り続けないような工夫が必要だと思います。

②「あぁ、それ、前に捨てたよ」という固定資産は、突然見つかる。

人の記憶は曖昧で、「今、目に見えるところにない、イコール、それはない」という思い込みを持ってしまいがちです。税理士として「ああ、それは前に整理したときに捨てたよ」と会社の方に言われたものの、数か月後に突然見つかった、ということはよくあることです。

自分も含め、人の記憶は信用に足りません。

「うちの会社は、資産はほとんどないから。固定資産台帳の作成は任せるよ。」と固定資産台帳作成を完全に税理士に任せてしまう会社は多いと思いますが、任せるにしても方針を全く定めていないと、結局記憶に頼ることになってしまうので、廃棄資産を把握することができません。

固定資産管理を難しくする原因には、下記のような例があります。
・業者に廃棄依頼したはずだが、廃棄証明書を保存していない
・廃棄したはずだが、廃棄の稟議システムがないため、その経緯がわからない。
・廃棄した固定資産が、固定資産台帳のどの明細と一致するのかわからない。(例:「PC」という名称の明細が複数あるので特定できない)
・廃棄に際して個数を数え直したが、台帳では10個あるはずなのに、なぜか8台しかない。
・固定資産台帳に登録されている金額が、請求書の金額と違うので、本当にこの資産かどうか確信が持てない。

固定資産台帳と現物の突合確認ができるよう、固定資産台帳の作成上の工夫が必要です。

③現物と突合確認するために、名称と付番にこだわるべし。

現物との突合確認のため、最低限やっておきたいことは、下記3点です。

・固定資産の名称を工夫する

例えば「PC」という名称のものが複数並ぶと、どのPCか特定できません。最初の1台めを登録するときから、そのPCを特定できるような名称を付した方が良いでしょう。

デメリットとしては、資産が増えるとこの管理だけでは難しくなります。品番を付したり、その持ち主を名称に付記したり(例:田中PC、など)という会社もありますが、同じ品番のPCを買ったり、そのPCの持ち主が変わったりすると途端にわからなくなってしまいます。

・現物にシールなどで付番し、同一番号を固定資産台帳に付す。

若干煩雑ですが、最もわかりやすい管理です。

デメリットとしては、定期的な現物突合が必要なことです。現物突合しないでいると、結局「なぜか消えた」「なぜか増えた」ということになってしまうことがあるからです。

・半年に1回は現物突合をする。

会社の規模や資産の数によりますが、年一回、もしくは半年に一回、現物と固定資産突合をしておくと、「よくわからないけど台帳に残っている資産」は減るはずです。

また、現物突合をした際に、固定資産台帳の登録方法(例:名称のつけ方など)に疑問や不満があれば、作成依頼している会計事務所などに相談頂くのも良いと思います。そして、固定資産を廃棄する前には、どのような書類が必要か、事前に顧問税理士に相談しましょう

固定資産管理のちょっとした工夫に、是非、取り組んでみてはいかがでしょうか。

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