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冨安健洋という至高のダイヤモンド

今回は、リバプール戦で極上のまさにダイヤモンドのような輝きを見せた冨安について書いていきます。

あらゆる能力を高度に備えたモダンDF

冨安を語る上でまず外せないのが、その守備力の高さです。
現在世界最高峰のリーグと言われるプレミアリーグでも、その守備力は際立っています。
そして、冨安の凄みはなんといっても守備において、弱点らしい弱点がないことです。
187cmの身長を活かした空中戦の強さ、SBとしてプレミア屈指のアタッカーと相対しても抜かれず、時にはボールを奪い切る対人戦の強さ、いついかなる時も正しい位置に立つ精密なポジショニング、どれをとっても世界屈指の能力を持っており、これだけの能力を備えた選手はそうそういるものではありません。
また、攻撃面でも優秀で、左右遜色なく精度の高いボールを蹴れるフィード能力、守備時と同じくビルドアップ時の精密なポジショニングなど、多くの能力を揃えています。
そして、これらの能力を兼ね備えた姿は、まさに、モダンなDFと言えるでしょう。
そんな冨安の凄さを支えているのが、高いサッカーIQです。
そのサッカーIQの高さを感じさせるシーンが、アーセナルのビルドアップです。
現在冨安はSBを主戦場としてプレーしていますが、アーセナルいうチームはポゼッションを主体としたサッカーをしています。
そして、ビルドアップ時のサイドバックのポジショニングやパスの出しどころは効率的なビルドアップに大きく影響します。
これを高いレベルでこなしているのが冨安です。
特に、それを感じたシーンがリバプール戦にありました。それは、体の向きをフェイントにしてアウトサイドで縦パスを入れたシーンです。
まず、縦パスはただ入れれば良いものではなく、敵や味方の状況を正確に把握して入れるべき時に入れなければなりません。
そして、冨安はその選択を間違えません。
さらに、味方が良い状況で受けられるように、体の向きを囮に、誰もが入れないと思った瞬間に縦パスを入れました。
このパス1本で相手のディフェンスが崩れてもおかしくないパスでした。
もうひとつ、冨安のサッカーIQの高さを感じるシーンがあります。
それは、SBとして逆サイドのクロスに対応する時です。
この瞬間SBにはどこまで絞るか、また、自分の後ろからクロスに飛び込んでくる選手がいるかの確認など多くの判断が求められます。
そして、冨安はこの判断も間違えません。
特に、このプレーが苦手なアレクサンダーアーノルドと比べると一目瞭然です。
さらに、両サイドのCB、SBでプレーできるユーリティー性の高さにもサッカーIQの高さが表れています。
このように冨安には随所にサッカーIQの高さを感じるシーンがあります。
そして、そのサッカーIQの高さこそ、冨安の持つ1番の武器です。

しかし、そんな冨安にも物足りない部分があります。
それは、SBとしての出場時の攻撃でのクロスやシュートなどの質です。
これに関しては、1流のSBに比べると1歩劣るという感じがします。
ただ、特別回数が多いわけでは無いものの、攻撃参加のタイミングは絶妙で、オーバーラップとインナーラップの使い分けも上手く、ここでも持ち前のサッカーIQの高さが活かされています。
そのため、弱点というほどの弱みではありません。
後は、怪我が多いのが気掛かりではあります。
ただ、この先怪我をしないでキャリアを送ることさえできれば世界最高のDFになることも夢では無い、それだけの才能を感じさせる選手です。
それこそ、若い頃はSBとしてプレーしており、当時は世界最高峰の右SBといわれ、その後CBにコンバートされ世界最高のCBになったセルヒオ・ラモスを超えることすら可能なのではないでしょうか。


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