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【経理】弁護士・税理士・社労士など、社外の士業との付き合い方。

こんにちは、きくちきよみと申します。
舞台照明家→事業会社経理(複数)→会計事務所・税理士法人勤務(複数)→税理士法人代表(現在)です。

事業会社の経理の時に顧問税理士など社外の士業の方との接し方をうまくつかめず、サービスや対応に不満を感じてしまうことがありました。

今日は「中小企業の経理担当者が外部の士業の方と接するときに、注意した方が良いと思うこと」について書いてみます。自分が当事者のときに誰にも教わらなかったことなので、どなたかの参考になれば幸いです。

注)これまでの経験から感じた私見ですので、必ずしもすべてのケースにあてはまるものではないと思います。また、自分が「企業の経理だったときに、知っておいたら良かったと思うこと」について書いており、税理士側としての所見ではありません。ご留意頂けますと幸いです。


士業報酬に対する考え方。

士業報酬の計算方法は「時間単価×時間数」となることが多く、この計算方法は特に弁護士報酬の場合によく見られます。

優秀な士業の方(=同業者が簡単に解決案を示せないような難しい案件に対応できる方)の時間単価は非常に高いことが多いですが、その一方で、かかる時間は非常に少なく済むことが多いです。もちろん、情報・資料が正しく提示されることが大前提ですが、その情報から読み取る能力においても、その士業の方によって理解度が全く異なります。結果的には「高い単価の方にお願いした方が安く、かつ、満足のいくサービスを受けられた」ということも実際にありました

必ずしも単価だけでは決められないですが、「単価が高すぎるから、この方にお願いするのはやめよう」という考え方は、自社のためにならないことが多いように思います。


最終判断は社内であり、社外の士業ではない。

士業の方とのやりとりで、「最終的に何を言っているのかわからない」「明確な答えを教えてくれない」というような不満が出てくることがあると思います。自分も事業会社の経理のときに不満を持ったことがあり、「で、結局どっちなんですか?」と顧問税理士さんを問い詰めてしまったこともありました。

ただ、社外の士業の方が、顧問先の「これで良いですか?」という問いに対してアドバイスや提案をすることはあっても、「YES」か「NO」の明確な回答をすることはありません。最終的に判断して責任を持つのは企業側であり、社外の士業の方ではないからです。

この視点を持っておくと「社外の士業の方は、自社が判断をするための材料(法令との適合、リスク、業種に応じた特殊性など)をそろえて説明してくれている」という前提で話を聞くことができ、説明が段違いに理解しやすくなります。


『言語化されない情報』を拾える方もいれば、拾えない方もいる。

本来、提供を受けた情報が同じなのであれば、それに対するアドバイスは似通ってくるはずです。ただし、これがなかなか難しいことですが、「士業にとっては必要だが、企業側からの説明の中で言語化されていないために提供されなかった情報」が必ずと言っていいほど存在するため、結果としてアドバイスが全く異なってしまうことがあります

この「言語化されていない情報」がありそうだなと感じた時に、「あ、それってもしかして、~のことですか?」と気づいて、「言語化されていない情報」を企業側から引き出せるタイプの士業の方がいらっしゃいます。ただ、それができない方もいらっしゃいます。その違いは知識や経験が影響することもありますが、単なる人間性や相性によって生まれることもあります。単純に言ってしまうと「士業の方もいろいろ」ということですが、これによって適切なアドバイスをもらえないこともあります。企業側としては「端折はしょることなく全部説明しよう」という姿勢は非常に重要だと思います。

特に、長く顧問を継続頂いている士業の方であっても、商流の説明などを省略してしまうと、正しい情報が伝わらないこともあります。企業側としては同じようなビジネスをしているつもりであっても、少しずつやり方や内容が変わっていくからです。

自分の場合、事業会社の経理のときに最初は「拾えるタイプの顧問税理士」の方だったのですが、顧問税理士変更後に違ったタイプの方に変わり、非常にやりにくくなってしまったことがありました。ただ、「それまでは税理士さんが拾ってくれるから甘えてしまっていただけで、本来は自分が過不足なく説明しなくてはいけないこと」ということも理解しました。自社のことを説明する相手は税理士さんだけではないので、自分の説明力を鍛える良い機会にもなったとも思っています。


士業の方と良い関係を築ければ、より良いサービスを受けられる、かも。

士業の方との関係はどうしても相性の問題が大きいと思います。ただ、良い関係を築くことができるよう工夫できれば、より良いサービスを受けられる機会も増えるでしょう。

是非、士業の方と良好な関係が築けるよう、工夫してみてはいかがでしょうか。


最後までお読み頂きまして、ありがとうございました。

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