【古事記まとめ&ツッコミ04】誓約(うけい) スサノオの追放

あらすじ

黄泉の国と中つ国を往復したイザナギは、最後に三人の貴い御子を産みます。

アマテラスには高天原(たかまがはら)を治めるように、
ツクヨミには夜の食国(よるのをすくに)を治めるように
スサノオには大海原を治めるように

それぞれ言い渡して引退することに決めました。


ところが・・・


アマテラスとツクヨミは真面目に仕事をしていましたがスサノオはヒゲが胸まで伸びるくらいの年齢になっても、泣いてばかりで神としての仕事をしませんでした。

イザナギがスサノオに訳を聞くと 「お母さんの所にいきたい!」という話だったため、怒ったイザナギはスサノオを家から追放してしまいます。


追放されたスサノオは姉のアマテラスに挨拶をしてから母のいる根の国へ行こうと決めて、天へ昇っていきます。

ところで、すごい勢いでスサノオがやってくるのを見たアマテラスは

「あいつは、高天原を奪いに着たに違いない」

と早合点します。

そして、完全武装の姿で

「何しに来やがった!」

とスサノオを問い詰めます。

身に覚えのないスサノオは誓約(うけい)という神前裁判的な儀式をやって潔白を証明します。

自分の正直さが証明されたスサノオは、調子に乗って田の畔を壊したり、はたおりをする家に皮をはいだ馬を投げ込んだり、食堂にクソをまき散らしたり、とやりたい放題。

最初は「まあまあ、あれも悪気があってのことではないのです」と平静だったアマテラスも、自分の侍女が死んでしまう事態になったのでさすがにぶち切れ。

怒って岩戸に引き籠もってしまいます。

太陽神が仕事を放棄したので全世界は真っ暗になり、
困った神々はあの手この手の作戦でアマテラスを
岩戸から引っ張り出すことに成功します。

騒動の原因を作ったスサノオは、賠償の品物を出させられた上に、
爪や髭(ひげ)を切られ、地上世界へ追放されてしまいます。

ツッコミ

スサノオ側から天岩戸神話を見ると、勝負の目的は勝つことにありですが、勝って調子に乗り過ぎるといいことがないという話になります。

(この神話自体は次回もとりあげます)

この神話、「田を壊すこと」がスサノオの乱暴狼藉に入っています。これだけ見ると、ただの乱暴なのですが、スサノオの属性を考慮するとちょっと別の見方もできてしまいます。

スサノオは非常に多面的な性格を持つ神で、日本書紀のスサノオ神話を見ると、

1.森の木々はスサノオが自分の毛を抜いたものが木に変わったもの
2.スサノオは木材の使い方を人間に教えてくれたえらい神

といった内容の神話も紹介されています。

スサノオ=森林神 
アマテラス=農耕神

という構造も隠れているということです。( 山育ちの自然児 VS 学級委員長 もとい 野性の神 VS 文明の神 と言ってもよい)

農業は自然に優しそうな外面をしていますが、実際には「森林破壊の元祖」としての要素を持っています。人間たちが森を切り開いて田畑を作るのは、「森の精霊」みたいな視点からすると、「森林エリア破壊」になるので。

森林神スサノオと農耕神アマテラス、として属性込みで眺めてみると、二神が兄弟ケンカをするのも、スサノオが最初は仕事をしない神なのも、すごく自然なことに見えてくるのです。

天岩戸神話は「冬至後の太陽の復活を象徴している」などの色んな深読みが可能なストーリーですが、「バトルになっている神様同士の背景設定がすごくよくできている」というのも面白がれるポイントだと思います。

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