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止まない雨はない、でもまた雨は降る

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#小説家

止まない雨はない、でもまた雨は降る

10  ある日の土曜日、私は一人で電車に乗った。その日は三連休の初日ということもあって、…

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9 「あ、忘れてきちゃった」 そんな声が隣から聞こえてきた。  席替えをして新しい席に変…

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8  小学校六年生の十二月の初め、私たちのクラスでは毎月、クラスの席替えを行なっていた。…

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7  その日の晩ご飯は、カレーだった。私はあまりカレーが好きではなかった。理由は幾つがあ…

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止まない雨はない、でもまた雨は降る

6  学校から帰ってきた母親は私の顔を見るなり、浅いため息をついた。なんだか、ため息をつ…

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止まない雨はない、でもまた雨は降る

5  「昔々、あるところに、おじいさんとおばあさんがいました。おじいさんは山にしばかりに…

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止まない雨はない、でもまた雨は降る。

4 「寝ている間に夢を見てないってことは、ぐっすり眠れてる証拠」 よく母親に言われた言葉である。  普段あまり夢を見ない私は、夢を見た時はだいたい覚えている。そしてそれらの夢はあまりいい夢ではなかった。  「夢だったのか、よかった〜」心臓の心音が若干早いのを感じながら朝方の四時とか、五時とかに目を覚ます。その日の夢は、母親が誰かに連れ去られる夢だった。  夢の中で音は存在しなかった。まるで無声映画のような、ただ確実に自分もその映画の中にいるような感覚で。母親が連れ去られ

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3  母親との生活が始まってすぐ、私は小学校に入学した。母は日中、家の近くにあるスーパー…

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2  私の両親は私が五歳のときに離婚している。理由は父親の仕事が原因で、日々家にいるとき…

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