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【強い経理】まずは、月次決算を適正化することから始める。

こんにちは、きくちきよみと申します。
税理士です。

今日は「"強い経理" をつくるには、まずは月次決算を適正化することから始めよう」ということについて書きます。

↓↓↓ 本マガジンにおける「強い経理」の定義


どの企業の月次決算も、やることは同じ。

多くの企業で月次決算に取り組んでいたり、これから取り組もうとしていたりすると思います。ただし、「大きな間違いのない月次決算を毎月実施できている。経営者、親会社、税理士・会計士に指摘されるような経理処理も全くない。」と胸を張って言える中小企業は少ないのではないでしょうか。

複数企業の経理・会計業務を経験すると気づくことですが、どの企業の月次決算も、最後に確認すべきことは同じです。

①月末のBS科目残高が正しいかを確認する。
②当月の収益・費用・損失の金額が正しくPLに反映されているか確認する。

上記の2つがクリアできれば、たとえ経理経験が少なくても、たとえ経験したことがない業種であっても、どのような規模の企業であっても、必ず月次決算はできます

何か大きな間違いが起きたり、決算を確定させるのに時間がかかったりするのは、月次決算で確認すべき2項目がクリアできていないから、ということになります。(もちろん、事業や企業によってその2項目をクリアするために理解すべき知識や情報は異なるので、そのインプットは必要です。)

企業規模が大きくなると経理部内の各担当業務が細分化されてしまい、やり方も指定された通りにやるだけのことが多いので、全体が見えていない方も多いかもしれません。この点、中小企業の経理は経理作業の全体像が見えやすく、基本に立ち返りやすいものと思います。

なぜ「月次決算の適正化」が必要か?

なぜ月次決算の適正化が必要かというと、企業の状態がわからないと何の話も進まないからです。

月次決算の結果を見て経営者は判断し、今後の展開を考えます。数字がなくてもある程度の数字は経営者の頭の中にありますが、その頭の中にあるものを実際の結果とすり合わせていく必要があります。また、金融機関や外部専門家などに自社の業況を説明するのにも必須です。

ここで「月次決算の "適正化"」と書きましたが、月次決算を実施している企業は多数あるものの、適正な月次決算ができている企業は少ないと思います。後になって修正の必要があるとわかり、大きく数字が変更されることも少なくないでしょう。

もちろん、中小企業にとって月次決算はあくまで仮の数値ですが、強い経理がある企業では、この月次決算数値は非常に確かな数値で、後で修正が入ってもごく少額であることが多いです。月次決算を年次決算と同様の正確性をもって実施できることにより、経営者の判断の基礎が固まり、外部関係者の信頼も厚くなります。

ツールや手段は関係なく、経理書類の電子化が全く進んでいなくても、古いシステムを使っていても、強い経理がある企業では適正な月次決算を組むことができます。

経理業務にネガティブなイメージが伴う理由。

それでは「どうしたら適正な月次決算ができるのか?」ということですが、これは最初の「どの企業の月次決算も、やることは同じ。」で書いた通り、2項目の確認すべきことをクリアしていくだけです。それ以外にはありません。

どの企業の経理部も手段やツールは違うものの、同じことをやろうとしているだけです。外からは毎月、粛々と、淡々と、ただ、同じことをやっているように見えます。結果的に、経理業務には「地味」「暗い」「つまらない」といった、ネガティブなイメージが伴いやすいのだと思います。

しかし実際は、その2項目をクリアするために、経理部ではいろいろな工夫をしながら進めています。特に事業内容が変わったり、新しい取引が始まったりしたときは、「本当にこれで適正な月次決算になるか?」「これが最適・最短の方法か?」ということを常に考え、必要に応じて手続きを変えることもあります。経理部は変化を好まないと言われやすいですが、強い経理がある企業では、実際は随時工夫して改良・改善しています

適正な月次決算を組む力がない経理部に、「ざっくりした月次決算」は組めない。

企業の経営者の中には「月次決算を組むのにそんなに時間をかけて欲しくない。月次決算では細かい数字を合わせず、他のことに時間を使って欲しい。」というタイプの方もいらっしゃいます。

「厳密に適正な月次決算を毎月必ずできなければいけない」と主張するつもりはありません。「ざっくりした月次決算」であっても、ある程度は経営判断の助けになります。

ただし、実は「やろうと思えば、いつでも適正な月次決算をスムースに実施できる状態にある」という経理部でなければ、本当の意味での「ざっくりした月次決算」を組むことはできません。差異影響を見積もれるだけの力がなければ、大きく金額を間違ってしまうからです。

したがって、まず「月次決算を適正化する」ことにより、「いつでも適正な月次決算を組むことができる力をつける」ことが重要になります。

何と言われようが、まずは「適正な月次決算」。

地味と言われようが、最初は無駄に思えようが、まず取り組むべきは「適正な月次決算を組める力をつけること」です。

是非、経営者・社員全員で、月次決算の適正化に取り組んでみてはいかがでしょうか。


ここまでお読み頂きまして、ありがとうございました。