【古事記まとめ&ツッコミ06】オオゲツヒメ(食物神の死)

高天原から追放されたスサノオはオオゲツヒメ(食物の女神)のところを訪ねて食べ物をもらおうとします。

ところが、彼女が尻の穴や口の穴などから食べ物を出して調理してもってきたので、これを見て「きたない!」と怒ったスサノオは彼女を切り殺してしまいます。

すると、死んでしまった女神の死体から、人間の食べる食べ物の種などが生まれました。


補足

古事記によると、女神の死体からうまれたものは以下の通りです。

頭には、蚕(絹織物の糸を吐く虫)
二つの眼には、稲(いね)
二つの耳には、粟(あわ)
鼻には、小豆(あずき)
生殖器には、麦(むぎ)
尻には、大豆(だいず)

日本書紀には、ほぼ同じ中身で、スサノオ→ツクヨミ、オオゲツヒメ→ウケモチ、と登場人物が交代している神話が紹介されています。(ツクヨミさんもケンカっぱやかったらしい)

ツッコミ

「殺さなくてもいいんじゃないの?」という話なんですが、ここのスサノオの神殺しは、ただの悪事とは少し違います。

スサノオが食物神を殺したことで、人間たちのための色んな恵みが誕生する話だからです。

女神の死体からたくさんの豊かさがやってくるという話になっているので、ここでのスサノオは「(人間たちにとっての)福の神」になっています。

古事記のストーリーの順番としては「天岩戸の話→今回の話→オロチ退治」となっていて、「なぜここに差し込んだのだろう? 」という唐突な流れで差し込まれている神話です。

ただ、スサノオの性質が、「暴れん坊の子供→恵みをもたらす青年→父親的存在」という風に変容していく順で話を並べている編集であると理解すると、「天岩戸(ここでは、我がまま暴れん坊)」と「大蛇退治(ここでは人助けをする英雄)」の中間に差し込んでおくのが理にかなっているのかもしれません。


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